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メコン河開発メールサービス 2000年11月23日
世界銀行の融資で1994年に完成したタイのパクムンダムで漁業被害などを受けた住民などがダム周辺に作った抵抗村を、今月19日、数回にわたってタイ発電公社（EGAT）に雇われた多数の男たちが襲撃し、3人が重傷を負ったほか、数十軒の住宅などが焼き払われれました。以下は、バンコクの土井利幸さん（ADB福岡NGOフォーラム、メコンウォッチサポーター）からの続報です。なお、後者に関しては、メコンウォッチ・ボランティアの八十島千佳さん（バンコク）が翻訳して下さいました。
バンコク・ポスト11月22日（水）無署名記事
★昨日民主党は、30名が負傷、うち3名が重傷を負ったパクムンダム反対派住民に対する日曜日の襲撃事件への同党の関与がいわれのないものであるという抗議の談話を発表した。
★内務大臣であるバンヤット・バンタダン民主党副党首は、同党がタイ発電公社（EGAT）の雇い入れた警備員による襲撃をそそのかさないまでも黙認したとして市民団体や学者に非難されるのは筋違いだと語った。バンヤット副党首によれば、地方当局が事件に関する報告書を作成中で、誰が襲撃を首謀し仮設小屋に火を放ったかは現時点では明らかではない。また、バンヤット副党首は、もしEGATが襲撃に関与したのならば責任問題であると述べた。同副党首はチュアン首相から事件を調査し襲撃犯を処罰するよう指示を受けている。
★チュアン首相によれば、EGATを監督する立場にあるサビット・ボディヴィホック官房長官は何らの情報を持ちあわせていない。一方、貧民フォーラムは住民がメー・ムン・マン・ユン第一村を再建し抗議行動を続けることを発表した。また、反対派住民は、一軒2万から3万バーツ（訳者註：約5万円〜7万5000円）かかる仮設小屋が500軒破壊されたので、EGATに弁償を求めると語った。
★しかしEGATのアムナット・チョットチュアン広報部長は「われわれは火事とは一切関係がなく、したがって1バーツも払うつもりはない」と反論した。アムナット氏によれば、事件は「第三者」が起こし利用したものである。同氏は同時に、反対派はメー・ムン・マン・ユン村にとどまることができると述べた。
★30名から成る警察隊がダム現場に配置され、約50名の自称「EGAT警備員」も発電所の周辺に集まった。反対派住民によると、「警備員」はEGATがダムを警備し反対派住民を立退かせるために雇い入れ、中には棒や火炎瓶で武装している者もいるという。ウボンラチャタニ県警察署長のバムルン・スクパニット陸軍少将は、再度の暴力沙汰は起こらないとし、双方が告訴を行っていると述べた。
以下、現在までの状況である。
●11月19日午前5時30分頃タイ発電公社（ＥＧＡＴ）の警備員を自称する200名がパクムンダム現場のメー・ムン・マン・ユン（永遠なるムン川）第七村へ入り5軒の仮設小屋を破壊した。この同じグループは村に火をつけた。
●また同日の午後3時ＥＧＡＴの警備員100名以上が、メー・ムン・マン・ユン第一村に侵入し、村の立ち退きの要求をしてきた。村人がこれ以上彼らの所有しているものなどを壊さないでくれるよう嘆願したにも関わらず、警備員は村人を攻撃し、村に火を付けた。その際、10名以上の負傷者が出た。
●午後5時30分には銃声が村中に響き渡り、再度焼き討ちにあった。その際20名以上の村人が負傷し3名が重症を負った。
●午後7時50分にはメー・ムン・マン・ユン第一村にある572世帯が完全に焼き払われた。村人たちはそこから約1.7キロ離れたフアフエ村へ移動することになった。消防隊が出火現場にいたが、火を消す努力を全くしてくれなかった。その後約10名ほどの警察官が村へ到着したが、この事件との関わりを避けているようであった。
●11月20日午前6時、同じＥＧＡＴのグループが再びメー・ムン・マン・ユン第一村全域に渡り焼き討ちを行なった。