メコン河開発メールサービス 2000年9月22日
世界銀行が融資して1994年に完成したパクムンダムについて、第三者機関である世界ダム委員会(WCD)が行なった評価報告書が公開されました。この最終報告書を元に、後日WCDが自らの評価を下すことになります。融資した世界銀行がWCDの共同開催者であることを考えますと、自己批判報告書ともとれますが、タイ政府は反発しています。
影響を受けた住民たちは10年以上も抗議行動を続け、貧民連合はバンコクの首相府前で、今のデモを続けています。世界銀行の日本人理事は、しかるべき第三者機関によるレビューが、世界銀行を問題解決に向けて動かす力になると以前話していました。その意味では、この報告書を元に世界銀行がどのような解決策に向けて動き出すのか、パクムンダム問題は新たな局面を迎えそうです。
以下、9月21日のバンコクポストの邦訳です。
Anchalee Kongrut
Bangkok Post, September 21
タイ電力公社(EGAT)は、パクムンダムが経済面で評価できるものではない、と結論付けた国際的な報告書を真っ向から拒絶した。この報告書は、世界銀行と世界保全連盟(WCU、<注>IUCN=国際自然保護連盟のこと)が創設したグループである世界ダム会議(WCD)によって準備されたものである。
昨日、EGAT理事補佐であるSubin Panyamag氏は「この報告書は偏見に満ちており受け入れがたい」と述べた。(氏の言葉を借りれば)「我々は法的な要件を満たしていると強く主張する。我々は正しいことを行い、事業は社会的利益となっている」。Subin氏はまた、EGATに偏見を持っている者が報告書のための調査を行った、と非難し、世界ダム会議が(自分たちとは)「異なる指標」を用いてパクムンダムの価値を評価したと述べた。
今週発表された報告書では、ウボンラチャタニ県内のムン川とメコン河の合流点に出来たパクムンダムが全ての面で失敗したとされている。(報告書によると)パクムンダムは、発電・灌漑・漁業など、建設前に実現すると約束された全ての事業で失敗し、ムン川の生態系を破壊し、人々の生活に悪影響を与えた。
EGATを代表して公聴会に参加したM.L.(貴族の称号)Chanaphun Kridakorn、EGAT副総裁は、このレポートがEGATの提供した情報を盛り込んでおらず、EGATの情報は付帯文書の中に含まれたのみだ、と述べた。M.L. Chanaphunは、最終報告書は見ていないが内容が報道されている通りならEGATは異議を申し立てる道を探すだろうと述べた。
世界ダム会議のJames Workman報道官は報告書について、EGATも他の関係者にも既にコメントを出すよう求めており、関係者間で検討されたものだと語った。(氏によれば)「我々は、立場によって左右されやすい論調や言葉使い・判断・感情といったものではなく、独立して客観的に実証できる事実でありかつ正確な事柄についてのコメントを報告書に盛り込んだ」。
「結果について関係者全員が必ずしも満足しないのが、独立的な調査の当然のあり方だ。我々はこの最終報告書の内容を、自信を持って支持する」。チェンマイ大学の政治学者で世界ダム会議の調査チームのメンバーであったChayanVaddhanaphuti氏は述べている。彼は、EGAT執行部こそ偏見を持っており、調査チームは信頼に足る実績を持ったメンバーで構成されていたと話している。