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ホーム > 資料・出版物 > プレスリリース・要請文>ビルマ・ティラワ経済特区開発への適正な環境社会配慮手続きを求める意見書

【声明】
ビルマ(ミャンマー)円借款・ティラワ地区インフラ開発計画(フェーズ1)
適正な環境社会配慮手続きがとられないままの交換公文締結は拙速

2013年5月28日

私たちは、外務省・国際協力機構(JICA)に対し、意見書(添付資料を参照)等にて、ビルマ(ミャンマー)・ティラワ経済特別区(SEZ)開発事業、および、同関連インフラ事業である「ティラワ地区インフラ開発計画(フェーズ1)」(以下、インフラ事業)の環境社会配慮に関し、JICAによる環境レビューが不適切であること、また、JICA環境社会配慮ガイドライン(以下、ガイドライン)の規定に違反している可能性を指摘してきました。

しかし、5月26日、同インフラ事業に関する交換公文が日緬政府間で署名されました(円借款供与限度額200億円)。本来とられるべき環境社会配慮手続きが蔑ろにされたままの拙速な合意文書締結に対し、私たちは強く抗議します。

まず、日本政府が同インフラ事業への円借款供与を決定する前にJICAが行なった環境レビューでは、同インフラ事業に伴う漁業者への影響、また、経済特区、および、同インフラ事業に伴う農地収用や家屋立ち退きへの影響について、十分な配慮・確認がなされていません。さらに、JICAが環境レビューにおいて「実施済み」との認識を示した「住民協議」についても、住民は参加していないのが実態です。住民は移転・補償計画も提示されないなか、いつまで事業予定地内で農業を行ってよいのか等、大きな不安を抱えながら生活を送っています。

また、同インフラ事業については、ティラワSEZ開発事業に伴い、約900世帯の「大規模非自発的住民移転」が起こることから、JICAガイドラインに基づくカテゴリ分類を「B」から「A」に見直し、より入念な環境社会配慮を検討すべきです。

さらに、JICAは同インフラ事業の協力準備調査を公開しておらず、JICAが行なった上記の「環境レビュー」の根拠は示されていません。すなわち、納税者への説明責任は果たされていません。

このように第三者から環境社会配慮面での懸念が指摘されてきた事業について、協力準備調査を公開しないまま、日本政府が事前通報を行ない(2013年3月28日)、また、合意文書締結を行なったことは、意思決定に先立ち、一般からの意見提供が可能となるよう、「環境社会配慮に関する情報を公開した上で、環境レビューを実施する」というJICAガイドラインの趣旨も損なうものです。

今回の5月24〜26日にかけての安倍首相による訪緬中には、同合意文書の締結以外にも、安倍首相、および、経済界のトップが同経済特区の予定地を視察するなど、同事業が日本の旗艦プロジェクトであることが改めて強調されましたが、ビルマへの援助・投資ブームのなかで、JICAによる適正な環境社会配慮手続きが蔑ろにされている現状に対し、私たちは改めて強い危惧の念を表明します。

 

『ビルマ(ミャンマー)・ティラワ経済特別区(SEZ)開発事業、および、同ティラワ地区インフラ開発計画フェーズ1に係る環境社会配慮について』

 

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