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タイ石炭火力>閣議関連記事(1)

メコン河開発メールサービス 2000年10月15日


すでに速報でお伝えしました通り、タイ南部のプラチュアップキリカン県の開発が計画されている2つの石炭火力発電所〜ボーノックとヒンクルット〜の建設を審議するタイ政府の閣議が10月10日に行なわれました。明確に建設推進を確認せず、問題は先送りされたという感じです。

9日〜11日までのタイ字新聞「カオソット」の要約をバンコクの木口由香さんが送ってくれました。分量が多いので、3回に分けて送付します。


<木口さんからのメッセージ>

与党民主党議員が解散前に閣議に建設許可をすべりこませようとしましたが、住民が道路封鎖を宣言して対抗することで、はっきりした決定はされませんでした。恒例?の委員会設置がおこなわれることになり問題は先送りです。パクムン問題で影響住民を支援しているニラン上院議員などが政府に慎重な対応を求めています。現地に入っているというガティンデーンは1970年代、10月6日事件などで虐殺に加担した右派グループだと思いますが、まだ存在しているのでしょうか?現地では軍病院が病床を用意するなど、かなり緊迫したようなことも伝わっています。民営化や民間参入に反対するタイ発電公社(EGAT)の労組も、この件では住民にエールを送っている様子です。


<ヒンクルット石炭火力発電所問題と日本の関わり>

日本のトーメン社が中心になっているUPDC社(ユニオンパワー開発社)が開発を進めている。おととし日本輸出入銀行(現国際協力銀行)が投資金融支援を決定しようとしていたが、現地住民グループの激しい反対運動により、計画の見直しが行なわれている。漁業への影響、石炭火力による大気汚染、電力供給過剰の中での経済問題などが争点。国際協力銀行の支援は、タイ政府の見直し作業の進展を見て検討されることになっている。


「緑の旗、ペットカセム通りになびく」

10月9日付カオソット紙

8日、ボーノックとヒンクルットの火力発電所建設に反対するプラチュアップキリカン県の住民は、10日の閣議で同計画が承認された場合、ペットカセム通りを封鎖するとして、その準備に取り掛かった。住民の抗議は、民主党のサウィット・ポーティウィホック首相府大臣が、10日の閣議の議題として同計画の審議求めていることに対抗して起こっている。数百人の反対派住民は、反対運動のシンボルである緑の旗を作るため、ピックアップトラック4台分の小枝を切り出した。旗はボーノック交差点から1キロに渡りペットカセム通りに沿って取り付けられた。

ボーノック地方環境保護グループ代表のチャルーン・ワットアクソン氏はインタビューに答えて、「住民は5年間ずっと火力発電所に反対してきた。政府が間違った決定を下した場合、そのことが将来起こる暴力的な事態の原因になるかもしれない。政府が承認しても、それはそのまま建設には結びつかないだろう。なぜなら、計画が承認された場合、今度の選挙でプラチュアップキリカン県の住民は民主党を選ばないからだ」と話した。ボーノックの住民チャイナロン・ウォンサシトーン氏によると、ボーノック・タンボン行政機構の議員26人中25人が同計画に反対の決議を行っている。クルット村天然資源・環境保護グループ代表のチンタナー・ゲオカオさんは、「クルット村の住民はボーノックの住民と連絡を取り合っている。10日の閣議で計画が承認された場合、即座に行動を起こす準備がある」と語った。

同日、住民150人はプラチュアップキリカン県議会を訪問した。この日、住民のラッダー・シンレックさんが警察に出頭を求められていたからである。ラッダーさんはグラフパワージェネレーション社社員のルアンサック氏に訴えられている。ルアンサック氏によれば2日、ボーノック村を訪れた同氏に向かって、ラッダーさんがサンダルを顔に向かって投げつけたという。自分はよけたが、そのサンダルが同行していた恋人の顔に当たったため、傷害事件として警察に訴えたというもの。それに対し、ラッダーさんは容疑を認め「ボーノックの住民のくせに、資本家の手先になって火力発電所を推進するルアンサック氏の顔を見て頭にきてやった」と語った。しかし、住民が即座に募金を募り、ラッダーさんの保釈金を集めている。住民とラッダーさんはルアンサック氏が現れるのを何時間も待ったが、ルアンサック氏は現れなかったため、この日は解散した。

また、サマッチャー・コンヂョン(貧民連合)顧問ワニダー・タンティウィタヤーピタックさんはインタビューに答え「チュアン政権は住民の意見を聞いていない。もしこのまま計画が承認されれば、混乱が生じることは必至だ。住民は政府と交渉する権利を持っていない。法の定めた範囲のあらゆるチャンネルで反対を表明したが、政府は無関心だからだ。承認された結果何が起こっても、政府、特に民主党の議員の責任だ。貧民連合はボーノック、ヒンクルットのグループとは協力関係にある。今後もできる限り反対運動に協力していくことになるだろう。」と話している。

また、同日、タイ発電公社(EGAT)労働組合は住民の反対運動を支持する声明を発表した。それによると、今回の国会解散前の承認を求める動きは、選挙資金集めでしかないという。また、「現在の発電能力で今後10年間は電力の需要を満たすことができる。効率が悪いとして休止させられている発電機を稼動し、発電能力を上げることもできる。だが、それは実行されていない。なぜなら、余剰発電量を少なく見せかけるために圧力がかかっており、(発電能力を押さえているのに)電力が不足するのでプラチュアップ県のような民間の発電所が必要だ、という主張がなされている」と同声明は述べている。

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