メコン河開発メールサービス 2000年10月26日
アジア開発銀行(ADB)と国際協力銀行(JBIC)が環境ODAとして支援しているタイのサムットプラカン汚水処理施設に関連して、今月初め、汚水による悪影響や開発プロセスの問題を訴えている漁民たちが強硬手段に出ました。近々ADBの監査室が汚職などの調査のため現地を訪問するなど、この問題については動きが慌しくなっています。なおこの件についての詳細は、こちらをご覧ください。
以下、バンコクポストの記事を、メコンウォッチの福田健治が訳しました。
BY KAMOL SUKIN, The Nation October 4, 2000
昨日、議論となっているサムットプラカン汚水処理施設の建設現場から労働者を締め出し、施設の建設は困難となった。
昨日朝、プロジェクトに反対している地元漁民の約30の船が、サムットプラカン県クロンダン区から3kmの所で作業していた業者の船を取り囲み、出て行くよう要求した。
地元反対グループのリーダーであるDawan Jandrahasadiは、業者の船の乗組員に対し「すぐに作業を中止し、私たちの水域から今すぐ立ち退きなさい」と要求した。
プロジェクト・サイトから6人の関係者を乗せた小さなボートが業者の船に近づこうとしたが、漁民たちの船に阻止された。
午後4時、ついに業者の船はその場所を離れ、バンコクの近くのチャオプラヤ川河口へと向かった。
「私たちはあの人たちに傷を負わせませんでした。彼らは単なる労働者だと分かっているからです。彼らは私たちの主張を了解し、要求どおり退去しました」とDawanはNation紙に語った。
「どうしたら建設業者はこんなことを私たちにできるのでしょうか。私たちは、このプロジェクトが建設するに値せず、私たちのコミュニティと漁業を破壊するということを、建設主(公害管理局)を納得させようとしてきました。しかし彼らは私たちの声を聞かず、まだ建設を継続しているのです」と彼女は言う。「彼らが議論したがらないのなら、地元での戦いを繰り広げるでしょう」と彼女は述べた。
しかし、公害管理局水質管理課の課長は、事件がおきたのは村人の誤解のせいだと述べた。
「村人は船が建設用だと思ったのでしょう。実際には、単に地質調査の船だったのです」とYuwaree Innaは語っている。
しかし、ダワンは、プロジェクト全体に反対しているのであり、海岸地帯での下水パイプ建設だけを反対しているのではないと言っている。
237億バーツの汚水処理施設建設は、地元での反対にもかかわらず、今まで2年間進められてきた。
施設はこの地域の工業排水・家庭排水両方を処理するようにデザインされており、1日あたり52万立方メートルの処理能力がある。