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フォーラムMekong

フォーラムMekongは、メコン河における開発・環境・生活・援 助について様々なテーマを取り上げます。調査・研究、現地報告、 写真による生活の紹介などをまとめ、年2回発行しています。

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フォーラムMekongは9−4号まで1部500円(送付手数料別)、10-1号から1部750円(送付手数料別)で販売しています。購入を御希望の方は、ご希望の号数・冊数とお名前・ご住所・お電話番号を明記の上、メコン・ウォッチまでご連絡ください。下記で品切れとなっている号については、コピーを300円でお分けしています。

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バックナンバー

バックナンバーの目次と概説

最新号 : Vol.10 No.2(209.3.31発行)
特集: ODA改革へ向けて−メコン河流域開発、環境・人権への影響−

政権交代をきっかけに、政府開発援助(ODA)の今後を巡る議論が活発化しています。メコン・ウォッチと国際環境NGO FoE Japanは、2010年1月23日に公開セミナー「検証:ODAを問う−メコン開発から見た環境と人権への影響」を開催しました。本号では、このセミナーの内容にそれぞれの筆者が加筆し、日本のODAについてメコン流域国での懸念される点を指摘し、より良い将来像の構築のための提言を行った特集を組みました。 新興国の台頭や日本の援助額が減る傾向にあるとはいえ、私たちは依然としてメコン諸国に大きな影響力を持っています。メコン流域の開発の現状、そして日本のODAの将来について考える素材として、ぜひご一読ください。

【目次】

メコンの姿:四千の島々
特集: ODA改革へ向けて-メコン河流域開発、環境・人権への影響-
開発ラッシュのメコン流域とODA
カンボジアにおける強制立退き
   〜開発援助のこれまでとこれからを考えるために
ビルマ−「軍事独裁援助」からの脱却
貧困削減? 貧困の創出?−ラオス・ナムトゥン2ダムに見る開発援助の問題
誰のための援助、という古典的な問い−タイの事業に見る援助と評価
事業仕分け」から考える、現代日本のODA
レポート:
 ベトナム・ソンブン4水力発電事業が地域社会と環境にもたらす影響
人々の物語 (2) 魚の声
風景を切り取るA −広がる外来種− 

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Vol.10 No.1(2009.9.30発行)
特集:開発援助から振り返る日本とメコン流域国の関係

「希望と発展の地―メコン」。
2009年、日本政府はこの年を日メコン交流年と定め、流域国との関係強化を謳った。国際協力機構(JICA)の広報誌、JICA's Worldの2009年6月号では、冒頭のように銘打った特集が組まれている。そこには、急速な経済発展を遂げるメコン河流域と日本の協力が紹介されている。一方で、私たちが見ているメコン流域各国は今、様々な環境・社会問題が顕在化している。ここに挙げた事業は、日本の公的機関や政府が出資する国際機関、アジア開発銀行(ADB)や世界銀行(世銀)が関与したものである。「持続的な発展」や将来の希望を安易に語る前に、過去の検証は避けて通れない。今号では、開発援助を通して日本とメコン流域国の関係を振り返ってみた。

【目次】

メコンの姿:変動が生みだす恵み
特集:開発援助から振り返る日本とメコン流域国の関係
ビルマ バルーチャウン水力発電所
開発モデル?-ラオス・ナムルックダムの事業評価の疑問-
トゥンヒンブン水力発電プロジェクト及びトゥンヒンブン拡張プロジェクト
タイ 論争のシーナカリンダム
活動から:フィールドスクール報告
メコンの環境・開発と日本の経験をつなぐ
ラオス-日本学生交流会の報告
レポート:
 メコンの水の共有と影響の回避を 着々と進む中国・瀾滄江のダム開発
 メコン河委員会と国益の問題
人々の物語 :タパー山の伝説
風景を切り取る :ラオス ナムトゥン2ダム

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Vol9 No.4 (2008.12.31発行)
世界最大の援助機関JICA 不安と期待

巻頭言 「あえて開発援助削減を提言する」
「開発援助とは何だろうか?なぜ必要なのだろうか?」困っている人を助けるためにあるのか、経済インフラの建設なのか、自立を支援することか、経済成長を支援して貧困削減をするのか、外交手段なのか…。しかし、本当に援助が必要なのかを考えるには、全てをそぎ落として「ない」ところから議論を始めるべきではないか。年間予算1兆円の新JICA誕生を機に、援助の本当の意義を見出すべきである。
巨大援助機関誕生 〜NGOから見た新JICAの「意味」〜
新JICAが実現する、技術協力・有償資金協力・無償資金協力の援助手法の一体化による、調査と資金供与の連携に伴う期待と不安を考える。円借款事業の事前調査不足を補って環境破壊・住民移転を回避できても、調査水準や調査予算の配分、融資決定への影響が懸念される。また無償資金協力でも円借款レベルの高い事前審査が期待されるが、途上国の技術不足に関係する対策の不安をどう解消するかも着目される。今後も、NGOを含めた市民社会が監視していく必要がある。松本悟の報告。
世界最大の援助機関とその先行き
新JICAは二国間援助機関として最大規模となり、事業量や対象国、事務所数などは他国の援助機関と肩を並べる。しかし、人口規模な どで長期的には後退を余儀なくされる援助は折り返し点を迎えている。過去や将来の援助に対する効果の分析、研究部門を含めた資金 の戦略的配分は不明確である。人材や経済規模などのリソースの長期的な活用の先行きには不安が残る。(大垣俊朗)
世界最大の援助機関に望む〜ラオスからの声〜
日本からラオスへの援助の歴史は50年にわたり、教育分野で目覚ましい効果を上げる一方で、環境・社会影響が見られるプロジェクトもある。草の根の人々が開発の担い手となることや、ラオスにとってあるべき持続可能な発展の実現、そして今後の日本の援助のあり方ついて、市民団体・環境番組製作者・国立大学研究者の3人にメコン・ウォッチの東智美がインタビューした。「いつまでラオスを支援するのか見通しを考えてほしい」という問いを、JICAを含めた援助機関は受け止める必要がある。
対ビルマODAに望むこと
ビルマでは、軍政による国民への人権侵害が横行しているにもかかわらず、ビルマに暮らす人々の生活の実態はなかなか伝わってこな い。ビルマ軍の攻撃や強制移住などにより国境を越えた難民の数は、2008年には累計で14万人になった。そのような状況下で、果た して日本の対ビルマODAは有効に使われているのだろうか。真の援助を必要としている人々に対し、日本政府にできることとは何か。
日本ビルマ救援センター(BRCJ)の中尾恵子氏の報告。
「同世代が支えるカンボジア」〜現地の若者にみる必要な援助〜
カンボジアにNGOインターンとして滞在し、現地の同年代の若者と接する機会が多くあったメコン・ウォッチインターンの内山智晴の報告。働き盛りの若者が何を考え、何を問題としているのか。現状に対し、どのような援助が日本に期待されているのか。彼らとの付き合いを通して感じたことを「若者の就労環境」に注目した。
市民社会と新JICA 〜新JICA発足をきっかけに市民社会との関係を考える
新JICA発足によって、政府援助機関、NGO、市民社会の関係は、今後どのようになっていくのだろうか。日本としてより良い援助を実現するために、市民社会がどのように援助の方針作りに参画し、政府援助機関と連携をしていくのか。ODA改革ネットワークの立ち上げに関わり、長年 ODA政策提言に取り組んできた、(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC)の高橋清貴氏にお話を伺った。メコン・ウォッチインターンの大垣俊朗が報告する。
新JICAの環境ガイドライン策定
国際協力機構(JICA)が生まれ変わり、業務の流れが変化する中で新JICAはどのような環境社会配慮をすべき、もしくはすることが可能なのか。新JICAガイドライン改訂作業の委員会にNGO側として加わった経験から、これまでの議論の流れと今後の課題について、国際環境NGO FoE Japanの清水規子が報告する。
JBIC& NEXI新環境ガイドライン・ドラフトの内容と評価
2007年より、国際協力銀行(JBIC)と日本貿易保険(NEXI)が共同開催してきた、環境ガイドライン改訂についてのコンサルテーション会合は第14回会合をもって終了した。この会合に NGO側として加わった立場から、地球・人間環境フォーラムの満田夏花が改定ドラフトの内容を概観し、改定プロセスを評価する。

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Vol9 No.3 (2008.9.30発行)
女性・開発

巻頭言 「ジェンダーと開発」
「身体的な性差であるセックスに対して、ジェンダーは社会的・文化的に作られた性差」と開発の分野では定義されることが一般的である。しかし、これまでの「ジェンダーと開発」に関わる活動で一般的に中心を担ってきた「女性の被抑圧的な立場」という視点のみで、果たしてこの問題を語れるものなのか。
女性たちの立ち退き体験
アジア開発銀行(ADB)が融資したカンボジアの国道一号線改修事業では、住民移転の失敗により沿線住民が多大な苦労を体験した。改修工事が2005年に終了した一方で、2007年7月に移転住民がADBに正式に異議を申し立てるなど、移転・補償問題は未解決のままである。重要な現金収入源である雑貨販売業が打撃を受け、家事・家計を補うために女子の休学が増え、不満の鬱積した夫が妻への暴力を激化させるなど、立ち退きが女性に及ぼした影響は深刻である。そうした現状を、メコン・ウォッチの土井利幸が報告する。
メコン国境の女たち〜「開かれる」国境と「閉ざされる」機会〜
過去約20年間のメコンの国境地帯をジェンダーの視点から観察することで、戦争と抑圧の中で女たちが切り開いてきた経済活動の機会が、国境が「開かれる」ことによって閉ざされていった過程、さらには女性が被る経済発展のしわ寄せについて、アジア工科大学の日下部京子氏が報告する。
GMS開発と女性・子供の人身売買
拡大メコン地域経済協力(GMS)開発という、交易を拡大し、国際的な競争力を持つための地域振興を目指した開発計画の裏側で、開発によって人々の貧困が削減・解消されるどころか地域住民の日常生活の安全保障を脅かし、発展とは裏腹な状況を生み出している実態を、恵泉女学園大学/人身売買禁止ネットワーク(JNATIP)の齋藤百合子氏が人身売買の問題から報告する。
ラオス北部の焼畑民の暮らし
北部ラオス・チョムレンノイ村の「山の民」カム民族の焼畑農業を中心とした生活を紹介。インフラ開発事業による土地利用の変化がもたらす生活への圧力を、写真とインタビューを交えて、メコン・ウォッチの東智美が報告する。
魚をあつかう女性たち
ラオスや東北タイにおいてローカルな市場で活動する女性たちから、パクムンダム建設による生活の変化を聞き取り、ダム反対運動の裏側にある女性たちの生活を紹介する。メコン・ウォッチの木口由香による報告。
文献紹介:ビルマ軍事政権下で脅かされる少数民族女性たち
ビルマ軍政の下、少数民族の女性たちは人身売買や国軍兵士らによる強かんの標的になりやすい。表面に出にくいこのような迫害に対して女性たちは声を上げ始めた。ここでは女性に対する人権侵害について、民族女性団体がまとめた報告書の一部を紹介する。
ラオスにおける国際NGOの土地問題作業部会の活動と土地使用権ワークショップ
(2008年4月7日)の報告
ラオスでは外国投資企業への土地使用権の付与が急増して問題となっている。国際NGOネットワークの土地問題作業部会が、森林・鉱山開発の地元住民への影響を指摘し、政策協議のワークショップを行った。作業部会代表のグレン・ハント氏からの寄稿。
メコン河と瀾滄江での想い〜取材ノートから〜
「瀾滄江・怒江伝」の出版に際し、取材を通して見えた同地域の伝説や地域探査をした学者達の姿、そして大開発が進む西部中国の格差問題について。朝日新聞・加藤千洋氏の講演録より。

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Vol9 No.2 (2008.6.30発行)
ビルマ〜サイクロン後の人々、軍政

巻頭言 「資源の呪いとビルマ」
資源がないから貧しい」という定説は今日のアジアを見れば説得力がない。とくに今号で取り上げるビルマは、東南アジアにおいて最も資源に呪われている国の1つであろう。
ビルマ〜サイクロン被災からの復興をめぐる軍政の思惑〜
2008年5月に襲来したサイクロンの被災者支援を行わず、自分たちの権力保持を優先した軍政の政策は、国内外で激しい怒りを生んだ。軍政幹部たちの最大の関心事は、復興ビジネスでいかに儲けるかにあるようだ。救援、復興に関わるドナー各国や国連、世界銀行などの国際機関が注意するべきことは何か。ビルマ情報ネットワーク/メコン・ウォッチの秋元由紀が報告。
「難民観光」はいつまで続くのか〜「首長族」観光の現在と未来〜
首長族」として知られるカヤン民族は、ビルマ国軍の暴力から逃れるためタイ側に越境してきた難民である。人間動物園と揶揄される観光村で暮らす彼らは、タイ政府と観光産業の思惑の中で権利を奪われ続けてきた。カヤン観光村の人々の現実を、神戸大学大学院総合人間科学研究科博士課程の久保忠行が報告する。
ビルマの消えゆく民族
ビルマ最北のカチン州で、消えゆく少数民族、タロン民族の人々に出会った。現在、ビルマ国内に数名が存命するのみというタロン民族。写真家・甲斐典夫による、見えざる少数民族の人々の暮らしの貴重な記録。
インタビュー:ショーン・ターネル博士〜壊滅したビルマの穀倉地帯、多額の資金を隠し持つ軍政
マッコーリー大学助教授でビルマ経済が専門のターネル博士が、サイクロン後のビルマの米産業、ビルマ軍事政権が隠し持つ多額の資金、そしてサイクロン被災者救援のための人道的介入の可能性について語る。
メコン談話室から:援助は誰のものか〜ビルマにおける開発援助と暴力
2008年4月1日におこなわれた第43回メコン談話室、渡部沙織(上智大学大学院グローバルスタディーズ研究科博士前期課程)による報告。ビルマでは環境破壊や土地収用、強制労働など軍政が行う開発の負の側面に対して、住民が声をあげられないよう徹底的な人権侵害がおこなわれてきた。軍政下の開発援助と暴力について考える。
写真展「ビルマ2007 民主化運動:高揚、弾圧、現在」
2008年2月5日から15日まで、東京・汐留の共同通信社本社ビルで開かれた写真展。大好評を収め、現在もパネルが国内外を巡回している。主催者代表として秋元由紀が振り返る。
メコン・ライブラリー
メコン・ウォッチが事務所内に開設しているメコン・ライブラリーにある、ビルマに関する文献8点を紹介。ビルマの民族居住地域でのダム開発の実態を明らかにする資料、国際金融機関からの本格援助再開の問題を取り上げたものなど。
プロジェクト・ウォッチ:カンボジア国道1号線改修事業〜無償資金協力と大規模住民移転
カンボジアの首都プノンペンとベトナムの商都ホーチミン市を結ぶ、カンボジア国道1号線。メコン河西岸区間は日本の政府開発援助の影響を受け、改修工事に入っている。福田健治(メコン・ウォッチ)が、4000以上の世帯に影響を及ぼすこの事業の住民移転の被害実態を報告する。

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Vol9 No.1 (2008.3.31発行)
メコン本流ダム開発

巻頭言
本流ダムが母なる河、メコンを脅かす
中国以外では建設されていなかったメコン河本流ダムの計画が動き始めてい る。河川環境の問題に取り組むアメリカのNGO、インターナショナル・リバース(International Rivers: IR)は、自然・社会環境に大きな影響を与える恐れのあるこれらの計画に懸念を表明している。IRが発行した “Mainstream Dams Threaten the Mother of all Rivers” (2007) の抄訳から、過去の計画内容と現状を概観する。
メコン河本流ダム計画
メコン河下流におけるダム開発計画が息を吹き返した。ここでは、タイの環境NGOであるTERRAの発表した”Background to the Mekong mainstream dams (2007)”および”The MRC: Unwilling or unable to respond to concerns over mainstream dams, Watershed, Vol.12 No.2”から、メコン川本流ダム計画がどのような変遷を辿ってきたかを振り返る。
メコンの魚:「回遊」について何が分かっているのか
メコン河の魚は「回遊」している。日本語の情報が非常に限られているこのメコンの魚の回遊について何が分かっているのかを、メコン河委員会(MRC)の報告、“Fish migration of the Lower Mekong River Basin: implication for development, planning and environmental management. MRC Technical Paper No.8.(2002)”から読み解く。
本流ダム開発〜メコン市民社会の声をめぐって〜
再燃する下流ダム開発を憂い、メコン河流域のNGOや住民が声をあげはじめた。2007年に発せられた二通の公開書簡を通して、この問題に対するメコン市民社会の動きと各方面の反応を伝える。
ラオス・ウドムサイ県パクベンダム・プロジェクトサイト訪問レポート
これまで中国以外の国ではメコン河本流にダムが作られてこなかったが、タイ、ラオス、カンボジアで、次々と本流ダム建設のための調査が開始され、計画が現実味を帯び始めた。2007年8月末、「ラオス政府と中国の投資企業との間で覚書(MOU)が結ばれ、ウドムサイ県のパクベン地域での水力発電事業の調査が開始されることになった」とラオスの英字紙『ビエンチャン・タイムズ』が報じた。中国企業によって進められている調査サイトと影響を受けると推定される村を訪問した現地報告。
魚の回廊フー・サホンと人々の生活
フー・サホンはラオス南部でメコン河が分流した流れの一つである。ここは、メコン河下流域の魚類生態に重要な意味を持った場所であるが、ここにドンサホンダム建設の計画が持ち上がっている。漁業、特に慣習的権利のある漁場利用を通し、ダム開発によって影響を受けるとみられる人々の生活の一端を紹介する。
カンボジア・サンボーダム
サンボー水力発電所はカンボジアのクラチエ州、サンボー地方のクラチエの町から北に約35kmのメコン河本流に計画されているダム。カンボジア政府は数十年間この計画の推進に関心を抱いており、1960年代まで事業のためのさまざまな計画や調査が続けられてきた。しかし政治状況、資金繰り、事業による多大な環境社会影響などのため、今日まで計画が実現されることはなかった。このダムに関する報告の翻訳。
ベトナム国内の新聞記事から見たベトナム中部河川開発の現在(後編)
社会主義国であるベトナムにおいて、河川開発に関する批判的な情報を入手することは容易ではない。ベトナム農民協会機関紙『ノントン・ガイナイ』( きょうの農村報)など、ベトナム国内の新聞記事からベトナム中部山岳地域における河川開発が抱える問題を概観する。

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Vol8 No.4 (2007.12.31発行)
土地・森林/人々の異議申し立て

巻頭言:「開発劇場の登場人物」
本号の冒頭で、カンボジアの2つの事業を取り上げた。いずれの事業でも、被害住民がそれぞれの国際機関に異議を申し立てている。国際機関の制度を構築し、それを問題解決に使おうとする住民やNGOの行動は、開発のファンタジーに飲み込まれドラマの登場人物の役割を担ってしまうのだろうか。
異議を申し立てた被害住民 〜国道一号線改修事業(ADB融資区間)の移転問題をめぐって〜
道路改修工事で立ち退きを余儀なくされた住民によるADBへの申し立てと、それに対するADBのスペシャル・プロジェクト・ファシリテーター(SPF)の対応の経緯を追いながら、業務による住民生活への悪影響に対してADBがどのような責任を果たそうとしているのかを考察する。
カンボジアにおける世界銀行の「森林伐採権管理・規制パイロットプロジェクト」 〜被害住民によるインスペクション申し立て〜
「森林伐採権管理・規制パイロットプロジェクト(FCMCPP)」は、世界銀行の融資により2000年に立ち上げられた、森林伐採権制度を通じた森林管理推進事業である。FCMCPPは、汚職が蔓延し、社会・環境に多大な被害を及ぼしている現行の森林伐採制度を正当化しているとして、NGOなどから厳しく批判されてきた。2005年に行われた世界銀行インスペクションパネルへの申し立ての理由と根拠、そしてインスペクションの結果と教訓を、カンボジアNGOフォーラムが振り返る。
インタビュー:ナタン・パデノックさん(IUCNラオス事務所)、ラオスの土地問題と環境団体の取り組み
ラオスでは、産業植林などの民間投資事業が、地域住民との土地紛争や天然林の伐採などの問題を引き起こしている。こうした土地コンセッションをめぐる問題の改善に向けて、海外の環境団体はどのような取り組みを行っているのか。国際自然保護連合(IUCN)ラオス事務所のプログラム・コーディネーター、ナタン・パデノックさんに、IUCNの活動について聞いた。
ラオスの土地コンセッションをめぐる動き
植林事業やインフラ開発事業などの投資企業に対する土地コンセッションの付与が急激に進んでいるラオス。それに伴い、各地で企業による土地取得が地域住民の財産や生計手段を脅かしている。ラオスの英字新聞ビエンチャン・タイムズ紙の報道から、最近の動きを振り返る。
村人の目に映る植林とは? 〜ラオス・カムアン県における企業植林の実情〜
近年、ラオスにおける植林事業は怒涛の勢いで拡大している。ある日本企業はラオス国内で50,000haのコンセッションを取得している。日本社会の中でもCSR(企業による社会的責任)が認識されるようになるにつれ、このような植林をその一つとして掲げる企業も多くなってきた。だがその実態はいかなるものか。現地住民から見た植林事業を考える。
ベトナム国内の新聞記事から見たベトナム中部河川開発の現在
ベトナム中部山岳地域の河川開発に伴う山岳民族の再定住事業への批判、証券市場における水力発電事業の投資に対する懸念を、現地紙の情報をもとに指摘。癒着が絡む開発事業の引き起こす強制移転などの失敗を暴く。(前編)
タイの社会運動家ワニダーさんが永眠
パクムンダムの闘争など、開発事業の負の影響を受けている農民たちと共に、権利や資源を守るために働いてきたタイの社会活動家ワニダーさんが2007年12月、癌のため亡くなった。新聞記事からワニダーさんの草の根の正義の闘いを振り返る。

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Vol8 No.3 (2007.9.30発行)
調査報告 「『はかる』ことが暮らしに与える影響」ほか

巻頭言:「知るということ」
『はかる』ことがくらしに与える影響〜タイ・ラオスの開発問題に関する共同調査の中間報告〜
開発する側の論理で貧困レベルや資源の量を『はかる』ことが人々の暮らしを破壊する開発に繋がっているのではないか、という仮説のもとにトヨタ財団の助成を得て『はかる』ことの機能に着目した研究プロジェクトを実施している。その中間報告。
土地・森林利用をめぐる政府の『はかり』と地域住民の『はかり』〜ラオスの土地・森林政策が引き起こす影響〜
ラオス、ウドムサイ県パクベン郡の村人たちが土地や森林資源をどのように『はかって』きたのか、またそれとは異なる政府の『はかり』が村人たちにどのような影響を与えているかを考察する。
メコン談話室から:資源開発ラッシュのメコン河下流国〜呪いか恵みか〜
自然資源管理の博士号を持ち、メコン河地域における採掘産業問題を担当しているOxfamアメリカの採掘産業プログラムオフィサーであるヴァービック・ブラウン氏による講演。
雲南省の高層ダム:中国の新たな電力・規制機構による介入の必要性
中国政府の支援下にあるダム建設業者らは、北京の電力目標を満たすために、充分な管理の伴わないダムを乱立させている。管理・規制機構による踏み込んだ調査の必要性が問われる。

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Vol8 No.2 (2007.6.30発行)
開発と金融

巻頭言:梃子で動くものと動かぬもの
援助機関が途上国政府に対して課す融資条件を梃子に、政策の変更を求めるレバレッジ。 環境社会面のレバレッジによって開発プロジェクトが正当化される一方で、『最も調査されたダム事業』のナムトゥン2ダムでの具体的な現象には疑問が残る。被害住民の問題解決につながるレバレッジの適切な実施とは?
メコン河に何が起きているのか?〜ラオス北部、国境を越えた環境影響の調査報告〜
ラオス北部ではメコン河の水位の異常な変動などの環境変化が大きくなり、大規模な河岸寝食や魚の減少を引き起こして、地域住民の生活が脅かされている。現地調査によって、タイや中国、ビルマの自国の利益のみを見た開発事業や生産活動が、国境を越えて環境影響を引き起こしている状況が見えてきた。ラオス国立大学理学部とラオス北部ボケオ県を調査したメコンウォッチによる報告。
タイ・パクムンダム 終わりない対立と苦悩
東北タイのムン川に世界銀行の援助によって建設されたパクムンダムでは、水門の一時開放によって漁場の改善が見られる一方、開放を巡って、コミュニティー内の対立、行政への不信が強まってきている。地域住民や行政官の信頼関係が崩れて住民は村を離れ始め、グッドガバナンスと逆行する事態は、はたして開発のめざすものなのだろうか。
インタビュー:タイの公害問題 ペンチョム・セータンさん
急激な工業化を遂げたタイ。その発展は成功例として1990年代に大きくもてはやされたが、1997年の経済危機によりもろさを露呈した。また、成功の裏には影の部分も存在する。同国で始めて公害問題に直接取り組むNGOを立ち上げたペンチョムさんは、「タイは備えなく工業化した」と指摘する。
アジア開発銀行(ADB)第40回総会とは何だったのか?
2007年5月4日〜7日、京都にてアジア開発銀行(ADB)の第40回年次総会が開かれた。ADBの最大出資国である日本で開催される総会には海外約20カ国から80人以上のNGO関係者及び被影響住民の代表が来日し、総裁との対話や各国政府代表団やADB理事への提言活動、ダイレクトアクション等が行われた。
「村人の気持ち」ナムトゥン2水力発電ダムサイト視察旅行に参加して
MeREM(Mekong River Ecosystem Monitoring)の第4回国際ワークショップの一環であったナムトゥン2ダムサイト視察旅行同行記。
中国金融機関の政策改善に向けて
近年、メコン河流域のみならず、アフリカなど日本政府が援助の力点を移しつつある発展途上国で、中国の援助や投資の関わる事業の拡大とその不十分な環境政策が引き起こす現地の環境社会問題への危機感が増大している。中国で輸出信用機関に相当する機関は、政策性銀行と呼ばれる中国輸出入銀行、国家開発銀行だが、特に中国輸銀は世界最大の輸出信用機関になるだろうと予想されている。メコン・ウォッチは「中国の金融、環境、調和社会」と題したワークショップを北京で開催し、中国市民社会と共に改善に取り組み始めた。

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Vol8 No.1 (2006.3.31発行)
<特集>ラオスの土地・森林政策特集

巻頭言:ラオスの土地・森林政策を見る目〜わかりやすく、しかし単純化せず〜
本号では、わかりにくい「ラオスの土地・森林政策」を、それがもたらしている現象に着目しながら、できるだけわかりやすく書いたつもりである。しかし、わかりやすい=単純化、ではない。『森林保護』や『植林』ということばは、時に自然資源をめぐる複雑な問題を単純化してしまう。単純化されたレトリックに基づく政策が、ラオスでは農村の人々を苦境に追いやっているように思えてならない。
土地や森林を巡る問題〜カムアン県の事例から〜
異なる意向を持つアクターが森林資源の獲得をめぐって競合しているラオスで、その利害関係を調整する方法の一つが、用途や性質によって林野を区分する「ゾーニング」である。しかし、ゾーニングの定義や管理権の所在は、力のある人々に恣意的にコントロールされ、村人の声を押さえ込む形で土地や森林を収奪する事例が繰り返されている。日本国際ボランティアセンター(JVC)ラオス事務所・現地代表(当時)の名村隆行さんによるラオス中部・カムアン県からの報告。
政策の実施が作り出す村の土地・森林問題〜ウドムサイ県パクベン郡の事例から〜
ラオスでは、土地・森林の利用や管理に関わる様々な政策が複雑に絡まって、森林の破壊的な利用を加速させたり、村人の森林へのアクセスを制限し、村人の生活手段を奪うことにつながっている。村落移転、村落合併、水源林管理、そして「土地・森林委譲事業」などの政策がどのように結びつき、村人たちの生活を困窮させているのか、メコン・ウォッチが北部・ウドムサイ県パクベン郡で実施している土地・森林利用調査の経験から報告する。
ラオスの土地・森林委譲事業とは
1996年からラオス全土で実施されている「土地・森林委譲事業(Land Forest Allocation:LFA)」の経緯と目的、LFAがもたらしてきた功罪についての概観。
援助か?誤った政策の手助けか?〜ラオスにおける政策的移転と国際援助機関〜
ラオスでは、何十万人もの少数民族が過去10年の間、不適切な思いつきのもとに行われた移転政の実施により、苦難と死を経験してきた。この状況を作り出している政策には、海外の援助機関が直接・間接的に、自覚的または無自覚に、相当な量の支援をおこなっている。援助機関が政策的移転を支援することによって被影響住民の人権侵害を助長しているのかが問われている。
金のなる木?〜ラオスの産業用植林〜
ラオス政府は、アジア開発銀行などの国際金融機関に駆り立てられ、産業用植林を推し進めている。民間企業は産業用植林を行うため、本来は地域のコミュニティを支援することが目的の土地・森林委譲プログラムを通じ、政府の支援を受けている。タイの環境NGOによる、ラオスの産業用植林に関する政策の検証と、ユーカリ植林によって地域住民の生活が脅かされている事例の報告。
インタビュー1:北村徳喜さん(森林戦略実施促進プロジェクト チーフアドバイザー)
ラオスの中央政府レベルでは、土地・森林政策の課題はどのように認識され、どのような取り組みが行われているのだろうか。「森林戦略2020」の策定に携わり、現在は「森林戦略実施促進プロジェクト」のチーフアドバイザーとして、ラオスの森林政策の中枢に関わる北村徳喜さんに聞いた。
インタビュー2:プレムルディー・ダオルンさん(TERRA共同代表)
長年、ラオスの森林イシューに関わってきたタイの環境NGO、TERRA(Towards Ecological Recovery and Regional Alliances)のプレムルディー・ダオルンさんに、ラオスの森林問題に対する問題意識と、これまでの取り組みについて聞いた。
ラオスの土地・森林政策にNGOはどう取り組むのか
ラオスの土地・森林政策を活動に活かそうと森林プロジェクトを立ち上げた日本国際ボランティアセンター(JVC)と、政策提言活動を主たる活動としながら、ラオスの村の土地・森林問題に取り組むメコン・ウォッチ―ラオスの土地・森林政策にNGOはどう取り組むのか。13年前のJVCによる森林プロジェクトの立ち上げの経緯と、現在のメコン・ウォッチによるラオスの土地・森林政策への取り組みを紹介する。
メコン・ライブラリー
Poverty Reduction and Shifting Cultivation in the Uplands of Lao PDR
Forestry Strategy to the Year 2020 of the Lao PDR

※フォーラムMekong Vol.8 No.1は独立行政法人環境再生保全機構の助成を受けて作成されました。Vol.8 No.1号については、無料でダウンロードできます。

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Vol.7 No.4 (2005.12.31発行)
「怒江ダム計画論争」
ほか

巻頭言「援助国−被援助国」という関係の終焉
近年、中国によるODA・投資が急速にその影響を拡大しており、「援助国」日本の動きに注視していればいいという時代は終わりを告げつつある。「援助される」発展途上国というカテゴリーは、時代遅れになっているのではないだろうか。
怒江ダム計画論争 〜中国市民社会との連携に向けて〜
怒江に計画された13のダムを巡る中国内の大論争を概観する。不十分な環境影響評価や住民の移転、ダムそのものの安全性への疑問など問題は多く、マスコミや市民社会から反対の声が沸きあがっている。
ANALYSIS Watch 中国と日本、インドシナをめぐる綱引き
日本と中国のメコン河流域国の開発を巡るつばぜり合いについての分析リポート。70年代以降、90年代にかけて日本がODAや投資を通じて影響力を行使してきたが、力強い経済成長を続ける中国は援助、投資、外交を駆使してメコン河流域諸国に接近しており、形勢は中国に傾きつつあるとする。
国際金融機関とビルマ 〜援助再開の可能性は〜
ビルマ(ミャンマー)は40年以上も軍事政権下にあり、欧米諸国は経済制裁を課し、日本も円借款を凍結している。世銀やADBなどの国際金融機関も80年代半ばから援助を停止し、再開のめどは立っていないかに見えるが、実際はどうなのだろうか。アフガニスタンなど他国での事例を引きながら、国際金融機関のビルマへの援助再開の可能性について考える。
タイ・ゲンコイ第2複合火力発電所 〜住民の声にJBICはどのように応えてきたか〜
タイ中部に建設中のゲンコイ第2複合火力発電所にはJBICが協調融資を決めている。しかし周辺では大気汚染や水不足など深刻な環境社会影響が懸念され、建設に反対する住民たちがJBICに融資を再考するよう働きかけてきたが、これまでのところJBICの対応は誠実で現実的とはいいがたい。
<寄稿>たたずむダムに見たもの:スタディツアーに参加して
メコン・ウォッチが2005年8月に主催した、タイ東北部のパクムンダム周辺とその影響住民を訪ねるスタディツアー。参加者の一人が、ダムによって生活が激変した住民たちと触れ合った体験が、「援助とは何か」「誰のための援助なのか」といった根本的問題を改めて考える契機になり、安易な開発援助に疑問を抱くに至った思いをつづる。

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Vol.7 No.3 (2005.9.30発行)
「融資決定後のナカイ高原を訪ねて」
ほか

新たなダムではなく情報を!〜カンボジア・セサン川住民の苦しみ〜(巻頭言)
Field Report:融資決定後のナカイ高原を訪ねて〜ナムトゥン2ダム・プロジェクトサイト訪問の報告〜
ナムトゥン2水力発電プロジェクトへの融資が決まってから7ヶ月、ラオス・カムアン県では何が起こっているのか。プロジェクトサイトを訪れた。
セサン川・スレポック川・セコン川流域の「開発」は何をもたらしたのか?
流域漁民やカンボジア政府職員、国内外のNGOが参加したカンボジア北東部漁業フォーラムの報告をはじめ、「セサン川周辺住民の声」、「スレポック川訪問フォトレポート」など、現地の情報が詰まった記事5本。
<寄稿> メコンデルタの防災と環境
防災のカテゴリーの中で特に注目度の高い洪水を中心事例としてメコンデルタの現状を俯瞰し、環境問題や開発の観点からこの地域が抱える自然災害増大へのリスクを考察する。

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Vol.7 No.2 (2005.6.30発行)
「インド洋津波生還者とかれらの選択」「ラオス中部の水田における多様な植物」
ほか

何を援助するのか 〜ソンバット氏のマグサイサイ賞受賞を祝って〜
2005年の「アジアのノーベル賞」、マグサイサイ賞を受賞したラオスのソンバット・ソンポーン氏。彼は、ラオスには数少ない「反骨精神のある活動家」として、「在野」にこだわり、ローカルNGOでの活動を続けてきた。ソンバット氏はラオスの若い人々が自分で考え、自分で工夫して、自分の足で立つこと――外国の援助や開発計画に頼るのではなく、自立して生きていくこと――にこだわる。社会主義国・ラオスでの活動には制約も多いが、メコン・ウォッチは彼の信念と地道な活動を応援していきたい。
インド洋津波生還者とかれらの選択
2004年12月におきたインド洋津波の被害地のうち、タイ南部プーケット県とパンガー県での被害状況を実地に調査したレポート。災害からの「復興」が進む中で、土地の所有権をもたない零細漁民が居住地から追い出されたり、や「シージプシー」と呼ばれる人々に政府の支援がほとんど届いていなかったり、ビルマ人の出稼ぎ労働者が暴行を受け強制送還されたりといった、社会的弱者が津波後に置かれた過酷な状況について分析・考察する。
ラオス中部の水田における多様な植物
アジアにおいて最も主要な農業的土地利用の一つである水田は、希少な湿地植物を含む多様な植物の宝庫である。しかし近年、農薬の使用や作付け体系の変化などにより、その植生は急速な変化を遂げている。こうした視点からの科学的調査はメコン河流域の諸地域ではほとんど行われていない中、ラオス中部の農村で実施した詳細な調査の結果を報告する。豊かな植生の状況のみならず、水田と共に生きる人々の営みにも筆者の目は及ぶ。
フォトレポート 中国雲南省 ダム移転村再訪
中国・雲南省、「雲龍ダム」の建設により移転を余儀なくされた人々が暮らすようになった移転村。フォーラムMekong Vol5 No3で報告されたこうした移転村の一つ、雲林村を再訪したフォトレポート。人々の生活は大きく変わり、都市型の生活に転換するため、村人たちは模索を続けている。移転前に比べ収入がさがったまま回復していないなど、現場で見えた問題点が指摘されている。
大メコン圏首脳会議に、公正で持続的な開発を求める! 〜「メコン民衆評議会」チェンライ会議報告〜
中国・昆明市で開催された第2回大メコン圏首脳会議(GMSサミット)に対抗して開催された「メコン河開発における民衆評議会の役割」と題する会議。この会議は多くの東北・北タイ住民組織や地元自治体職員を中心とする「民衆評議会」が、住民自身の視点から越境環境問題と開発への住民参加を議論し、GMSサミットに対して公正で持続的な開発を求めるものとなった。「民衆評議会」が今後より広く流域全体の民意を救い上げるものとなっていけるのか、注目が集まる。
昆明宣言
2005年7月に中国・昆明市で開催された第2回大メコン圏首脳会議(GMSサミット)で採択された「昆明宣言」を日本語訳して紹介。
メコン談話室から ラオス 環境メディアプロジェクト 〜可能性と理解を求めて〜
メコン・ウォッチが2004年からラオスで実施している「環境番組の制作と環境教育への利用」プロジェクトがテーマ。ラオスでは、隣国タイの商業的なTV放送の影響が大きいが、このプロジェクトで制作される番組は、住民に自分たちの文化と生活、環境をもう一度見直そう、と訴えかけるものだ。メコン・ウォッチではまた、このプロジェクトを通し、日本でほとんど知られていないラオスの伝統的で持続的な自然管理手法を紹介し、さらには日本からラオスの「援助」のあり方についても考えるきっかけにしたいと考えている。

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Vol7 No.1 (2005.3.31発行)
人と自然の結び目」「同じ魚,違う魚」ほか

7年目の化粧直し(巻頭言)
フォーラムMekong第一号の巻頭言で、フォーラムMekongを発行するねらいを「『破壊としての開発』と『貧しさから脱却するための開発』のジレンマをODAや投資を通じて現地の開発に関与しているかたがたに伝えること」として挙げた。それから6年、「貧困削減」時代である現在のフォーラムMekongの方針を示す。
フィールド報告 人と自然の結び目
東北タイを流れるメコン河最大の支流パクムン川は、その周辺環境を利用した様々な生業を通じて人々の生活を支えてきた。しかし開発による環境の変化は、人々から自然資源や利用権のみならず、生活のために培ってきた「知識」をも奪っていった。人々の生活に密着した「漁具」を通じ、地域住民による資源利用に対する開発の影響について考える。
<写真で綴るメコンL> 同じ魚、違う魚
プロジェクト・ウォッチ: 住民たちの不安と希望〜タイ・マプタプット石炭火力発電所建設計画〜
近年タイでは、地域を守るために闘い、暴力の前に倒れていった人々が実に20名近くに及ぶ。マプタット火力発電所建設への反対運動を旗揚げするリスクは周辺住民とNGO関係者との間でも検討されたが、住民は声をあげる方を選んだ。JBICも融資するマプタプット発電所建設では情報公開や住民の異議申立が制限されている。
プロジェクト・ウォッチ: なぜ日本政府はナムトゥン2ダム計画を支持したのか?
ラオスでのナムトゥンダム建設を支援するという世銀の意思決定に際する日本の立場、世銀の今後の責任、ラオスでの貧困削減に関する財務省とNGOの議論を紹介し、改めてナムトゥン2プロジェクトに関する懸念を考える。
メコン・ウォッチ2004年度MeREM活動報告
メコン河流域で、国境を越えて広がる環境への開発影響が大きな問題となっている中、メコン・ウォッチは流域現地社会と協力しながら問題解決を目指してきたNGOとして、国環研の提案する「メコン河生態系長期モニタリング(MeREM)」に協力することになった。協力する理由や活動内容を報告する。
ニュースダイジェスト
流域国と日本の科学者と記者らが役割交換/タイで川海苔がとれなくなる
メコン・ライブラリー(文献ピックアップ)
メコン河生態系長期モニタリング(MeREM)の調査を通じて入手した文献とMeREMの報告書などを紹介。
メコン談話室 トレンサップ湖 脅かされる人々の暮らし〜開発と援助の問題〜
カンボジアの人々にとって非常に大事な湖であるトレンサップ湖では、過剰な資源収奪による自然資源の枯渇や、開発や投資が引き起こす自然資源の分配や管理の不平等が問題となっている。長年住民とともに活動をしてきたヴァン・ピセット氏がトレンサップ湖住民が直面する問題、援助の問題を語る。

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Vol6 No.4 (2004.12.28発行)
<特集>特集:メコン河開発と環境社会配慮ガイドライン

メコン河開発と環境社会配慮ガイドライン (巻頭言)
過去五年間の動きを振り返る
メコン河開発の過去の教訓が、環境社会配慮ガイドラインや異議申し立て制度などの政策改定にどのように生かされたのかを検証する。
国際協力銀行(JBIC)の環境社会配慮ガイドライン―運用の問題点―
国際協力銀行による環境社会配慮ガイドラインが制定されて2年半、NGOの視点から見たガイドライン運営上の問題点に焦点を当てる。
世界銀行グループの環境社会配慮政策の行方
世界銀行の環境社会配慮政策の水準低下が懸念されている。セーフガード基準はどうなっていくのかを問う。
アジア開発銀行の問題解決メカニズムの実効性を問う
アジア開発銀行の新しい異議申し立て制度、アカウンタビリティー・メカニズムの実効性を考える。
ADB融資国道一号線改修事業監査―非自発的住民移転制作実施におけるカンボジアでの課題
アジア開発銀行が1999年に融資を行ったカンボジアの国道一号線改修事業は、周辺住民の貧困化を引き起こした。2004年からこの問題を監査するプロセスがはじまったが、その監査結果から開発援助期間の課題を考える。
被援助国の住民・NGOのためのハンドブック
環境社会配慮ガイドラインが施行されても、被影響住民がガイドライン制度や異議申立手続きを理解できなければガイドラインは本来の役割を果たさない。どうすればいいのか。
メコン談話室(流域国ゲスト特別講演)国際河川のダム開発と中国の市民社会〜瀾滄江(メコン河)と怒江(サルウィン川)〜
雲南省参加型流域管理研究推進センター代表の干曉剛さんに雲南の水力発電開発と環境NGOの活動について語ってもらった。
メコンライブラリー(文献ピックアップ)
ODAのガイドラインに関する「Protect yourself from Destructive Development〜Handbook on JBIC’s New Environmental and Social Guidelines〜」「途上国支援と環境ガイドライン」などを紹介。

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Vol6 No.3(2004.9.30発行)
<特集>ODA50年とメコン河流域国

巻頭言:ODA50年とメコン河流域国―援助の増額が解決策なのか?
ODA50年とメコン河開発の歴史
50年目を迎えたニッポンのODA。メコン河開発と日本の関わりについて概観する。
日本の対ビルマODA〜不透明かつ人権を軽視する日本の対ビルマ政府開発援助
強制労働や強制移住、虐殺、女性への性暴力がいまだに組織的に行われているビルマに対して日本が行う開発援助(ODA)の意義を問う。
日本の対タイODA〜経済格差を広げるタイのODA
タイにとって最大の援助国である日本。ODAが具体的にどのような負の影響を与えてきたのか。
日本の対ラオスODA
ODAによる被害が繰り返されることによって、ラオスがODAから「自立」する日が遠ざかっている事実を観る。
日本の対カンボジアODA〜日本の援助は貧困の解決につながるのか。
対カンボジア援助について「他ドナー諸機関・国を引き続きリードする」と自負する日本。量はともかく、質的に「リード」する内容を持っているのか。
日本の対ベトナムODA
伝統的な日本の援助パターンを体現している対ベトナムODA。ODAがベトナムの健全なエネルギー政策実現を妨げているのではないか。
日本の対雲南省ODA
経済発展に貢献しているとの評価がある一方で、社会に対する懸念も挙げられている雲南省へのODAはどのようなものか。
統計で見るメコンのODA50年
統計データによってメコン流域国に対する日本のODAの一種独特の軌跡を解説し、50年のODAの回顧を試みる。
ODA批判はなぜ続くのか
1986年5月、ODAに疑問を感じた市民グループが指摘した4つの問題がその後どうなったのかを考える。
メコン・ライブラリー〜ODAとメコン河流域国―文献を読み比べてみよう
「検証日本のODA」「無責任援助大国ニッポン」「日本のODAをどうするか」「メコン河流域の開発」「メコン河開発」

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Vol6 No.2(2004.6.30発行)
<特集>ラオス・ナムトゥン2ダム

巻頭言:民族と資源
ナムトゥン2ダムとは何か―世界銀行に翻弄され続けた15年
ナムトゥン川で2番目となるナムトゥン2ダム建設計画が生まれてから15年、プロジェクトの命運を握ってきた世界銀行の動きをみる。
森林を伐採してからの環境アセスメント―容認できない開発プロセス
ナムトゥン2ダム計画のために水没するナカイ高原は豊かな自然で知られていたが、計画を推し進める関係者たちは、同高原が「激しく荒廃した森林だ」と主張する。ダム建設を正当化する新手法とは。
ナムトゥン2の電力は必要か?―タイ国家電力開発計画の分析から出た答え
タイ内閣が承認した「2004年国家電力開発計画(PDP)」の問題点を指摘し、代替案を示す。
ナムトゥン2ダムは例外なのか?―ラオスのダム建設による未解決の環境・社会問題
ラオスでは「経済発展への数少ない選択肢」としていくつものダムが建設されてきた。これらのダムが引き起こし、未だに解決されていない諸問題を考える。
ナムトゥン2ダムが脅かすナカイ高原の野生動物
貴重な生態系を持つナカイ高原。絶滅の危機に瀕する野生動物を紹介しながら、ダム建設から受ける影響の深刻さをみる。
ナカイに暮らす村人たちの声
ダム建設に対する現地住民の切実な懸念の声に耳を傾けてみる。
世界銀行はなぜナムトゥン2ダムを支援するのか
ナムトゥン2ダム建設への支援を検討する世界銀行が使う、「貧困削減のためのダム」という古くて新しい言い訳とは。
アジア開発銀行はナムトゥン2ダムをどう支援しているのか?
ナムトゥン2計画への支援を急速に拡大するADBの動きを整理してみる。
テクニカルワークショップ報告〜東京編・ビエンチャン編
ナムトゥン2ダム計画について世界銀行が主催したワークショップへの出席報告。
Project Watch:世界銀行が残した負の遺産
世界銀行とタイ発電公社(EGAT)がタイで行った3事業に対する地域や住民側の意見を概観する。
Field Report:ナカイの村人によるホアイホーダムスタディーツアー報告
メコン・ライブラリー
ナムトゥン2ダム関連文献/ウェブサイト紹介

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Vol.6 No.1(2004.3.31発行)
<特集>メコン河流域国の民族と開発・環境

巻頭言:民族と資源
少数民族と開発と環境―東南アジア大陸部における課題
東南アジア大陸部に存在する多くの少数民族のコミュニティーが開発など状況の急速な変化によって直面する深刻な問題を取り上げる。
ベトナム中部高原―少数民族が置かれている現状と課題
ベトナムが少数民族統治のために実施した二つの政策を通して、同国の少数民族が置かれている状況と課題を提示する。
タイ山地民への環境・開発政策の影響
政府による環境政策や山地民政策が、現地の伝統的な知恵と生活にどのような影響を与えているのか。
カチン州の資源収奪から―民族性を越えて見えるもの
ごく限られた人にしか利益をもたらさない自然資源の収奪がビルマ・カチン州を引き裂いている。そこでの勝者と犠牲者を見ながら、ビルマの環境政策の正当性を問う。
メコン談話室から:焼畑防止政策下での村人の生計戦略―ラオス北部ウドムサイ県パクベン群を事例として
メコン・ウォッチも協力するIGESの森林保全プロジェクトの研究協力員、森本隆司氏がラオス北部ウドムサイ県での調査活動について語る。
ひとwith Mekong:チャヤン・ワタナプティ博士
チェンマイ大学社会科学部持続的開発地域センター(RCSD)のチャヤン所長にメコン河流域開発や住民運動について聞いた。
Field Report:メコン・ウォッチのフィールドスクール「東北タイの人々の生活と環境・開発」
「フィールドスクール」スタイルで3つのダムや発電所などの「現場」を訪問した今回のスタディーツアーの概説と参加者の声を紹介。

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Vol.5 No.4(2003.12.31発行) 【PDF版はこちら】
<特集>カンボジア

巻頭言:カンボジア ―新国家成立10年後の開発と環境―
トンレサップを脅かすアジア開発銀行
アジア開発銀行が融資を承諾したトンレサップ湖周辺の自然資源管理と貧困削減のためのプロジェクトの問題点を指摘する。
世界銀行が容認する森林伐採取り締まりの抜け道
政府が伐採規制の抜け道を作り、世界銀行がそれを容認する中、カンボジアの森林セクター改革は進んでいるのか。
国境を越えるダム被害―ベトナムのヤリ滝ダムとカンボジアのセサン川
ベトナムを流れるセサン川に建設されたヤリ滝ダムが下流の生態系や村民の生計手段に及ぼしている深刻な被害の現状。
カンボジア 国道一号線改修計画―求められる住民参加の確保と便益の適正な分析―
アジア開発銀行などの援助機関による道路整備ラッシュを迎えているカンボジア。国際協力機構が開発調査を行った国道一号線改修計画の必要性や経済効果、計画に伴う移転問題などを考える。
Project Watch 国境を越える水―タイNational Water Grid System―
タイ政府が「全国送水ネットワークシステム」の構築を目指すことを決めた。同システムがラオス南部のバンヒエン川流域住民に及ぼす影響とは。
メコン談話室から〜ラオス・ナカイ高原の人々とナムトゥン2ダム計画
ナムトゥン2ダム建設が水没予定地域のナカイ高原の住民に及ぼすであろう社会的影響について、ラオス国立大学のブンスック氏に話を聞いた。
ひとwith mekong エバ・ガラブルさん
カンボジアの森林犯罪監視に携わってきた環境NGOグローバル・ウィットネス(GW)。元カンボジア事務所代表のガラブルさんに、カンボジアの森林問題とGWの活動について聞いた。

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Vol.5 No.3(2003.10.31発行)  【PDF版はこちら】
<特集>中国・雲南現地調査報告書

メコン・ウォッチでは2003年夏、共同研究者3名と共に、10日間の現地調査を実施した。本号は、この現地調査の報告である。調査の対象としたのは、中国の瀾滄江(メコン河上流)本流ダム、メコン河上流の商業航行推進のための浚渫、雲龍ダムの3つの開発事業である。特に統一したテーマはなかったが、結果として、住民の立ち退き問題に大きな比重が置かれた。本号を通じて、改めて中国の開発が引き起こしている問題の大きさと深刻さを読者に考えていただきたい。

メコン河上流開発と中国
中国政府は1980年代に入り、瀾滄江を重要な水資源と捉え、本格的な開発に着手した。しかしこの開発事業が、生態環境、社会環境、さらに下流域諸国に影響を与えることは否定できない。本稿では、メコン河開発と中国の関係小史を回顧すると共に、中国領内でのメコン河本流開発に関するいくつかの事業を概観し、それによる諸問題を明らかにした上で、メコン河開発に求められる中国政府が行うべき対応を提案する。
中国・昆明ダムワークショップ〜世界ダム委員会報告書と瀾滄江開発〜
2003年8月、昆明で2日間にわたり世界ダム委員会(WCD)最終報告書『ダムと開発:意思決定のための新しい枠組み』に関するワークショップが開催された。大型インフラ事業においていかに環境社会影響を軽減するかについて突っ込んだ議論が展開された。ここでは会議の参加記録をもとに雲南での議論の現状についてお伝えし、さらにWCD報告書が瀾滄江の今後の開発計画に対してどのように適用されるかについても検討したい。
中国東部沿岸のNGOから見た雲南省の開発問題〜瀾滄江開発問題に対する中国市民社会との協力のあり方〜
下流国の活動家たちが中国政府に対して手をこまねいている一方、中国国内では、研究者や環境保護論者たちが強い懸念を持ち、悪影響に対処する方法を模索している。本稿では、中国、特に雲南省におけるNGOの発展の経緯を詳述するとともに、瀾滄江の問題についての活動を行っている中国のNGOや調査機関とどのように協力していくか、その戦略を探求する。
下流国タイから見たメコン河上流開発
中国が主導するメコン河の航路の改善プロジェクトとダム建設プロジェクト。地元の住民とNGOが連携して行った1年間の詳細調査によれば、この計画は下流に利益どころか危険と災害をもたらしている。住民とNGOはプロジェクトの停止を求めているが、その甲斐なく、着々とプロジェクトは進んでいる。「声なき」住民は、政策決定者が自分たちの声に耳を傾けてくれることを望むばかりである。
瀾滄江開発における中国研究者の役割 何大明(He Daming)教授へのインタビューから
瀾滄江が流れる中国雲南省で、水資源問題の研究の中心となっているのが雲南大学アジア国際河川センターである。その所長を務める何大明教授に、中国政府による瀾滄江開発についてお話を伺った。
中国・雲南省におけるダム計画と住民移転についての調査ノート
2003年8月1日から14日まで、共同研究者の一人として雲南省各地で現地調査を行った、浜本篤史氏による報告。近年に住民移転が実施された大明山ダムと雲龍ダムの二事例を取り上げ、得られたデータを調査ノートとして整理している。
景洪港から見たメコン河商業航行と上流浚渫
メコン河上流で、ダム開発と並んで環境社会影響が懸念されているのが浚渫事業である。中国では経済交流の活性化という上流浚渫事業の利点を強調するが、一方で下流国の住民、NGOからは懸念の声が挙がっている。中国は何を目指し、懸念される環境社会影響をどのように捉えているのだろうか。景洪港務局職員にインタビューを行った。
ひとwith Mekong 于暁剛(Yu Xiaogang)さん(雲南省社会科学院 グリーン・ウォーターシェッド所長)
グリーン・ウォーターシェッドは2002年、雲南省から正式に認可を受け、中国西南地域の流域管理や、麗江などでのコミュニティ開発に取り組む昆明のNGOである。所長である于暁剛氏にNGO設立のきっかけや、瀾滄江ダム開発に対する見方を伺った。
雲南最大の円借款プロジェクト 昆明市上水道整備事業
メコン河流域諸国のなかで最上流に位置する中国雲南省。その省都、昆明市では日本からの円借款で費用の一部がまかなわれた「昆明市上水道整備事業」が進行中である。2003年3月と8月に行った現地調査結果ともとに、プロジェクトの概要とその問題についてレポートする。
メコン・ライブラリー
ラオス概説
アジア環境白書 2003/04
Lancang-Mekong :A River of Controversy−

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Vol.5 No.2(2003.6.30発行)  【PDF版はこちら】
<特集>メコンの電源開発をどう考えるのか−ベトナム電力公社とタイ発電公社

メコン河流域国で起きている環境問題の多くは、電気をめぐる紛争である。これまでも本誌で、被害住民の視点を中心に分析と提案を試みてきた。今回は、2つの巨大電力機関、ベトナム電力公社とタイ発電公社を取り上げる。これらの抱える問題点を分析することで、メコン河流域国の電源開発の行方を議論する端緒とすることが本号のねらいである。

ベトナム電力セクターへの日本のODAを再考せよ〜セサン川と再生可能エネルギー〜
セサン川の悲劇。メコン河支流のセサン川に完成したベトナムのヤリ滝水力発電ダムから放たれた激流が、下流のカンボジアで数十人もの命を奪ってから7年が過ぎた。このダムの所有者であるベトナム電力公社にとって、最大の資金源は日本の国際協力銀行(JBIC)である。筆者は、日本のODAが分権的な再生可能エネルギーシステムを構築するのを妨げていると警告する。
タイに翻弄されるメコン河流域国の電源開発〜タイ発電公社の動向をめぐって〜
様々な問題を引き起こしてきた、タイ及びメコン河流域国の電源開発。その背後には常にタイ発電公社の存在がある。この地域最大の電力消費市場であるタイの電力事情と、電力事業において中心的な役割を担っているタイ発電公社の動向を分析することで、メコン河流域国における電源開発を考える。
代替エネルギーを排除するタイ政府 クリーンで民主的なエネルギーに向けたビジョンを
タイの国営・公益事業やエネルギーに関する政策決定は、これまで大きな社会・環境・経済コストをもたらしてきた。本稿では現地NGO職員が、エネルギーに関するタイ政府の意思決定上の性質を調査し、よりクリーンで民主的な電力インフラのための代替案を提示している。
迷走するタイ初の揚水発電所 ラムタコン揚水発電所建設事業
日本が深く関与するこの事業によって、健康や農業に被害を受けたと声をあげる人々がいる。筆者は、揚水発電所について解説し、揚水発電に対する過度の信頼に疑問を投げかける。さらに現地から事業の現状を報告し、改めてその意義を問うている。
ひとwith Mekong
タイNGO界きっての論客、生態回復財団事務局長のウィトゥーン・プームポンサーチャルーン氏には、政府高官を論破した逸話がある。氏の生立ちや、メコン河の環境保全に取り組んだきっかけ、社会変革への想いなどを語ってもらった。
メコン談話室から[2] 多民族流域の流域管理〜雲南省の事例から〜
2001年5月から、 「メコン談話室 」というミニセミナーを開催し、若手ゲストからの発案を元にメコン流域の開発・環境についての学びの場を提供している。このコーナーでは、メコン談話室の記録の抜粋を掲載する。
麻薬と少数民族の暮らし、どちらが先に撲滅されるのか?〜ビルマ・シャン州におけるヨンカ・プロジェクト〜
ビルマ・シャン州では、麻薬撲滅への取組みという理由で、約12万6千人が強制移住させられた。政治的にセンシティブな状況下にあるこの地域で、事実を無視して援助を行えば、紛争を助長し人権侵害に加担してしまう危険性がある。日本政府も資金援助を検討しているが、筆者はその問題点を的確に指摘し、時期尚早であると主張する。

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Vol.5 No.1(2003.3.31発行)  【PDF版はこちら】
<特集>メコン 「水の声 」

「21世紀は水の時代 」―世界的な水への関心の高まりは、1995年に世界銀行幹部が発したこの言葉から始まった。本号では、特定の人たちの視点だけを切り取って、水をめぐる議論を単純化することに警鐘を鳴らす。今求められるのは、 「世界水フォーラム 」のような、水問題の単純化ではなく、複雑な個々の水問題にじっくりと耳を傾ける、オーダーメイドの解決策を探ることなのではないのだろうか。

水産業の祭典はどこへ行くのか 第3回世界水フォーラム報告
世界水会議が主催する、3年に一度の水ビジネスの祭典、 「世界水フォーラム 」。第3回世界水フォーラム事務局の掲げるスローガンのもと、分科会が多数開かれ、 「参加者と閣僚の対話 」も行われた。しかし、そうしたNGOや市民が実質的に関与できたかどうかは疑わしい。世界水フォーラムという国際会議が、各地の水問題解決のための方向性を示す場としてふさわしいのかどうか、今後のあり方を問う。
メコン「水の声」  タイ
タイでは、水の有料化の是非をめぐる議論が続いている。有料化されれば、全国の農民に影響が及ぶ。その一方で、開発の影響で水資源が劣化し、農民はそれ伴う支出の増大に直面している。また、一部のプロジェクトは貧苦層にさらなる出費を余儀なくしている。
カンボジア・トンレサップ湖
メコン河流域の生態系に欠かすことのことのできない、東南アジア最大の湖、トンレサップ湖。そのトンレサップ湖で異変が起きつつある。水質汚染、漁獲高の減少、漁民同士の争い… トンレサップの漁民の今を追う。
中国・雲南
メコン河最上流の中国雲南省では、ダム開発によって立ち退きが進められている。その中には、日本のODAによる開発援助もある。言論の自由に制約があるとはいえ、インダビューに対して強い不満を口にする住民。雲南省の問題は、立ち退きと切り離しては考えられない。
ベトナム・メコンデルタ
メコンデルタに住む、ある人たちは、洪水とともに生き、洪水によって恵みをもたらされている。ある人たちは、洪水によって重い負担を強いられている。またある人たちは、洪水対策がもたらす新たな悪影響に苦しんでいる。メコンの洪水をどう考えるか、多角的な視野から分析を試みる。
パー・ノーン漁業管理・ラオス セ・バン・ファイ地域に見る伝統的な自然資源管理
ラオス中部を流れるセ・バン・ファイ川。流域に暮らす人々は、洪水や天然資源を管理するシステムを発展させてきた。本稿では、彼らが育んできた、 「パー・ノーン・システム 」と呼ばれる、漁業管理システムを紹介する。
人with Mekong ワニダ−・タンティウィタヤ−ピックさん
メコン流域で活動する人々をクローズアップする、 「人with Mekong 」。今回はタイ・住民組織のネットワーク貧民フォーラムのアドバイザーである、ワニダ−・タンティウィタヤ−ピックさんにインタビューした。彼女は、パクムンダム反対運動をリードする人物として知られている。自らの運動を闘争ではなく仕事と言い切り、この仕事は知識や友を必要し学びをもたらす、恵まれた仕事、と語る彼女。そんな彼女の思いを伺った。
Field Report:土地を取り戻すために立ち上がった北タイの農民たち
タイにおける、土地権利証明書発行プログラム。世銀とオーストラリアによって、1984年から始められたこのプログラムを振り返るための会議が、バンコクのヒルトンホテルで開された。ヒルトンホテル前では、北タイ・ランプ−ン県の小規模住民らが、500人規模の抗議デモを行った。97年に世銀の優秀賞にも選ばれたこのプログラムの、負の側面を検討する。
Project Watch:タイ汚水処理施設事業中断へ 問われる援助機関の責任
タイ湾に面するクロンダン村に建設中のサムットプラカン汚水処理プロジェクト。環境問題、汚職疑惑など様々な議論を呼び、本誌でもたびたび取り上げてきたこのプロジェクトは、2003年に入りついに建設作業が中止され、捜査のメスが入った。
リリース&情報センター
アジアにおける森林の消失と保全
グローバルネット148号
The People and Their River−A Survey of River-Based ddveddhoods in the Xe Bang Fai River Basin in Central Lao PDR

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Vol.4 No.4(2002.12.22発行)  【PDF版はこちら】
<特集>インスペクション

今からちょうど10年前、国際援助期間からの発展途上国への支援が、プロジェクト地の住民や環境に破壊的な影響を与えている、という国際的な批判が続いていた。非難の矢先に立たされたのが、世界最大の開発機関である世界銀行だった。こうした批判、抗議をうけインスペクション制度は発足した。その後、米州開発銀行や、アジア開発銀行(ADB)などにも、同様の制度ができあがっている。しかし、インスペクション制度や意義申し立て制度だけで、問題がすぐに解決するわけではない。本号では、タイのサムットプラカン汚水処理プロジェクトを中心に、この制度の意味と課題を考えていく。

世界銀行インスペクションパネルの10年〜プロジェクトによる被害の責任を問う〜
世界銀行が1994年に運用を開始してから、2002末日までに世界中から27件の申し出があった。本稿において筆者は、世銀の10年を振り返りつつ、インスペクション制度について解説し、今後、同様の制度を構築する国際機関や二国間援助機関が反映すべき4つの課題を提起する。
サムットプラカン汚水処理プロジェジェクトの経験は生かされるか 〜ADBインスペクション機能による調査と今後〜
完成すればアジア最大規模と言われている、サムットプラカン汚水処理プロジェジェクトは、環境影響と汚水問題で大きな批判を浴びてきた。このプロジェクトを強力に援助しているアジア開発銀行のインスペクション機能と、その問題点を考察するとともに、インスペクション政策改定に伴い、問題解決の糸口を探る。
国際協力銀行の異議申し立て制度とメコン河開発
サムットプラカン汚水処理プロジェクトをはじめとして、国際協力銀行の関与する融資プロジェクトが問題となることが少なくない。こうした中で、国際協力銀行も世銀やADBのインスペクションパネルに類似した異議申し立て制度を、2003年4月に制度化する。その対象となる政策、環境・社会配慮ガイドラインについて説明し、さらに現時点での異議申し立て制度について分析する。
<写真でつづるメコン?K>イラワジ川の砂金採掘
Project Watch:省みられない調査 パクムンダムの水門開放の行方
2001年、タイ政府は、世界銀行の融資で建設された水力発電用のパクムンダムを 「水門開放影響調査 」のため、水門を開けて運転を停止することを命じた。水門開放は劇的な環境の改善をもたらすことが 調査機関によって明らかになったにもかかわらず、政府の決定した開放期間は4ヶ月という限られたものだった ・ ・ ・
Field Report:カンボジア トンレサップ湖の漁民コミュニティ
今回の舞台は、プノンペンから北西へ100キロ弱、コンポンチュナン県ジュラキリ郡に位置する人口720人の漁村、ペー村。この村では、2001年から19の集落と共同で、 「コミュニティー漁業 」なるものを始めた。その実態を報告する。
リリース&情報センター
国境を越える環境ガバナンス〜東南アジア大陸部の原則と実践
途上国支援と環境ガイドライン
環境と公害Vol.32 No.3 Winter 2003
メコンニュースダイジェスト
ダムの水門は開き続けるべきである/魚をもって電力と交換か、それともダムと命を交換か

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Vol.4 No.3(2002.9.25発行)  【PDF版はこちら】
<特集>『大メコン圏』の10年

1992年以来、メコン河流域開発はアジア開発銀行(ADB)による 「大メコン圏 」構想を中心に行われている。10年を経て、「大メコン圏」は流域国に何をもたらしてきたのか?とくにダムや道路建設による、国境を越えた環境社会影響は最も懸念されるが、ADB最大の出資国として、我々は今こそ見直す必要があろう。今号では、「大メコン圏」での多様なアクターへのインタビューを通し、それぞれの認識を紹介する。

インタビュー

坂井和さん
大メコン圏地域協力プログラム(GMSプログラム)が始まって10年、その成果について、融資実施機関ADB職員へのインタビューを行った。GMSプログラム参加6ヶ国の平和と安全、貧困削減の促進に寄与したと自己評価する。一方で、今後の課題として、1ヶ国で対応しきれない環境問題への取り組み、現在融資を行っていないミャンマーへの協力について、その展望を述べる。
プレムラディー・ダオルーンさん
メコン河流域で開発に取り組むNGO「環境回復と地域連合(TERRA)」共同代表に、GMSプログラムについて、インタビューした。プログラムの基本概念である、流域での市場 ・開放経済の導入・促進と、伝統的な生活を送る人々の生活との矛盾を強く指摘する。そのうえで、住民に融資機関主導で一方的に進められる開発の情報・分析を提供することを、今後の取り組みとして強調する。
マイク・オンステッドさん
国際NGOオックスファムは、メコン河流域で200ほどの事業に資金提供している。OXFAM東アジア地域事務所長に、GMSプログラム・GMSサミットについて、インタビューした。プログラムについて、ADBが融資回収を優先した結果、国ごとの利害調整ができていない点を主に批判する。一方サミットでは、これまでの一方的な開発から、住民とADBとの「協力」と「参加」を土台にした開発に向けて、活動する。
ソク ・チェンダ ・ソピアさん
カンボジア政府のGMSプログラムの窓口である、GMSカンボジア ・ナショナル ・コーディネーターにインタビューした。流域6カ国の協力関係構築・資金援助の面でADBによるGMSプログラムを評価する。上流国開発による環境影響、プロジェクトの住民への影響に対する懸念を、過剰だとしたうえで、GMSプログラム全体としての利益を促進し、市場を拡大 ・開放していくことの重要性を説く。
ピン ・バンナさん&ヂア ・ペンさん
現在タイのバンコクからベトナムのプンタウまで、GMSプログラムの一環として、「国道一号線」が建設中である。カンボジアで、道路建設による影響住民にインタビューした。建設により、立ち退きを迫られた住民は、十分な保障を受けることができず、以前より経済的に苦しい生活を送っている。建設そのものには肯定的な一方で、一刻も早い十分な補償を切に訴える。
Field report 大メコン圏サミット〜「協力」の意味するもの
2002年11月、GMSサミットにおいて、GMS国間で電力売買を促進する政府間協約締結が言及された。事実上、今後の大規模基盤整備事業を促進させるものだ。各国政府や融資機関ADBは、長期的な視点で、環境・住民への影響を考慮しているのだろうか?本稿では、サミットの結果をうけて、市場自由化に偏重する「一面性」、住民の視線を除外した「一方向性」を抱える「協力」に警鐘を鳴らす。
Project Watch:便益が過大宣伝されたまま住民移転が始まる ベトナム中部ターチャック・ダム
過去多くのダム事業で、過大宣伝に乗せられた立ち退き住民が、現在深刻な補償問題と対峙している。本稿では、現在進行しているターチャック・ダム(ベトナム)事業に注目する。現在、本事業でも住民には「ばら色の生活」が宣伝され、環境への影響も問題ないとされている。果たしてそうだろうか?JBIC案件形成促進調査に、委員として参加する松本事務局長(メコン ・ウォッチ)の事業報告第一弾。

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Vol.4 No.2(2002.8.25)  【PDF版はこちら】
<特集>漁民ネットワーク

漁民同士の交流が目指したもの
過去数年間、国際協力と「持続可能な開発」はメコン河流域諸国によって進行してきた。しかしこのトップダウン的な協力の方法、担ってきた主体にこそ問題があり、この問題は継続している点を筆者は指摘する。本稿では、近年行われているメコン漁民会議を例にとり、真の「持続的開発」を問い掛ける。コラム:漁民宣言
メコン河がつなぐ人々のネットワーク
2002年プノンペンにおいて「第2回メコン河流域漁民会議」が行われた。焦点となったのはメコン河上流の中国と下流国との対立であった。筆者は,このような現状に対する解決の1つの可能性として流域住民によるネットワーク作りの重要性を説き、今回の会議のような「対話」がネットワーク作りの土台として重要だと訴える。
FACTの活動とカンボジアの漁業ネットワーク
現地で漁民のネットワーク作りに従事するNGO連合体「FACT」に、その活動・漁業コミュニティの現状についてインタビューした。漁民の伝統的な生活が、独占漁業権によって破壊される現状において、それを改めようとする強い意志が感じられる。
Project watch ラオスータイ大規模導水計画
日本のコンサルタントが計画した壮大な「ラオスータイ導水計画」は数々の暗部が指摘されていたにもかかわらず、JBICは一旦は円借款準備のための調査を決定した。しかし2002年、住民・NGOからの猛烈な抗議が実り、ODAの拠出は見送られた。筆者はこの意義は小さくないとしながらも、明らかに欠陥を抱える調査を了承したJBICに対し将来への強い懸念を示す。
Field report タイ山岳民族の市民権問題
2002年3〜4月、タイのチェンマイにおいて北タイ山岳民族によって大規模なデモが行われた。山岳民族にとって,市民権は安定した生活を送るための基本的な人権である。本稿ではこのデモを通してタイにおける現在の山岳民族とその市民権の情報を報告する。
<写真でつづるメコン?> 湖 カンボジアトンレサップ
リソース&情報センター
Rebel with a Real Cause
Villagers at Mae Moon Manyuen village and the Assembly of the poor, 2000年
The Return of Pladaek
Villagers at Mae Moon Manyuen village and the Assembly of the poor, 2001年
Feast or Famine? ; Solutions to Cambodia's fisheries confddcts
Fisheries Action Coaddtion Team, 2001年
メコン ・ニュースダイジェスト
北タイの農民デモ

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Vol.4 No.1(2002.4.15発行)  【PDF版はこちら】
<特集>上流開発

メコン河上流で何が起きているのか?〜本流ダムと商業航行〜
メコン河上流開発において環境社会影響の点で懸念されているプロジェクトが二つある。1つ目は中国雲南省で2002年1月に着工された小湾ダムの建設である。2012年にフル稼働予定であり,完成すれば三峡ダムに次ぐ巨大ダム(発電能力4200MW)が誕生する。2つ目はメコン河上流の河川交通を活発にするための商業航行協定に基づいて行われる早瀬や岩礁の破壊事業である。この協定には雲南省、タイ、ラオス、ビルマ(ミャンマー)が署名している。筆者はこれらの事業に対し、環境影響調査の不十分な点、MRCの機能不全な点を挙げ、その上で日本の役割を問う。
チェンコン港建設から見るメコン河上流開発
タイ最北部の小さな町チェンコンでは今でも人々が経験に基づいた昔ながらの生活を送っている。ここで大型の港の建設が始まったのは2001年3月であった。このような大型港の建設は2000年4月に「メコン河自由航行協定」が結ばれて以来さかんであるが、このような事業を通してメコン河上流部に位置する各国政府はこの地域の経済開発を強力に推進している。本稿で筆者により指摘される住民生活を犠牲にした行政主導の開発の実態は、日ごろ見落とされがちな住民からの視線を読む者に喚起させるだろう。
メコン河委員会ラオス国内委員会インタビュー
現在メコン河流域国において、上流4カ国ではエコノミックスクエア(ES)、下流4ヶ国の間ではメコン河委員会(MRC)が国境を越えてメコン河開発に関わっている。その中でもラオスとタイは上記の2組織のいずれにも属する。そのラオスのMRC国内委員会に対してES主導で行われる上流域の浚渫問題についてインタビューした。貧困解消のためにES主導による経済開発に期待を寄せつつも、開発にともなう環境面その他の面における影響を同時に危惧する苦しい心中が垣間見える。
60年代の援助 90年代の援助 住民から見た開発事業
タイにおける60年代に建設されたシリントンダムおよび今後発電の予定されるラムタコン揚水式水力発電所の2つの事業を例示し、開発事業において住民の声が適切に反映されない現状を明らかにする。どちらのケースでも構造的欠陥を抱える開発事業に対して、ODAを拠出することでその開発事業の維持継続の一端を日本政府は担ってきた。開発事業の影響調査が未だ不十分であることは懸念されるべきであるが、それ以上に約40年を経ていまだにそのような開発事業に加担し続けるODAおよびこれからの日本が果たすべき役割について筆者は住民の声との連携に可能性を見出す。
地域通貨〜タイ初の試みと不安定要素
2000年、タイ東北部ヤソトン県において地域通貨システム(Bia Kud Chum)が開始された。このシステムは辺境の村において過疎化を食い止める友好手段と当初考えられた。しかし開始された直後タイ中央政府はこのシステムの続行を禁止してしまう。筆者は地域通貨の地域コミュニティーにおける有用性を確認したうえで、タイ政府の過剰反応に疑問を投げかける。
<写真でつづるメコン?H>ナカイ高原のマイニャンの運命
リソース&情報センター
21世紀の環境概論 環境革命の時代 財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)編 東京書籍
Water Resources and Hydropower in the Lancang River Basin David Pddnston and He Daming 著 Landcare Research New Zealand Ltd
メコン河 開発と環境 堀博著 古今書院
メコン・ニュースダイジェスト
中国のメコン河本流ダム/上流の商業航行と浚渫

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Vol.3 No.4(2001.12.15発行)  【PDF版はこちら】
<特集>ビルマの開発・環境・人権

ビルマ(ミャンマー)− 開発・環境・人権
戦後日本の対ビルマ関係 賠償から「太陽外交」まで
第二次世界大戦後の日本の政府レベルにおける対ビルマ関係は、1955年から開始された戦後賠償にはじまり、それに続く60年代後半からの政府開発援助の大量供与、そして1988年以降の「太陽外交」と称される関与政策、という3つの時期からなる。ここではこのような歴史を見ていくことで、背後にある両国関係の特質を指摘していく。
ビルマの少数民族は今 〜カチン、カレンニー、シャン
ビルマ(ミャンマー)という国は、多くの民族による州の連合という性質を持っている。しかし、ビルマ国内の少数民族の人々については知られていないことも多い。本稿ではビルマの3民族−カチン族、カレンニー族、シャン族−が置かれている状況、とりわけ人権・環境問題について投稿してもらった。
環境と人権:ヤダナ・パイプラインが投げかけたもの
ヤダナ・パイプラインはアンダマン海のヤダナ・ガス田からタイのラチャブリ製作所までを結ぶ、天然ガスのパイプラインである。このパイプライン建設を強制労働、強制移住、経済・社会・文化的悪影響、環境破壊などの観点から検証している。
バルーチャン第2水力発電所への援助を問う −もう1つの現場=難民キャンプのカレンニー民族の声
タイ・ビルマ国境にあるカレンニー民族の難民キャンプを訪れた筆者が、バルーチャン第2水力発電所周辺で行われた抑圧的な状況について、避難してきた難民の方々から聞いたことをまとめつつ、バルーチャン第2水力発電所へ日本のODAが関与することの問題点を指摘している。
誰のための対ビルマODAか? 〜軍事政権への700億円の債務救済援助と50億円の使途不明金〜
日本政府は、現在、バルーチャン第2水力発電所修理のために30億円を超える無償援助(贈与)をビルマ(ミャンマー)の軍事政権に対して行おうとしている。しかし1995年度から4年間、日本政府がビルマに供与してきた援助のうち50億円が使途不明金になっており、多くの援助が軍の収入源と指摘される森林伐採に使われている実体が明らかになった。今30億円もの税金を使って新たにビルマへ援助すべきなのだろうか?
リソース&情報センター
Landmine Monitor 2000 Burma
Total Denial Continues: Earth Rights Abuses along the Yadana and Yatagun Pipeddnes in Burma
Logging Burma's Frontier Forests: Resources and the Regine
Factionaddsm and the Ethnic Insurgent Organizations
国際協力銀行の環境配慮ガイドラインへの提言
<写真でつづるメコン?G> 存在しない土地
メコンニュースダイジェスト
バルーチャン第2水力発電所/ビルマへの援助を巡って

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Vol.3 No.3(2001.10.20発行)  【PDF版はこちら】
<特集>情報公開とODA

情報公開とODA 〜外務省への公開請求の経験から〜
情報公開法について概説した後、メコンウォッチがこれまで行ってきた情報公開請求の結果を元に、ODAを巡る情報公開法を批判的に検証し、今後の課題を明らかにしている。
タイの情報公開法 〜ODAの情報公開を途上国側から考える
何か問題のあるODAプロジェクトの情報開示請求に対して、外務省は相手国との「信頼関係を損なう恐れ」を理由に非開示とすることが多い。しかし少なくとも相手国政府が開示対象としている情報を、日本政府が上記の理由から非開示にすることは、合理的とは言えない。本稿ではメコン流域国で唯一情報公開法が整備されているタイを事例に、被援助国から見たODAと情報公開について検討する。
環境配慮と情報公開 〜国際協力銀行の環境配慮ガイドラインへの提言から〜
NGO、JBIC職員、外務省、財務省、環境アセスメントの専門家などから構成される「国際協力銀行の環境ガイドライン統合に関する研究会」は、 2001年9月に環境ガイドラインへの最終提言書を作成した。本稿では、この提言書に記載された情報公開への提言がどのようなものであるのか紹介している。
最終判断の迫ったヒン・クルートとボーノックの火力発電所建設計画(タイ)
本稿では、タイのヒン・クルートとボーノックの火力発電所建設計画について、この2つの計画の概要を説明した上で、EIAの問題点、日本との関わり、反対運動の動きなどを解説している。
リソース&情報センター
情報公開法入門
『情報公開アジア会議−市民社会を開く』報告
国際協力銀行の環境配慮ガイドラインへの提言
<写真でつづるメコン?F> お化けの死
メコンニュースダイジェスト  
プラチュアップ・キリカン石炭火力発電所/ナムトゥン2ダム、買電合意へ/ベトナムの水力発電開発

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Vol.3 No.2(2001.6.30発行)  【PDF版はこちら】
<特集>川と魚と開発

自然の魚 −無視される当たり前の糧 (巻頭言)
ムン川の魚、そして人々の生活
ここでは(1)ムン川の自然と魚、(2)地域の人々と魚、そして(3)ダムと人々といった視点から解説しつつ、パクムンダムが与えた人々の生活への影響について考察している。
イン川の漁業と湿地の利用調査プロジェクト
イン川の状況や人々とムン川の関わり、そしてコック・イン・ナン導水計画の影響について紹介しつつ、さらにイン川漁業・湿地調査プロジェクトを中心としたNGOの取り組みを紹介している。
メコンの魚と開発
メコン河には様々な魚類が生息しており、魚は流域の人々にとって非常に重要な食料源ともなっている。しかし、その研究は歴史的、地理的な背景があってあまり行われていない。ここでは京都大学の岩田明久氏より、魚類学者から見たメコンの魚類や開発の影響について解説していただいた。
ラオスのナムトゥン2ダムと世界銀行 〜貧困削減?それとも貧困増大?
ナムトゥン2ダムは、タイへの電力輸出を目的にした水力発電ダムで、かつて「東洋のガラパゴス」とよばれた自然豊かなナカイ高原を水没させる。このプロジェクトの動向の鍵を握っているのは、タイの電力政策と世界銀行である。世界銀行はこのダムが貧困削減と環境保全につながることが支援の条件だとしているが、果たしてそのようなことが可能なのだろうか?
2001年ADB総会報告
2001年5月、ハワイで開催されたアジア開発銀行(ADB)総会は、昨年に引き続き、大規模なデモ行進に囲まれての開催となった。数百万ドルをかけたという厳戒態勢がひかれるなか、ADBは誰と何を語ったのか。ADB総会とNGOとの対話を中心に紹介している。
リソース&情報センター
Fisheries in the Lower Mekong Basin
Aquatic Biodiversity in the Siphandone Wetlands
A Monitoring Study to Asess the Locaddzed Impacts Created by the Nam Theun-Hinboun Hydro-Scheme
Ficheries Ecology and Hydropower in the Mekong River: An Evaluation of Run-Of-The-River Projects
<写真でつづるメコン?E> 移り変わる漁具
メコンニュースダイジェスト
サムットプラカン汚水処理プロジェクト/進むメコン川上流の開発/パクムンダムの水門、開放へ

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Vol.3 No.1(2001.3.31発行)  【PDF版はこちら】
<特集>メコンの森と人々 〜誰のための保全か〜

メコンの森と人々 〜誰のための保全か〜(巻頭言)
なぜメコンの森は消えていくのか 〜森林破壊の構造〜
メコン河流域諸国の森林が減少していく構造について解説している。まず、タイ、ラオス、ベトナム、カンボジア各国、そして流域全体の森林減少の状況を概観した上で、森林破壊の根本的な原因についてまとめている。最後に望ましい方向に向けた勧告を行っている。
カンボジアの違法伐採問題 〜世界銀行とNGOの役割を中心に〜
カンボジアでは、森林の違法伐採の防止に世界銀行、カンボジア政府、グローバル・ウィットネス(NGO)の3者が取り組んでいる。しかし3者は「違法伐採の取り締まり」という共通点があるものの、その思惑や今後の方向性は全く異なっている。ここでは世界銀行とグローバル・ウィットネスに焦点を当てて論じているが、国際機関とNGOの関係のありかたを考える意味で興味深い事例となっている。
国際金融機関と森林資源
ここ数十年に及ぶ世界銀行の森林政策の動向と、1999年後半に行われた世銀のOEC(業務評価局)に基づく今後の世銀の方向性について簡潔にまとめられている。最後にNGOの立場から、近年の世銀の動きについてコメントしている。
世界銀行「ベトナム北部山岳貧困削減プロジェクト」
世界銀行が進めている表題のプロジェクトは、様々なドナーを巻き込んで開発事業を進める「参加型」開発として注目が集まっている。ここでは実際にプロジェクトサイトを訪れた筆者が、本プロジェクトについて紹介した上で、プロジェクトの「参加型」について疑問を投げかけている。
ビルマにおけるバルーチャン第2水力発電所への無償資金協力を巡る問題
日本政府は2001年4月にビルマの副外相にバルーチャン第2水力発電所への無償資金協力を実施する方針を伝えた。外務省は人道的、民主化支援の観点からの援助であると説明している。ここでは、無償援助はこれらの目的を達成するために果たして適切なのかどうか、論じている。
<写真でつづるメコン5> 森は食べられる 〜東北タイ〜
リソース&情報センター
第1期戦略研究報告書 森林保全プロジェクト
Seeing Forest for Trees
Structural Analysisi of Deforestation in Cambodia
Vietnam Development Report 2000: Atacking Poverty
メコンニュースダイジェスト
メコンの森林/サムットプラカン汚水処理プロジェクト/ヒンクルット石炭火力発電所プロジェクト

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Vol.2 No.4(2000.12.28発行)  【PDF版はこちら】
<特集1>世界ダム委員会
<特集2>サムットプラカン汚水処理プロジェクト

世界ダム委員会とメコン(巻頭言)
過去から未来へ 〜世界ダム委員会は何を伝えているのか
世界ダム委員会(WCD)の最終報告書は大きく2つのパートに分かれている。前半が過去のダムの分析をしたグローバルレビュー、後半の4つの章は、それをもとに将来のダム計画に適用すべき基準やガイドラインを具体的な形で提言している。本稿では、このうち将来のダム計画への提言内容についてポイントをまとめている。
メコン河流域国のダムと日本 〜世界ダム委員会の勧告は何を解決できるのか
メコン河流域6カ国には、延べ200以上の大規模ダム計画があると言われている。ダム計画のうち本格調査や建設にうつっているものの多くが海外、とりわけ日本からの政府開発援助を受けている。メコン河流域国のダム開発に世界ダム委員会の勧告を適用すると何が変わる可能性があるのか検討する。
ビルマのタサンダム 〜数字の裏に何があるか
日本の電源開発株式会社が現地調査などで関わっているタサンダムプロジェクトの裏側では、軍事政権による強制移住や強制労働が行われていることを指摘している。
問題を複雑化させる住民回避
バンコク近郊のサムットプラカン県で進行中の汚水処理場建設計画、「サムットプラカン汚水処理プロジェクト」に反対している地元クロンダン区を訪れた筆者が、現地の様子や住民の声を紹介している。
試されるアジア開発銀行のアカウンタビリティ
チェンマイで開かれたアジア開発銀行(ADB)総会での抗議活動に、ADBは多彩な対応と目立つ活動を展開してきた。しかし長年闘いを続けてきた住民にしてみれば、プロジェクトが適切か、十分な情報が得られたかなど、もはや問題ではない。重要なことは、なぜこのプロジェクトは止まらないのか、なぜ未だに汚水処理施設の建設が進んでいるのかである。
メコンニュースダイジェスト
パクムンダム/サムットプラカン汚水処理プロジェクト/メコン河大洪水
<写真でつづるメコン> ムンの砂浜
リソース&情報センター
Dams and Development
21世紀の開発援助 メコン河開発
Water Margins
Dispossessed

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Vol.2 No3(2000.8.28発行) 【PDF版はこちら】
<特集>水は誰のものか?

水紛争の世紀を前に (巻頭言)
メコンからチャオプラヤヘ 〜コック・イン・ナン導水計画とは何か〜
チャオプラヤ川流域の水不足を解消するために行われるコック・イン・ナン導水計画とその影響について概要を紹介している。
コックインナンのはなしと開発
コック・イン・ナン導水計画の対象河川であるナン川のほとりで暮らしてきた筆者が、チェンマイで開催されたADB総会で住民から聞いた話をもとに、この計画の問題点を指摘しつつ、広く市民に状況を理解してもらうことの重要性について書いている。
ODAと水資源の将来 〜コックインナン導水計画の経験から〜
日本政府は、タイ政府からの要請を受け、コックインナン導水計画の調査団を1996年8月末から3年間、派遣している。ここではプロジェクトリーダーである樋口昭一郎氏に今後のODAと水管理について語ってもらっている。、
水は誰のものか? 〜タイ農業セクタープログラムローン再考〜
タイ大蔵省とアジア開発銀行(ADB)との間で交わされた「農業セクター改革プログラムローン」という融資契約の農民への影響について書かれている。この融資契約に伴うコンディショナリティが、貧困層や小農民に厳しい生活環境の変化をもたらすと考えられている。
ナムトゥン川の水をめぐるアクター 〜住民、企業、アジア開発銀行〜
2000年6月ぐらいまでのナムトゥン・ヒンブンダムの経緯を説明した上で、「補償」「環境影響評価」「コンサルタント」などの観点からこのプロジェクトを検証している。
アジア開発銀行(ADB)第33回総会に参加して
2000年5月、チェンマイで開かれた総会に参加した筆者からの現地報告。NGOや住民が、期間中なにをどのように主張したのか、そしてADB側がどのように対処したのか、紹介している。
ヤリ滝ダムの影響 〜ワークショップ・イン・ラタナキリ〜
2000年5月、ベトナム・ヤリ滝ダムが、カンボジア・セサン川流域の村落へ与えている影響を正確に把握するためのワークショップが開催された。カンボジア・ラタナキリ県政府関係者とNGO、住民代表が集まって開かれたこのワークショップについて、各アクターの意見やその相違を紹介しつつ、このような状況におけるNGOの役割についても言及してる。
Community Aid Aboroadとメコン川でのコミュニティ漁業
CAAは、開発と社会正義の分野で活動するオーストラリアのNGO。カンボジア北東部のKratie県とStung Treng県におけるCAAの活動(現地の人々によるメコン川での漁業の管理と保全への支援)について紹介する。
<写真でつづるメコン3>水 〜流れる川は誰のもの?〜
リソース&情報センター/メコン・ニュース・ダイジェスト

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Vol.2 No.2(2000.4.28発行)  【PDF版はこちら】
<特集>ADB総会

ADBメコン担当者インタビュー
ADBで大メコン圏地域経済協力(GMSプログラム)を担当しているのは、プログラム西局のタイ、ラオス、カンボジア、ベトナムそれに5カ国をカバーしている第三課である。そのなかに独立したGMSユニットが置かれ、本来は本課の対象外に位置する中国雲南省を加え、ADB唯一の地域協力専門の部局としている。ここではGMSユニット長の多田羅徹氏へのインタビューを紹介している。
ADB大メコン圏プロジェクト一覧
学習の機会・主張の場・対話の道〜タイのNGOにとってのADB総会
2000年5月に北タイのチェンマイで開かれた第33回アジア開発銀行の年次総会にむけて、タイのNGOが総会に会わせてどのように準備を進めてきたのか紹介している。
"Accounting for Development" 「メコン河流域地域におけるオーストラリアとアジア開発銀行」
2000年6月、上記表題のシンポジウムがシドニー大学で開催された。ここではシンポジウムの目的やディスカッションの内容が紹介されている。
ナムトゥン・ヒンブンダムとADBの実施責任
ラオスのナムトゥンヒンブンダムは、アジア開発銀行(ADB)の大メコン圏地域経済協力の中でエネルギー分野の優先プロジェクトのひとつであり、1998年に完成した。しかし完成後2年経過した時点で、ダム影響地域の住民たちは漁業資源の減少や水の汚濁などダムに起因すると見られる生活の変化に苦しんでいる。ここでは、ナムトゥンヒンブンダムを事例に、ADBのアカウンタビリティについて考察している。
なぜ農民は借金を続けるのか? 〜タイ農村金融事情〜 最終回
3回連続の最終回となる今号では、日本からの援助とタイの農業・協同組合銀行(BAAC)について取り上げる。
<写真でつづるメコン>森と田、川のつながり
リソース&情報センター/メコン・ニュース・ダイジェスト/国会から

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Vol.2 No1(2000.2.15発行)  【PDF版はこちら】

デルタにとってのメコン開発の意味 〜洪水と世界銀行プロジェクト〜
ベトナムのメコンデルタの「豊かさ」は、洪水という生命・財産へのリスクを伴う自然現象と切り離せない。近年のメコン河上流の開発や「洪水対策」と称するインフラプロジェクトが、デルタの洪水サイクルに影響を与え、塩水進入のリスクを拡大するのではないかと懸念されている。
ナモン村の30年と自然資源の保有権 〜戦争、ダム援助、移住政策…〜
ラオス・ビエンチャン県にあるナモン村は、戦争、焼畑抑制政策、ダム、移住政策などの社会環境、社会制度に翻弄され続けてきた。外部からの援助は、このような悲劇的な状況を促進する可能性があることを示唆している。
リソース&情報センター
<写真でつづるめこん1>ムン河河口域で見られる漁具トゥム・プラーヨーンについて
カンボジアの環境アップデート
カンボジアNGO Forumの環境ネットワーク調整員である筆者が、カンボジアの(1)森林問題(2)土地紛争(3)漁業紛争に関して、1999年12月時点での状況を紹介している。
なぜ農民は借金を続けるのか? 〜タイ農村金融事情〜 第2回
前号に引き続いての特集。今号では、BAACの具体的な失敗を挙げながら、タイ政府の対応について検証する。
メコン・ニュース・ダイジェスト

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Vol.1 No.0(1999.10.15発行)  【PDF版はこちら】
<特集>森林、市民権、誰のための自然?
  〜タイ山岳民族のデモが問いかけたもの

フォーラムMekong発行にあたって(巻頭言)
タイ北部における市民権と森林政策
1999年4月下旬、森林の慣習的な利用と山岳民族の市民権を認めることを求め、山岳少数民族を中心に大規模なデモがチェンマイで行われた。この運動にある背景について、タイの森林政策の歴史や現在の状況を踏まえながら詳細に解説している。
山岳民族市民権の問題と新宮沢構想
タイに住む山岳民族の市民権について、その定義と経緯について解説している。また日本からの宮沢構想資金によって新たな市民権の登録制度ができたために、汚職などの混乱が生じていることを指摘している。
実録・山岳民族デモの25日
1999年の5月9日からのドキュメント。特にデモグループと警察や林野局などの鎮圧部隊が衝突した5月18-19日の動きを詳細に報告している。
学びの場としてのデモ
デモに参加した筆者が、デモ中の様子や感じたことなどを報告している。
なぜ農民は借金を続けるのか? 〜タイ農村金融事情〜 第1回
アジア経済危機以降、メコン流域国では、政府レベルで農業銀行を強化し、灌漑や商品作物の栽培を拡大しようとしている。農民に低利で資金を供与し、それを元手に市場経済を農村部に浸透させて経済を成長させるという理論は、現実的にはどういう影響があるのだろうか?ここでは、「農村金融先進国」タイを事例にこの問題を3回にわたって考えていく。今回は70年代半ばから日本政府もODAによって積極的に支援していたタイの農業・農業協同組合銀行(BACC)と農民の借金事情について報告する。
ムン河とともに生きる人々 〜ダムのもたらした生活の変化〜
リソース&情報センター/ニュース・ダイジェスト/国会から

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