ホーム > メコン・ウォッチの活動 > 政策提言
メコン・ウォッチでは、具体的な開発プロジェクトの環境・社会問題の解決に取り組むと同時に、こうした問題が今後起こらないよう、日本政府や国際金融機関の改革を求めて活動しています。
政策提言活動は、以下のような活動が含まれます。
メコン・ウォッチは次の政策分野について活動しています。
プロジェクトの実施機関である途上国政府や企業の努力だけでは、援助や投資による被害を防ぐことはできません。開発プロジェクトに資金を供与する援助機関や国際金融機関が、支援決定の際に、環境社会影響を十分に検討し、必要な環境社会上の措置を講じること、基準を満たさないプロジェクトには支援を行わないこと、そして実施段階においても、これらの環境対策が実際に実施されるよう監視をし、新たに判明した環境社会問題について適切に対処することが求められています。
こうしたプロジェクトの検討・実施の過程において、個々の案件が満たすべき環境社会上の基準と、これを確認し実際に実行されるよう監視・指導する手続を定めたものを、「環境ガイドライン」と呼びます。メコン・ウォッチでは、1999年に始まった国際協力銀行(JBIC)環境ガイドライン改定をはじめ、様々な機関のガイドラインの制定・改正に携わってきました。
また、新たなガイドラインが制定された機関についても、実施状況についての監視・提言活動を続けています。
途上国で援助プロジェクトの被害を受ける住民は、援助実施の意思決定に参加できないだけでなく、被害を受けても抗議の声を上げるためのチャンネルも奪われています。
被害住民やNGOからの強い批判に応え、1993年に世界銀行が初めてインスペクション・パネルと呼ばれる異議申立て制度を設置しました。これは、世界銀行の政策に違反したプロジェクトについて、被害住民の申立てにもとづき、第三者が調査を行うメカニズムです。
メコン・ウォッチは、国際協力銀行や国際協力機構の新環境社会ガイドライン制定にあわせて、異議申立て制度を設けるよう働きかけ、またその制度設計に積極的に関与してきました。またサムットプラカン汚水処理プロジェクトの経験にもとづき、アジア開発銀行のアカウンタビリティ・メカニズム制定についてもADB・財務省への提言・働きかけを行いました。
途上国の被害住民や援助国の市民がが援助に関する意思決定に参加するためには、事前に情報が公開されることが大前提となります。メコン・ウォッチでは、2001年に施行された情報公開法を利用してODAに関する情報公開の拡大に取り組んできたほか、アジア開発銀行(ADB)の情報公開政策改定に対する働きかけを行ってきました。
大規模ダムのあり方は、様々なアクターによって議論されてきました。メコン・ウォッチでは、メコン河流域のダムの再評価を行うと同時に、世界ダム委員会の最終報告書を国際金融機関が採用し、今後のダムへの融資検討の際の基準とするよう求めています。
メコン河流域国では近年、従来からのドナーに加え、中国、タイ、マレー シアなどをはじめとする新興国と呼ばれる国々からの援助や投資事業が 増加しています。メコン・ウォッチでは日本政府や企業の関わる投資・援助 のみならず、こうした新たなアクターがメコン河開発にもたらす影響を分析 しています。
メコン・ウォッチの政策提言活動の対象は、主にODAの実施機関である国際協力銀行・国際協力機構・外務省、国際金融機関のアジア開発銀行・世界銀行・国際金融公社や、これらを管轄する日本政府、および実際に途上国への投資・輸出に関与する日本企業です。