メコン川開発メールサービス 2000年9月21日
ラオスの南部からベトナムのメコンデルタにかけて大規模な洪水が起きています。プノンペンでは過去最悪、ベトナムのデルタでも過去40年で最も深刻な洪水になっています。7月以来の洪水で、ベトナム、カンボジア、タイの3カ国で200人を超える犠牲者が出ています。またデルタでは15万人が、タイでも6万人が避難生活を強いられています。以下、それぞれ数字に違いがありますが、9月20日付けの、ロイター、AP、AFPの外電の要旨です。
9月20日付けのロイターは、ベトナムのメコンデルタで過去数十年で最悪の洪水となっており、3省以上で少なくとも39人がデング熱で死亡したと伝えた。カンボジアで増水したメコン河、モンスーンの雨が複合的に影響。最も被害が大きいのはカンボジア国境のAn Giang、Long An、Dong Thapの3省。それぞれ18人、7人、14人が死亡、ほとんどが子ども。 国際赤十字連合(IFRC)ベトナムの代表はデルタでの豪雨とカンボジアでの雨が複合的に影響していることだと述べている。更に今月末の南シナ海の高潮で、メコン河の水が海に出られなくなると被害が拡大すると懸念されている。IFRCの調べでは、浸水した世帯は50万を超えた。避難民たちは食料と水が不足している。洪水のレベルはデルタで217人の犠牲者を出した96年を超えているが、適切な救助作業が被害を小さくしていると見られる。また、カンボジアでも過去最悪の洪水で120人の犠牲者と農地の冠水被害に直面。タイでも少なくとも29人が死亡し、北部・東北部の6万人余りが避難している。
9月20日AP通信は、2か月にわたる豪雨と洪水によって、メコンデルタでは水に関わる伝染病(下痢、デング熱、目や皮膚の病気など)が蔓延する恐れがあると伝えている。家や土地、家畜などを失った人たちは300万人にのぼった。カンボジアでは160万人が影響を受け、131人が犠牲になった。ベトナムでは150万人が影響を受け、34人が犠牲になったとIFRCや政府は話している。IFECの推計では避難民は15万人に達しているということだ。気象庁によればメコン河の水位はまだ上がり続けており、ピークを記録する10月初めには1961年に記録した最高水位に達するかもしれないと警告している。
9月20日のAFP通信は、過去40年間で最悪のデルタでの洪水による犠牲者は43人に達したと報じている。このうち最も被害の大きいデルタ3省では34人が死亡したということだ。米作への被害額は2500万ドルに達し、50万人が飲み水や医薬品に不足していると政府は伝えている。また7月以来の豪雨と洪水による犠牲者の数についてプノンペン発AFPは、ベトナムで43人、カンボジアで131人、タイで28人と伝えた。IFRCの東南アジア代表は「メコン河が一つのシステムであると捉えなくてはいけない。通常の年よりも6週間早いペースで増水が起きている。北部カンボジアやラオスの南部では洪水のレベルは落ちているものの、地形の問題からそれがすぐにプノンペンやデルタの洪水を抑制する要因にはなるとは言えない」。ベトナムとカンボジアでは22万ヘクタールの水田が壊滅したと伝えている。