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サルウィンダムへの日本の関与

メコン河開発メールサービス 2000年7月14日

少し資料的ですが、ビルマのサルウィン川のダム問題についてです。ビルマ問題に関わる欧米の市民グループが、5月30日に東京にある外国人記者クラブでブリーフィングをしました。ILOが強制労働を理由にビルマに制裁をするという決議に対して日本政府が反対していたため行われたものです。結果はすでにお伝えしました通り、先進国の中で唯一日本だけが制裁に反対しました。

サルウィンダムには、特殊法人の電源開発が関わっていますし、欧米社会が人権問題から制裁を続けるのに反して、日本が最大のODA供与国になっています。森首相は、小渕前首相の葬儀に参列したビルマの最高指導者と会わないようにという国際的な圧力に対して、隣り合わせに座って、事実上の会談を行なうという行動に出ています。

以下、メコン・ウォッチの後藤歩さんの翻訳です。

日本がつくるダム、ビルマの軍人へ:タサン・ダム、強制労働と日本のつながり

日本の外国人記者クラブへのブリーフィング
2000年5月30日

Harn Yawnghwe、欧ービルマ事務所
Thaung Htun 国連へのNCGUB代表

<タ・サン・ダム概要>

場所:南部ビルマ(シャン州)、タイービルマ国境から北へ80km

高さ:188m(東南アジアで最高)

発電能力:3300MW(4分の3がタイへ輸出)

洪水領域:貯水池はサルウィン川沿いに230km浸水する

費用:最低でも30億ドル

開発事業者:GMS Power Public Co. Ltd(タイ)

日本とのつながり:電源開発株式会社(EPDC,特殊法人)がフィージビリティ調査を実施。唯一もっともらしい資金源は日本で、アジア開発銀行を通してのものと推測される。

進行状況:フィージビリティ調査がすでに、もしくは近々完了(ダム計画プロセスの5段階のうち4段階目まで終了)。

すでに起こっている措置: 強制労働と強制移住。EPDCで働く日本人を守るために、何人かのビルマ軍大部隊が建設地域に入っている。

サルウィン川は東南アジアにおいて、自然に流れる大河川として唯一残っている川である。中国のヒマラヤを源流としてビルマに流れ込み、タイービルマ間の自然の国境をかたちづくっている。日本からの資金を得て、現在ビルマはサルウィンにダムを建設し、タイへ電力を輸出しようとしている。まだ計画の段階であるが、プロジェクトはすでに大規模な人権侵害をシャン州で起こしている。

ビルマ南部のシャン州、タサンに建設予定のダムは、タイ国境から80kmの場所に位置する。ダムは188mの高さで東南アジアで最高のものとなり、230kmの貯水池をつくり、最低でも640平方kmの地域を浸水し、サルウィン川の年間流水量の約3分の1を貯水することになる。ダム建設費用は、少なくとも30億ドルはかかる。

過去4年間、ビルマ軍はシャン州で軍事活動を活発化しており、結果として30万人以上の人々を強制移住させている。1999年には4つのビルマ軍大部隊からの軍隊が、日本の電源開発株式会社(特殊法人)から来ている日本人を守るために動いている。同地域からの人権レポートは、それら大部隊は強制労働を強要し、他の虐待も行っていると報告している。

強制労働

1998年、ILOによって準司法的手続きで行われたビルマにおける強制労働の調査結果によれば、「SPDC軍は、広範囲にわたってビルマ軍キャンプと他のインフラの建設とメンテナンスに強制市民労働を使った」、という多くの証拠がある。1998年の「ヒューマン・ライツ・ウォッチ・ビルマ報告」は「強制労働は和らいでいるどころか経済の落ち込みにより、増加しているようである」と述べている。

何千人もの労働者を含む強制労働は、1994年にシャン州に完成したナム・ウォック・ダムなど、これまでの大規模ダムプロジェクトに使われてきている。タサン・ダム開発も、SPDCにより強制労働が強要されるだろうと信じずにはいられない理由がある。それらは:

1999年に国連人権委員会に提出された報告書でspecial rapporteurのRajsoomer Lallah氏が、Murng Pan, Larng Khur, Murng TonとNam Zarng の村から「タサンを横切るサルウィン川近くの岩を切断する作業に、SPDCに2週間の期間で強制労働にかり出された」という報告を受けた。SPDCが広範囲でインフラプロジェクトの建設に強制労働を使うという事実は、しっかりと記録され公表されている。ヤダナ・パイプライン・プロジェクトはそのような非人道的な行いに対して世界中の関心を集めた。

強制移住

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、1996年から1999年の間、特にシャン州でSPDC軍による人々の強制移住とそれに続く人権侵害が激化していると報告している。強制労働、強制運搬、強制移住、そして司法管轄外の殺害が過去4年の間で北ビルマのシャン州において劇的に増えている。強制移住は、技術者が計画中のダムのフィージビリティ調査を行っているのと全く同じ場所で起こっている。1997年からSPDC軍はシャン州での移住プログラムを、サルウィン川の両側、計画されているダム上流のNam Parng支流、そしてタサン・ダムサイトの西側のMurng Pan町を含む地域まで拡張した。

すでにビルマからの難民はコソボでの難民の数を超えている。援助グループは50万人以上の人々がビルマ国内で移住させられていると予測している。10万人以上の人がタイとの国境近くでキャンプを張っており、またタイはさらに少なくとも50万人以上の人がタイ側にいると見積もっている。難民の最も多いグループはシャン族である。もしダムが建設されるのであれば、SPDCの強制移住プログラムを逃れてタイへ逃げ込んでいるシャン族の数と、シャン族に対する人権侵害の数は急激に増えるであろう。

日本の関わり

日本の電源開発株式会社のタ・サン・ダムでの動き

日本の電源開発株式会社(EPDC)は、ビルマ政府よりタサン・プロジェクトのフィージビリティ調査を行うために雇われている。EPDCは日本政府により管理されている特殊法人である。(EPDCの10の株主は大蔵大臣66%、9つの電力会社33.3%。内閣はEPDCを2002年までに民営化することを予定している。http://www.epdc.co.jp/english/index参照)。

国際的プロジェクトでは、EPDCがフィージビリティ調査を行い、プロジェクト資金を調達するのが典型的である。シャン州のサルウィン川地域は紛争領域である。1999年半ばより、ビルマ軍は、フィージビリティ調査を行っているEPDCを含む企業を守るために、ダム近くのサルウィン川での警備を強化している。4つの歩兵大部隊330, 332, 518, 520から400人−500人の部隊がタサンでサルウィン川の両側を占拠した。

(資料:SHAN HERALD AGENCY FOR NEWS: JUNTA FORTIFYING THE SALWEEN DAM SITE 1999年10月4日)

タイに到着する難民はこれらの軍隊による虐待を報告している。日本の特殊法人にフィージビリティ調査をさせるという事実は、何が最も重要な日本絡みの資金提供となりうるかを示唆している。30億ドルをビルマが払えるはずはなく、通貨危機からまだ抜け出せていないタイはやはりこのような危険なプロジェクトに資金を出す立場にはない。

西側政府は、軍事政権が民主主義へと移行するまで、同政権が得をするプロジェクトに資金提供することには完全に反対している。世界銀行の規則は同銀行の関わりを禁止している。また、民間セクターも参入する気配はない。タイの開発業者GMS Inc.,はどんな会計基準で見ても破産しており、タイの株式取引所でからも除外されている。

そうすると、アジア開発銀行を通しての日本の資金が残ることになる。日本政府はタサンへの関わりを秘密にしているが、ビルマの中小企業への援助の開始を最近発表している。日本はさらに「人道援助」の名の下に、観光産業を振興させるためより大きなジェット機の着陸用に、ラングーンの空港用の道路の延長に資金提供している。

詳しい情報は:

電源開発株式会社
〒104−0061 中央区銀座6−15−1
Phone: 03-3546-9385, Fax: 03-3544-1819

サルウィン地区での強制移住、強制運搬、強制労働、その他の虐待に関する情報は:

「ビルマ軍人のためのダム」タイのNGOーTERRA

ビルマ軍のサルウィン川攻撃

シャン族を殺す

新着情報については、サルウィン・ウォッチにお訪ねください。サルウィン・ウォッチはダムプロジェクトを監視し、機関誌を発行している NGOです。

salweenwatch@hotmail.com

ビルマの強制労働への日本政府の資金提供

日本の外国人記者クラブへのブリーフィング
2000年5月30日

Harn Yawnghwe、Euro-Burma Office
Thaung Htun 国連へのNCGUB代表

ビルマのサルウィン川のタサン・ダムは、第二次世界大戦後日本政府により資金提供を受けたダムとして初のものではない。米国労働局は、ビルマ軍事政権により建設された南ナウィン・ダム(計画と土木工事が日本政府の資金協力により行われた)が90年代半ばに26万人の強制労働を使っていたという事実を確認した。

(米国労働局「ビルマにおける労働慣例の報告 1998年9月」 AppendixIII 無償労働によるインフラストラクチャー・プロジェクト:1998−1996参照。)。

日本の現国際協力銀行(JBIC)ー当時の海外経済協力基金(OECF)が融資した南ナウィン・ダム

1995年のビルマの州プレスの中の記事では、何百人も何千人もがダムのために「自発的に働いた」ことに触れて軍事政権が次のように書いている:

「ダムについての簡単な歴史を述べると、日本のOECFが1977から1979の間にAyeyawady デルタ地域上部セクターの全般にわたる開発プロジェクトの草案作成の調査を行い、フィージビリティ調査が1980年に出されたと彼は述べた。報告書によれば、三祐コンサルタントが1983年の始めよりプロジェクトのデザインをするために雇われていた・・・・・ミャンマー日本大使のタジマタカシは、OECFが81億5000万円の融資をしたダムが完成したことに喜びを示した」

(「新しく落成した南ナウィン・ダムが6万2600エーカーの土地、3つの町の9万8100エーカーの土地のかんがい用に水を供給する」The New Light of Myanmar 1995年4月29日 参照)

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