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パクムンダムの動き 6月3日午後〜4日

メコン河開発メールサービス 2000年6月5日


タイのパクムンダム(世銀融資で1994年に完成)で千人を超える被害住民が、ダムを占拠してゲートを開けることを当局に求めています。以下は木口さんの電話取材による現地情勢とバンコクの久世さんの直接取材による情報です。


3日の現地情勢(電話取材、木口由香)

午後、1日に赴任した新県知事がダムサイト訪問。自警団を使うようなことはしない、との発言があり。本日も持ちこたえたようです。明日、ダムの内部を公社と住民側両者立会いの元で点検する予定ですが、住民側にダム発電機の知識がある人がいません。SEAEINのチャイナロン(フィアット)が立ち会うことにしているそうです。彼は電気関係の技術者ではありますが、本人も他に誰もいないのでやむをえない、と言っていました。

明日、もう一つのムン川にあるダム、ラーシーサライで抗議を続けている住民が自分たちの手でダムから水を抜くかどうか思案を続けています。こちらは灌漑ダムですが、住民は数メートルのゴムの堰を作ると言われていたのに、出来上がったら10数メートルのコンクリート製のダムだったというもの。その上灌漑用水が出来ていないのに貯水し、住民から農地を奪ってしまいました。住民が工事を始めれば、当局は黙認はしないと思われます。こちらも住民の選択次第では事態が緊迫します。

4日朝現在の現地情勢(電話取材、木口由香)

住民を支援している上院議員の働きかけで、委員会が現地サイトで開かれるかもしれません。

ダムの内部検査ですが、住民側にたつ技術者がいないということで、火曜日まで延期するように話し合いが進められています。ずっと住民を支援しているニラン上院議員が、委員の現地訪問を実現するよう働きかけてもいます。デモ住民へのいやがらせは続いていますが、議員の訪問もあり今日・明日に排除されることはないと見てよさそうです。しかし、突発事項の可能性が消えたわけではありません。

4日午後現在(直接取材、Nobutaka Kuze)

バンコクは今日も暑い日が続いています。今日、午後2時半頃、首相府前を訪れ、リーダーの一人、サーゴン・シーサイさん(チャイヤープーム県出身)と話が出来ました。またその後、、警備中の警官にインタビューしました。どうやら、明日(5日)、ちょっとした動きがあるかもしれないようです。以下、サーゴンさんと警官の話。

<サーゴンさん話(要約)>

今日(4日)は、特に何も行動を計画していない。今日は休憩の日に当てている。明日、首相府に要求書を提出する。内容は、リーダー14名の逮捕状の取り消し、パクムンを含む東北タイの問題のあるダムについての情報公開(ダムの仕様、補償金の条件、額、環境への影響、その他)がメイン。首相府前のデモ隊総数は現在、400名強、当初500以上いたが、病人の搬送などで帰村した者も多い。

首相府前のデモサイトでは、これまでのところ暴力行為、その他外部からの妨害行為は発生していない。デモ隊側も非暴力主義を貫いてきたし、これからもそのつもりである。

発表された委員会メンバーには満足している。しかし、仮に委員会が答申を政府に提出しても、政府がその答申を尊重して委員の提案を履行するか、は疑わしいところである。従って、こちらの要求が完全に実現されるまで、デモは続ける。今とところ、政府のデモ隊に対するケアは十分に満足できるものだ。トイレ、水、医療面のサポートは整っている。

(この後、4時半頃、明日の要求書提出の時間について電話で伺ったところ、今日の夕方から首相府前に集結することにしたということです。要求書の提出時間については、状況により流動的なので、提出する時には電話してくれるそうです。電話があり次第、この件については報告します。)

<警官の話(要約)>

所属は首都警察だと言うことしか言えない。

今日のところは、警戒に当たっている警官は全部でおよそ400−500名。出身は地方(見た目にはイサーン・・)で、デモ隊に対しての感情は?との質問には、彼らは憲法で認められた権利に基づいて行動していると思う。今のところ、彼らも基本的には非暴力の原則をわきまえており、さほど緊張した事態は個人的には直面していない。職務を淡々とこなしている。明日までは何も起こらないだろう・・・。

明日までと言うと、明日何かあるのですか?との質問に、苦笑いして、とにかく、自分に与えられた職務を忠実にこなすだけ・・・とのこと。

(現場のお巡りさんの話ですから、詳しく分かりませんが、ちょっと含みのある回答でして・・・、今日の夕方から明日にかけて、バンコクの方は、また少し注目してみる必要がありそうです)

4日夜現在の現地情勢(現地からのメール、木口由香)

久世さんの連絡にあったように、本日は緊急の動きはありませんでした。パクムンのグループからメールがきました。内容は1)EGATの求めているダム内部のチェックを火曜日にするよう調整している。2)上院議員選挙の投票に行った報告(ウボンラチャタニは不正続きで、これでやり直し3度目)

3)ウボンラチャタニの街の様子:県庁前にいまだにデモを非難する横断幕がかかっている。(午後2時時点)「パクムンのデモ隊は破滅せよ!我々はダムを愛している。ダムは命であり、ウボンの住民はダムを愛している、等」横断幕は2週間以上もそのままで、先日上院議員が現地を訪問した際、県がメディアに「デモに対する反感を煽ったりすることはない」、と説明したが事実とは異なる。県は相変わらずEGATと協力してデモ排除を狙っている。

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