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【プレスリリース】
第4回日本・メコン地域諸国首脳会議での決定はメコン河流域の市民の懸念にこたえるものに」

2012年4月20日

 

 2012年4月21日、第4回日本・メコン地域諸国首脳会議が東京で開催されます。外務省の発表によると、今回の会議では、2013年から2015年の次の3年間を対象とする日メコン協力の新たな柱を作る機会となるとされています。

 2009年の第1回日メコン首脳会議で日本政府と流域政府が採択した「日メコン行動計画63」では、交通網などのインフラ整備、日本企業の流域への投資など経済的な側面が重視されています。また日本政府は「緑あふれるメコン(グリーン・メコン)に向けた10年」イニシアティブに関する行動計画を採択していますが、具体的な援助事業や資金の流れが、流域の環境・社会問題に対して実効性のあるものとなるのかは明らかではありません。政府は昨年、ベトナムへの原発輸出を決定し、またビルマ(ミャンマー)への政府開発援助(ODA)を拡大する方針を打ち出しています。メコン・ウォッチは第4回日本・メコン地域諸国首脳会議に際し、日本政府が次のような点を配慮すべきだと考えます。

 

1.ベトナムへの原発輸出に関しては、福島第一原子力発電所の事故で多くの方々が苦しみ、事故の収束も見えない中で、「安全」な技術を輸出するという政府方針に対し、国内だけでなくタイの市民からも強い反対の声が上がっています。政府は輸出の方針を見直すべきです。さらに、日本では、原発事故をきっかけに、原発依存の構造を生み出したエネルギー多消費型社会のあり方そのものが問われています。日本政府は、多大な犠牲を払って得たこの教訓をメコン流域諸国に伝える努力をするべきであり、開発協力の基本方針に組み込むべきです。

2.ビルマでは新政府発足後も民族居住地域での武力紛争が続き、数十万人もの難民や国内避難民を生みだしています。同国へのODA供与は現地の状況を正確に把握し、慎重に検討をした上で行うべきです。

3.カンボジアでは2003年から2008年の5年間だけで、強制立退きなどの人権侵害を経験した住民は約25万人に達し、全国でさらに15万人(2008年時点での試算)が立退きを強制される可能性があることが現地NGOから指摘されています。しかし、日本政府の開発援助は従来通り道路・鉄道網整備といった事業に偏重し、それ自体が大規模な住民立退きを引き起こし、移転住民の多くが貧困化しています。今後は、日本のODA事業実施に際し、住民立退きの問題に十分配慮するのはもちろんのこと、カンボジア政府が、開発をめぐって発生する住民立退きや土地紛争を国際的な基準に則って解決するための、統治能力の強化につながる支援を実施すべきです。

4.ラオスでは、地域住民が不十分にしかプロセスに参加できない形で、メコン河本流のダム開発がタイの民間企業とラオス政府の決定だけで進められています。一方、メコン河委員会(MRC)の評議会は、サイヤブリダムの環境アセスメント調査のやり直しに日本が積極的な関与することへの期待を表明しています。MRCを通じて流域の環境保全に貢献しているとの立場をとっている日本政府として、その要請を受けるのであれば、流域のステークホルダーの声が調査に反映されるよう、注力すべきです。

メコン・ウォッチは日本政府が各国で発生している環境・社会問題を直視し、日本・メコン地域諸国首脳会議での決定が、真に流域各国市民から歓迎されるものになるよう強く求めます。

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【本件に関する連絡先】

メコン・ウォッチ(担当:木口由香)
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