メコン河開発メールサービス 2000年9月5日
バンコクの木口さんからパクムンダムなど16の懸案の解決をタイ政府に求めている貧民連合(AOP)について、最近の情報が送られてきました。
ミニ解説:首相府突入時に逮捕され、すぐに保釈された人たち
用語が分からないので、言葉遣いに間違いがあるかと思いますがご了承ください。
9月4日、225名が裁判所へ出廷。
しかし、検事が裁判所に出廷せず、裁判は流れてしまいました。貧民会議(AOP)の説明によると、裁判所の定めた期日内に手続きが終わらなかったため、もし政府が再度裁判を起こそうとした場合、225名を再逮捕し最初から手続きしなおさなくてはならない。これから郷里に帰ったり、地方で働いたりする住民を全て追いかけて逮捕することは事実上不可能。これはイコール、犯罪者として刑務所に入ることはなくなったということを意味する。
分かりにくいですが、ようは政府は225人を逮捕立件して刑務所に放り込むのはあきらめた、ということのようです。AOPはリーダー格のメンバーの逮捕は相変わらず警戒しているものの、225名については書類送検されても裁判が行われなかったので、事実上無罪を勝ち取った、と考えています。タイらしい、というべきなのでしょうか。夕方、首相府前はほっとした空気が流れていて、最近むっつりした顔ばかりしていたAOP相談役ワニダーさんも今日はご機嫌で、ゲートちゃん(逮捕された2歳児)と遊んでいました。
ミニ解説:パクムンダムの水門を開けて魚の回遊を戻すことが要求
一つ閉まっていた水門ですが、8月29日にもう一ヶ所水門がおりました。AOPは3日付けで声明を出し、上流が洪水なのに発電公社はまったく無関心で、国民のことを考えていない、と非難しています。本来なら9月1日に8つの水門全てが閉まる予定でした。
10日ほど前、AOPの高齢者を主体としたメンバーがシリントーン・ダム影響住民のパクディさんと共に、南部タイのトラン県まで出かけ、チュアン首相の母、トゥアンさんに陳情書を届ました。チーム・リーダーはハイおばあさん(いつもデモ隊の先頭できんまを噛んでいる)でした。この方は、数十年前、稲刈りをしている最中に田にブルドーザーを入れられて、土地を強制収用された人です。郡庁に訴えたら「おばあさん、タイではもう米を作らなくなったんだ」と言われて追い返されたとか。チュアン首相のお母さんは目安箱的役割を担っているそうで、お母さんに届いた手紙は、首相のところにも届くそうです。
8月17日に行われた公開討論会で、フアイラハー・ダムの影響住民を代表して演壇にたったペットさんが無事に男の子を出産しました。赤ちゃんのお父さんは息子に「ナック・ロップ」と名付けました。(平たく訳すと戦士、ですが、AOPの非暴力運動とは相容れないような気が・・・。闘う者、くらいが妥当でしょうか)写真がNATIONで配信されています。東北タイの伝統に従って、赤ん坊の誕生を祝うバーシーの儀式が首相府前で行われました。
首相府前では「貧民ラーマ劇場」と銘打って毎晩ビデオ上映会を行っています。上映されているのは、自主制作のパクムン問題のビデオや環境をテーマにした映画などです。
首相府前の住民は現在300名ほどです。AOPは運動の長期化を宣言して、バンコクでの職を求めています。首相府前でも手仕事を募集していていますが、既に帽子作りや裁縫などは行われています。(バンコク在住の方で何か発注できる仕事がある方はお知らせください。)本日首相府前に行ったところ、ラーマ5世通りの上にブロックを組んで池を作っていました。養魚池にするそうです。また、路上のテントに雨が流れ込まないように、テントの周りは盛り土がされていますが、土を寄付する人が現れたとかで、その盛り土の上や運河の土手に野菜畑が作られようとしています。