ホーム > イベント >【院内勉強会】インドネシア住民・NGO来日報告:アジアの「公正なエネルギー移行」はどうあるべきか?―日本支援のインドネシア石炭火力の現場はいま―(2023.5.24)
2023年5月24日(水)13:30〜15:30
喫緊の課題である気候危機に対処するため、アジアでも、パリ協定の1.5℃目標達成に向けた脱炭素化やエネルギー移行に対する支援が急務とされています。一方、日本はグリーントランスフォーメーション(GX)戦略の下、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想を掲げていますが、既設の火力発電所でのアンモニア・水素の混焼や二酸化炭素回収・貯留(CCS)など、化石燃料の利用を延命させる技術を推進しようとしており、すでに批判の声があげられています。
日本はこれまでも官民を挙げて、アジアで化石燃料ベースの火力発電事業を支援してきましたが、その現場では今、何が起きているのでしょうか。日本の大手企業が出資し、国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)が支援を行ってきたインドネシア・西ジャワ州のチレボン石炭火力発電事業では、アジア開発銀行(ADB)の主導する「エネルギー移行メカニズム」(ETM)を活用する第1号案件として、チレボン1号機(66万kW。2012年から稼働中)が選ばれ、早期廃止に向けた交渉が始まっています。
しかし、その交渉は閉鎖的で透明性に欠け、早期廃止の時期・方法・支援スキームなど詳細は不明のままです。ETMの支援の下で「早期廃止」ではなく、混焼等の技術を用いた「再利用」が検討されていることも懸念の一つです。また、1号機に隣接するチレボン2号機(100万kW。試運転中)は今後25年間の稼働が予定されています。気候変動への影響だけでなく、1号機及び2号機ともに指摘されてきた地域住民の生計手段への影響や健康被害等の問題も山積したままです。2号機では、贈収賄も絡む不正なプロセスで進められたことへの強い批判も続いています。
本勉強会では、アジア、特にインドネシアにおける日本の脱炭素化支援の動きと問題点を概観する他、チレボン石炭火力発電事業について、JBICへ異議申立書を提出してきた住民をお招きし、現地での反対運動や生活への影響の実態などを報告してもらいます。また、住民を支援してきた現地NGOから同事業における贈収賄事件の最新情報や、エネルギー移行が進められる過程での課題を解説してもらい、脱炭素化と「公正な」エネルギー移行に向けて、日本の官民がどのように対応すべきか考えます。ふるってご参加ください。