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セーブ・ザ・メコン・キャンペーンニュース2009年7月1日
メコン河の豊かな自然と資源は、流域に住む6,000万の人々の生活を支えています。しかし今、この大河の本流をさえぎる巨大ダム建設計画が11ヶ所もの地点で着々と進行しています。1ヶ所でもダム建設が始まれば、メコン大ナマズやイラワジイルカなどの絶滅危惧種や多くの回遊魚が壊滅する恐れがあります。人々の暮らしと生物多様性を守るため、地元住民やNGOが「セーブ・ザ・メコン連合」を設立しました。メコン・ウォッチもこの動きに加わり、第一弾の活動として、流域各国政府や国際機関にダム建設を再考するよう呼びかける国際署名への協力を呼びかけました。署名は第一次集約が終わり、6月18日、16,380名分の署名がタイの首相に手渡されました。この活動は流域だけでなく、各国のメディアでも報道され、インターネット上での署名は4,000名を超えました。
署名活動は今後も続きます。みなさんの声がメコン河の環境と人々の生活を守り、メコン河の豊かさを未来の世代に伝える力となります。署名はまだ、という方はぜひご協力下さい。署名方法についてはこちらをご覧下さい。
6月18日、「セーブ・ザ・メコン連合」を代表してタイやカンボジアのNGOとタイの住民グループのメンバーがアピシット・ウェチャチワ首相(タイ)と会見しました(第6号 タイ首相に全世界からの署名16,380件を届ける(2009.6.29))。会見の後に開かれたタイ外国人記者クラブでの市民代表の会見には、各国のメディアが20社以上集まりました。英語メディアだけでも10社以上がこの会見について報道し、メコン河の環境問題に大きな関心が集まった日となりました。
記者会見の模様(写真提供TERRA)
以下は、市民代表と首相の会見に関して、地元バンコクポスト紙の報道です。
2009年6月19日、バンコクポスト紙
Apinya Wipatayotin記者
メコン河の下流域諸国が抱く、中国が行うたくさんのダム建設に対する懸念については、年末に開催される東南アジアサミットで話し合われる予定になっている、とタイのアシピット・ウェーチャチーワ首相は述べた。
セーブ・ザ・メコン連合の環境活動家は昨日、国際河川(訳注:メコン河)の保全を訴える請願書を政府に提出した。セーブ・ザ・メコン連合は、カンボジア、ベトナム、そしてタイのメンバーから成っている。
アシピット首相は、「メコンの問題をASEANフォーラムでの議題にあげるよう努力する」と述べ、「政府は川を守るための市民運動も支援したい。メコン河での発電は、一つの選択肢となっている。しかし、発電手段として我々が検討する選択肢は、他にもたくさんある」、と述べた。タイは今年の10月、ASEAN諸国と中国を含む域外対話国が参加するサミットを、プーケット島で主催する。
セーブ・ザ・メコン連合は、メコン河の保護を目指し去年発足した。メコン河の上流で11の水力発電ダムの建設を計画している中国の動きを注視している(訳注:正しくはメコン河下流本流で、中国企業を含む複数の民間企業が関与している11の水力発電ダム)。
セーブ・ザ・メコン連合は、ダムの建設は川の生態系システムを破壊し、川での漁業に頼って暮らす人びとの伝統的な暮らしを脅かす、と自らの懸念をアシピット首相に訴えた。
タイのNGO「生態系回復と地域連合を目指して」のコーディネーター、プレムルディ・ダオルォン氏は、政府がこの問題をASEAN会合での議題に上げるというのは良い兆しだ、と首相の回答を喜んで受け止めた。
「メコンの問題に携わる多くの組織は、問題解決に失敗してきている。ASEANの枠組み内での議論は、より効果的なものになるだろうと信じている」、と述べた。
プレムルディ氏はまた、中国のダム建設が及ぼす自国への被害を阻止するよう、メコン河を共有する全ての国の政府に促した。メコン河下流域の国には、タイ、ラオス、ビルマ、カンボジア、ベトナム、がある。
カンボジアNGOフォーラムのチット・サムアット事務局長は、メコン河は、6000万人に食料を供給する漁業活動の最も重要な場所になっており、ダム建設によって商業漁業の少なくとも70%は阻害される、と述べた。「私たちは、メコン河における11基のダム建設を非常に憂慮している。アピシット首相には、メコン河の自然な流れを保つため尽力してもらいたい」、と述べた。
セーブ・ザ・メコン連合は、ダム建設からメコン河を守ることを目的として数ヶ月前にウェブサイト上で始めたキャンペーンの結果、メコン河保護を求める請願書に16,380人の署名を集めている。
(文責・翻訳/メコン・ウォッチ)
署名に関してご不明な点がありましたら、下記までお問い合わせ下さい。
event@mekongwatch.org