メコン河開発メールサービス 2000年6月10日
すでにパクムン問題を審議する委員会の情報は、バンコクの久世さんから流れていますが、以下はこれに関係する7日のタイの英字新聞The Nationの記事です。京大ユニセフクラブの角田さんが翻訳して下さいました。
The Nation、2000年6月7日
BY PENNAPA HONGTHONG, PONGSAK BAI-NGERN and PIYANART SRIVALO
パクムンダムの堰は少なくとも年に3ヶ月の間開けられること、抗議活動をしている住民は直ちに整備のための立ち入りを認めること、これが問題解決の方法を探る委員会で昨日提示された和解案である。
この提案は、3週間にもわたって緊張が続いているパクムンダム問題を解決に向かわせるために政府が設けた中立的な委員会の会議の後で発表されたものである.
委員会の委員長であるBanthorn Ondum氏によると、この提案を受けて抗議者側とタイ電力局(EGAT)側はともに月曜日、それぞれ話し合いを持つ予定とのことだ.
「双方ともに一歩ずつ譲るべきだ」、委員であり、マヒドン大学環境自然資源学部の学部長であるAnuchart Puangsamleeは主張している.
抗議者側は魚の遡上と産卵のためダムの堰を一年中開放することを求めている。ダムに対して抗議をしている住民はそのほとんどが漁民であり、1994年にダムが完成してからというものダムによって魚の移動と産卵が妨げられてきたと主張している。
しかしEGATは彼らの要求を退け、魚に対する影響はきわめて小さいものだったとしている。
Anuchart氏によれば、委員会による和解案がもし双方によって受け入れられた場合、抗議者側は整備と操業のためにEGAT職員を発電所に入れなければならない。(住民は5月15日から発電所周辺を占拠している)その代わりにEGATは魚がダム周辺に向けて移動してくる季節である雨季に、ダムの堰をすべて開放しなければならないということだ。
また、それに加え双方は対立を激化させるようないかなる行為をも慎まなければならない。EGATがメディアを使って抗議側住民を中傷するようなキャンペーンをしたことや、抗議側住民と対立させるべく周辺住民をけしかけたことなどは非難を浴びている。
しかし、と委員長は言う。どのような解決策も受け入れか拒否か、その最終的な決定権は政府にある。委員会の権限は政府に解決策を提示することだけだ。この委員会というのは首相代理と内務大臣Banyat Banthadthan氏の指示によって金曜日につくられたものである。委員会は設置から5日以内に内務大臣に報告を出さなければならないことになっている。
この委員会は住民に負の影響を及ぼした可能性のある16の巨大開発プロジェクト(ダム、森林関係含む)を再評価するという責務を負っている。
また、昨日パクムンダム、ラーシーサライダム、Hua Naダムという最も急を要するケースに対応するため3つの小委員会が設けられた。水資源管理の専門家で、これも委員会のメンバーであるウボンラチャタニ大学のPrakob Virojkut氏は、堰が開けられたからといって魚が遡上して産卵できるという保証はどこにもないといっている。
「私は個人的には堰を開けることで魚が上っていけると思うが。」と彼は付け足した。
しかしどちらにしても堰を開けることは国にとって貴重な経験となることだろうとAnuchart氏は述べた。
「このケースはわれわれの社会にとって大きな学びのステップとなることだろう。私たちはダムの問題にとどまらず、もっと構造的な問題から逃れるための道を探っているところなのだ。」