メコン河開発メールサービス 2000年8月21日
日時: 2000年8月10日(木)14:00〜
場所: 参議院議員会館中村敦夫事務所
出席者:
参議院議員中村敦夫政策秘書 田中信一郎
経済企画庁調整局経済協力第一課課長補佐 竹下智雄
国際協力銀行開発第1部課長 松澤猛男
国際協力銀行総務部報道課副主任 村田佳代
「環境・持続社会」研究センター 石田恭子
メコン・ウォッチ 福田健治
メコン・ウォッチ 後藤歩
会合要旨:
本件はOECFの環境ガイドライン第1版に沿って審査。1995年の9月に審査し、1996年の2月に承認。水質管理を専門とする滋賀大学の奥野教授に専門家として審査を依頼した。奥野教授による報告書は、外部公表を前提としていないため、審査において公開できない情報も盛り込まれており、現時点で公表することは困難。
現在行われているというEIAは7月14日にドラフト案ができた。ただしタイ語でのみのもの。PCDからJBICへ報告が来て、環境への大きな負の影響がないことを書面で正式に確認している。最終結果は公表する予定。最終版は9月中旬に延期。タイ語でのみ。その後ADBでチェックし英語バージョンは11月末に出る予定。建設工事は続行中。
タイ政府は、現在行われているEIAは追加的なものであり、事業実施前に必要とされるEIAに相当するものではないと認識している。F/Sで環境は問題ないとされているので、環境に関してはEIAは必要ないという理解は変わらず。よってクロンダンの公式なEIAは行われない。環境面に関してF/Sに含まれるIEEによって判断できるかどうかについては、JBICとメコン・ウォッチの間での見解の違いは認識している。設計は、EIAを踏まえて改善できるところは改善している。
PCDは今月中にでも公式にNGOと会談する予定。住民との会談もその後に行う予定で、それにはADB、JBICの代表も参加する予定。現在環境大臣が主催している会議(既に4回行われた)があるのだが、これには「住民も参加している」とPCDは言っている。Varin氏という名前の住民代表が参加。ただ、これはClosed Discussion。次回は9月に行われる予定。別名"Conflict SolvingCommittee"という。汚臭、汚泥、粘土の処理に関する技術的な環境緩和策を話し合う。
ツー・ステップなのだが、L/Aの中で融資を決定する前に、JBICに事業内容を添付して打診してもらう。
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JBICが依頼した専門家が10日間現地で調査
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JBIC内で審査、承認
環境ガイドラインは第2版については周知機関が置かれ、1997年7月以降に要請のあった事業から適用されている。よって本事業は、第1版が適用されている。ただし本プロジェクトに関しては、B種に分類されるため、第2版を適用しても、EIAが必要との結論にはならなかった。
入札時の配慮。ターンキー・コントラクトの中で配慮させる。
審査においては、「対応策がとられれば環境への影響を少なくすることが十分可能である」ことを、F/Sの検討、現地訪問、タイ政府との協議等によって確認している。その後は基本的にプロジェクトの監理の問題であり、審査で確認した対応策がターンキー・コントラクトにきちんと反映され、実行されているかをチェックしている。環境への影響はプロジェクトの設計が詳細にならないと分からない部分もある。
ただ、例えば淡水化による貝の養殖への影響については、淡水化の度合いがタイの環境基準を上回ればいいという問題ではないとの住民の指摘を受け、JBICとしてタイ政府に伝えている。この点についてはConflict Solving Committeeにおいて、淡水が養殖に影響を与えやすい乾季に、排水を農業用水に転用できないかを検討している。
貸し付けを停止できるのは、L/Aの一部であるGeneral Terms and Conditionsに含まれるdue diligence規定に違反している場合に限られる。これは、タイの国内法の明らかな違反か、環境に対する重大な悪影響が生じた場合ということになる。本プロジェクトに関しては、タイの法制に基づき環境配慮が行われ環境への重大な悪影響はないことを確認していること、より環境面に配慮した改善策が講じられることとなっていることから、due diligenceに違反しているとは考えられない。
答弁書はJBIC、 ADB、大使館、日本政府のミッションを総合して内閣法制局を通して作成。一般の方に分かりやすくつくった。
F/SはADBの資金によって作成されたものであり、ADBが公開するものと認識していた。未だ入手されてないという点はADBに連絡するが、基本的にメコン・ウォッチから催促してほしい。
排水に含まれうる重金属の量は算出可能で、沈澱処理後の処理施設からの排水には排出基準を超える重金属は含まれる可能性がほとんどないことを確認している。沈殿した重金属は、汚泥中の割合が少なければ再利用し、多ければ別途保管されることになる。保管については5年間保管できる容量が確保されているが、最終処理を行う専門会社に処理を依頼することについても基本了解を取り付けている。
以上
(記録:後藤歩/メコン・ウォッチ)