ホーム > 資料・出版物 > イベント> 公開セミナー > 「ODAによるダム開発〜未解決の問題への疑問」(2010.10.12)
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日本は、二国間援助また世銀・ADBの融資を通じて、海外における多くのダム開発を支援してきました。ダム開発の計画段階においては国レベルの経済開発のみならず、地元社会の発展や貧困削減など、「バラ色の未来」が描かれてきました。しかし、果たしてそれらは実現したのでしょうか?
一方で、気候変動対策や水資源開発、日本企業支援などの名目で、現在さまざまなダム開発計画が浮上してきています。
本セミナーでは、期待された事業効果を生まず、かえって農民に借金を負わせてしまったフィリピンのボホール灌漑事業や、「貧困削減」を掲げたラオスのナムトゥン2ダムなど、ODAによって支援された3つのダム事業を振り返り、その問題点を検証します。
ゲスト・スピーカー プロフィール
■ Reynaldo Luchana (レイナルド・ルチャナ)氏
ピラーダム事業の犠牲になった農民連合(ALMABIPDA:アルマビプダ)代表
国際協力機構(JICA)の資金援助で進められた「マリナオダム灌漑事業」(別名ピラーダム。「ボホール灌漑事業 第1期」としても知られる)により生活が苦しくなった農民らが、不毛化した農地の修復や灌漑システムの改善を目的とし設立した「ピラーダム事業の犠牲になった農民連合(ALMABIPDA)」の代表を2007年から務める(現在、2期目)。
Luchana氏が暮らすボホール州ダゴホイ町カルアサン村は、同灌漑事業により灌漑用水が供給されることを約束された地域の一つだった。しかし、多くの農地は灌漑用水が届かず、また、整地作業により不毛化したため、10年以上も利用できない状況が続いており、農民は厳しい生活を余儀なくされてきた。これまでにALMABIPDAは、Luchana氏のリーダーシップの下、様々な関連政府機関との会合を始め、今年JICAが行なった同事業に関する現地調査においても、農民の抱える問題や要求を伝えるなど、積極的な活動を続けている。
ボホール州の農家の生まれ。勤勉で大学に進むものの、家族の農業収入では学費を賄えず、大学3年(政治学)で中退。現在は、5児の父親。類まれなリーダーシップと信頼感から1997〜2007年まで、カルアサン村評議員に連続して選出された。2007年には村長に選出され、任期中。