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Date:  Thu, 05 Jan 2006 13:49:53 +0900
From:  Satoru Matsumoto <satoru-m@msi.biglobe.ne.jp>
Subject:  [MekongWatch]カンボジア人権>著名な活動家2人が逮捕される
To:  news@mekongwatch.org
Message-Id:  <20060105125734.824C.SATORU-M@msi.biglobe.ne.jp>
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メコン・ウォッチの松本です

新年早々、ショッキングなニュースです。カンボジアを代表する2つの人権団体
の代表者が名誉毀損で逮捕されました。過去10年にわたって、日本政府はガバナ
ンスの向上を対カンボジア支援の柱に据えてきました。しかし、多額の援助にも
かかわらず、カンボジアの人権状況はますます悪化しています。

以下、昨年までメコン・ウォッチでカンボジアを担当してきた杉田玲奈の解説と
翻訳記事です。

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カンボジア人権センター(CCHR)とカンボジア法律教育センター(CLEC)の代表
2人が名誉毀損で逮捕されました。CCHRの代表はメディアでも活発に発言する有
名な活動家です。CLECの代表はNGOフォーラムのDeputy Directorをしたこともあ
る人です。やさしい表情をしたとても評判のいい人です。CLECは移転問題などに
も関わっていました。

違法な森林伐採の監視をしてきたグローバル・ウィットネス国外退去の時、これ
から市民社会・現政権反対者の弾圧が始まるという見方がありましたが、残念な
がらそれが現実になっているようです。この数ヶ月、サムランシー党員やジャー
ナリストが名誉毀損で相次いで逮捕されています。また、先日このメールニュー
スでお伝えした通り、北東部のラタナキリ州で少数民族の権利のために闘ってい
るダム・チャンティさん暗殺未遂事件も起きています。

以下、現地の英字新聞カンボジアデイリーの記事です。

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人権団体トップ2人が拘留される   
カンボジア・デイリー紙
Lee Berthiaume, Samantha Melamed, Van Roeun, Yun Samean and William Shaw

土曜日、最も重要な人権活動家の一人である、カンボジア人権センター
(Cambodia Center for Human Rights:CCHR)のKem Sokha代表が、(CCHRの)
プノンペン事務所を警官が数時間に渡り取り囲んだ後拘留され、名誉毀損で起訴
された。

カンボジア法律教育センター(Cambodia Legal Education Center:CLEC)の
Yeng Virak代表も拘束され、UNTAC法の問題の63条にもとづいて勾留された。63
条では、名誉既存は刑事犯罪として最長1年間の投獄に課せられる。

12月10日にオリンピックスタジアムで開催された国際人権デーのイベントで展示
されたバナーを理由に、両者はPrey Sar刑務所での公判前の勾留に引き渡された。

CCHR職員によると、問題のバナーは2003年の選挙時に作成され、一般の人々によ
る手書きのコメントが書かれていた。このバナーが(カンボジア)政府とフンセ
ン首相に批判的だと訴えられている。

Kem Sokha氏の弁護士、Som Chandina氏によると、12月21日に政府の弁護士が
Yeng Virak氏を名誉毀損で起訴したという。起訴はフンセン首相ではなく政府に
より行われたとSokha氏は言う。

目撃者によると警官は10時半にCCHR構内に到着した。Daun Penh郡と内務省刑事
警察から10人の制服警官と数人の私服警官が構内に進入したが、事務所の中に入
ることは許されなかった。CCHRのスポークス・パーソンのOu Virak氏によると、
警官が調査令状を見せることを拒否したためだという。

その後30分、警察が待つ間に、他の人権団体職員やアメリカの外交官が到着し、
Kem Sokha氏と事務所内で面会した。

そして11時頃、警官が構内をふさぎ、イギリス大使David Reader氏やアメリカ大
使Joseph Mussomeli氏を含む全ての人が構内に入ることを許されなかった。多く
の(CCHR)支持者たちが外に集まり、警官は242通りをバリケードで封鎖し一般
の進入を制限した。

(CCHR)センターの中では、Kem Sokha氏がSom Chandina弁護士の前で申し立て
を行った。Som Chandina弁護士は野党Sam Rainsy党首の代理人でもある。Som
Chandina弁護士は、活動家(Sokha氏)が市の裁判所で尋問を受けられるように
警官と交渉した。

Ken Sokha氏によると、人権デーのイベントの前に、NGO職員が政府の代表にバナー
を見せたが、どのバナーについても展示しないように指示はなかったという。
Sokha氏はバナーに書かれている問題のメッセージは彼自身が書いたものではな
いと加えた。「私の意見ではありません」と彼は語った。「それは書いた人々の
意見です。もしお望みであれば、その人々のために私は許しを請います」。

元Funcinpec議員(Sokha氏)は、バナーを取り下げるように言われた時そのよう
にしたので、政府の望みに従ったと言う。またSokha氏は法律に従ったと語った。
「私は憲法に従った行為のみ行っています」とSokha氏は言う。「すべての民主
主義の国では、寛容さがなくてはなりません」。

約1時間後、Kem Sokha氏は建物を出て裁判所に行くことに同意した。妻、アメ
リカ大使館使節団Mark Storella次長、リカド(訳注:カンボジアの主要人権団
体のひとつ)代表Kek Galabru氏を抱擁した後、Kem Sokha氏は(事務所の)外に
でた。Sokha氏は、尋問のための裁判所への出頭命令をCCHR構内で聞いた。

Sokha氏の妻が彼の後ろに立ち、支持者数人が泣いている中で、「私は間違って
いません」とSokha氏は語った。「私は幸せですし、裁判所で(尋問に)答える
勇気があります…私はまったくショックを受けていません。なぜなら、私は国と
自由のために何でもするからです」。

Sokha氏が車に乗ろうとする中で、構内の多くの支持者や242通りに集まった人々
が、Sokha氏の支持を叫んだ。Kem Sokha氏は手を挙げてから、車に乗り、警官が
秩序を守ろうとする中、立ち去った。

プノンペン市裁判所では、Kem Sokha氏はSao Meach裁判官により中に呼ばれ、数
時間に渡り尋問された。Monireth大通りに人々が集まるなか、警官は記者が構内
に入ることを許さなかった。

電気バトンで武装した警官が配置され、群集を散らした。警官は裁判所から数百
メートルのところまで路上バリケードを配備し、多くの怒れるバイクタクシーを
周辺から追い出した。

「私たちは深く悲しんでいます」、匿名のバイクタクシーの運転手(38才)は言
う。「彼(Sokha氏)は私たちをたくさん助けてくれました。私たちは彼への支
持を表明したいのです。私たちは彼を釈放して欲しいのです」。

「(Kem Sokha氏は)真実を話します。政府の名誉を毀損したとは信じません」
と匿名のバイクタクシーの運転手(32才)は言う。

バイクタクシーの運転手たちが記者と話す間、軍の作業服を着た大きな男が自分
の携帯電話を使ってインタビューの内容を録音した。男の身分を尋ねると、メディ
アパスを表示し、Kampuchea Khnomという知名度の低い新聞の記者で、Ly Ranny
氏だと名乗った。

CLECでは、警官が3度(CLECを)尋ね、(CLECへの)進入とYeng Virak代表との
面会を要求した。 CLEC職員は代表(Virak氏)が事務所内にいることを否定し、
3時20分頃裁判所職員と検察官代理が到着するまで両サイドは足踏み状態だった。
(その後)Yeng Virak氏が現れ、裁判所に連れて行かれた。

Yeng Virak氏を弁護するCLECの弁護士3人のひとり、Phoum Bunphann氏は日曜、
代表は名誉毀損で訴えられる前にSao Meach裁判官により尋問され、その後Prey
Sarへ直接連れて行かれたと言った。

「(人権デーの)イベント全体に対して(Virak氏に)責任があると言われてい
ます」とPhoum Bunphann氏は言う。「しかし彼のみに責任があるわけではありま
せん。(参加した)すべての団体がブースを持っていましたし、彼は準備委員会
のひとりのメンバーにすぎません」。

逮捕令状は人権デーイベントの委員会の別のメンバー2人にも出されているとの
情報があるが、裁判所の職員はこれを否定した。

市の裁判所のChiv Keng所長は、日曜、逮捕と起訴を弁護した。「名誉毀損は深
刻である」と彼は言い、バナー(のメッセージ)は政府がベトナムに土地を売る
「背信的な政権」であり、共産主義であると非難していたと加えた。

「政府は彼らに人権デーの開催を許可したが、彼らはバナーで政府をひどく罵っ
た」とChiv Keng裁判所長は言った。「この悪態はとても深刻である。もし悪態
が許されたならば、暴力にも発展するであろう」。

政府のスポークス・パーソンKhieu Kanharith氏は、多忙につきコメントはでき
ないと語った。内務省スポークスパーソンKhieu Sopheak氏は数度の電話に応答
しなかった。Ang Vong Vathana法務大臣は会議に忙しいと語り、国家警察庁の
Sok Phal次官は質問を裁判所に回した。

(逮捕があった)午後CLEC事務所にいた野党のHo Vann議員は、この逮捕は批判
を弾圧する政府のキャンペーンの一環だと語った。

CCHR構内の外で、Mussomeli米国大使は、カンボジア政府は「(批判・侮辱など
に)過敏」と評し、継続する批判の声の弾圧は民主主義を危うくしている、と語っ
た。「我々は反対を潰す大きな計画の一部ではないかと心配している」と彼は言
う。「2008年の選挙が信頼でき、公平なものになる見通しはそこなわれている…
彼ら(現政権)は反対者を強烈に震いあがらせており、このような民主主義の罠
を本物ととるのはどんどん難しくなっている」。

Reader氏はKem Sokha氏とYeng Virak氏を名誉毀損で起訴する決定は「不適切で
ある」と語った。

「我々は名誉毀損で罰することは政治的対話のあるべき姿ではないと考えている」
と彼は語った。

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