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セーブ・ザ・メコン・キャンペーンニュース2009年6月8日
オンライン署名の集約が6月15日(月)に迫りました。ご協力いただける方はお早めにお願いいたします(署名サイトへのアクセスにかなり時間がかかる場合があります。 ご不便をおかけしますが、ご理解いただきますようお願いいたします)。
メコン河の豊かな自然と資源は、流域に住む6,000万の人々の生活を支えています。しかし今、この大河の本流をさえぎる巨大ダム建設計画が11ヶ所もの地点で着々と進行しています。1ヶ所でもダム建設が始まれば、メコン大ナマズやイラワジイルカなどの絶滅危惧種や多くの回遊魚が壊滅する恐れがあります。人々の暮らしと生物多様性を守るため、地元住民やNGOが「セーブ・ザ・メコン連合」を設立しました。メコン・ウォッチもこの動きに加わり、第一弾の活動として、流域各国政府や国際機関にダム建設を再考するよう呼びかける国際署名への協力を呼びかけています。
みなさんの声がメコン河の環境と人々の生活を守り、メコン河の豊かさを未来の世代に伝える力となります。ぜひ署名活動にご協力下さい。署名活動は6月15日まで継続する予定です(5月30日現在のオンライン署名数2422名。これとは別にメコン・ウォッチ東京事務所にも約300名の方からハガキ署名などをいただいてい ます)。署名方法についてはこちらをご覧下さい。
タイ東北部ウボンラチャタニ県とラオス・チャンパサックの間を流れるメコン本流に建設予定の、バーングムダム計画(発電可能量1,872メガワット、高さ29m、長さ524m)を巡る動きをご報告します。
昨年(2008年)5月、タイの175の団体と研究者がサマック・スンタラウェート首相(当事)に同ダムに関する書簡を送りました。サマック氏は、レギュラー出演するラジオ番組の中で、「メコン(本流)のダムを作るには誰かが決意しなければならない。現政権は決意した上、実行する」、「ダムで沈むのは、ラオス側は7村だがタイ側はたったの2つで大したことはない」、「ダムはチェック・ダム(本来なら高さ1mにも満たない、小川に作る堰を言う)だ」といった発言を繰り返しており、書簡はそれに対する反論と抗議でした。
彼の政権は、就任後1か月という早い時期にこの事業を強力に推し進めました。
同政権下で、タイ・ラオス間のメコン河における電力開発協力の覚書の議論が始まったのは2008年3月11日、それは25日に締結されています。また、外務省が覚書の草案を作った際、奇妙なことに調査を担当する会社名が最初から記載されていたことが分かっています。それが、タイの建設大手、イタリアンタイ(イタルタイ)社とアジアコープホールディングス社でした。閣議では覚書に具体的な社名があるのはおかしいということになり、社名は「民間」という言葉に置き換えられましたが、イタリアンタイ社はこの覚書を根拠にすぐ現地調査に着手しました。
一方、不透明な経緯で計画が進むことを懸念する市民の訴えで、上院の委員会による現地調査が同年8月に行われています。この際、イタリアンタイ社はウボンラチャタニ県の許可を受けずに調査を行っていることが明らかとなりました。事態を重く見た同県知事は、エネルギー省から正式な指示があるまで、企業の作業を中断させるよう郡に命じています。
その後サマック首相は、別のテレビ番組のレギュラー出演が首相の兼業に当たる、と憲法裁判所に判断され失職しましたが、今年5月の現地情報ではイタリアンタイ社は今も、建設予定地で何らかの調査を行っているそうです。大規模な事業がどのように始まっていくか、その舞台裏を暗示するような事例です。
この事業に関して、現地で調査を行っている研究者のインタビューをウェブサイトに掲載しました。合わせてご覧ください。
インタビュー
:タイ国立ウボンラチャタニ大学 スラソーム・クリサナヂュータ専任講師
(木口由香 メコン・ウォッチ)
署名に関してご不明な点がありましたら、下記までお問い合わせ下さい。
event@mekongwatch.org