メコン河開発メールサービス 2000年12月10日
ラオスのナムトゥン2ダム(1069MW、水没450平方キロ、BOOT方式、世界銀行のリスク保証検討、未着工)に動きがあります。出資企業体が環境評価管理計画を作成し、11月下旬に「公聴会」(public hearingと呼ばれている)を開催しました。環境評価管理計画については、ナムトゥン2ダムのホームページ( www.namtheun2.com )で見ることができます。
以下のAPの記事はあまり状況を知らない記者が書いているようです。このダムが着工できるかどうかは、世界銀行にかかっているわけですが、世界銀行は環境面だけでなく、現在のラオスのマクロ経済政策がうまくいっていないことや違法な森林伐採が横行している問題なども重視していると言われています。
2000年11月22日
バンコク(AP通信)−政府によると、ラオスは水曜日(11月22日)に提案中の主なダムに関する公聴会を開催した。このダムはラオス政府からは国の開発計画の要となると見られているが、活動家たちからは環境上問題があると激しく攻撃されている。
Bounyang Vorachith副首相兼財務相は首都のビエンチャンで2日間のワークショップを開き、現在提案されている1069メガワットのナムトゥン2ダムをラオス政府にとって最も優先順位の高いものと述べた。
プロジェクト開発者のナムトゥン2電力会社(NTEC)は、ダムが生物多様性や地域社会に及ぼす影響への懸念を鎮めることを狙った最終的な環境評価管理計画を発表している。
「ラオス政府は調査及び提案された緩和行動計画を非常に喜んでいる」、Bounyang副首相はバンコクで入手した演説の中でそのように述べたと引用された。
「新しい水準に到達した。それは負の影響を最小化し、ラオスに最大限の利益をもたらすだろう」と彼は述べている。
ラオスは大小の河川が縦横に走る山間の国で、2020年までに最貧国(LDC)から脱却するために水力発電プロジェクトを開発の中心に据えてきた。
総予算が12億ドルのこのダムプロジェクトにとって主たる障害は、ほとんどが環境面への懸念によって世界銀行が保証契約を渋っていることにある。
このプロジェクトはまた、ナムトゥン2ダムの電力の唯一の顧客であるタイの電力需要を弱めたアジア経済危機によって遅れていた。
今年のはじめ、ラオスとタイは電力価格について合意し、プロジェクトを軌道に戻した。
ビエンチャンから250キロ東に離れた中部のカンムアン県のダムサイトは、1998年4月に始まった210メガワットのトゥンヒンブンダムに次いで、トゥン川では2番目のダムとなる。
国際的な環境グループは、ナカイ高原として知られる450平方キロを水没させる提案中の開発を激しく攻撃してきた。
しかしNTEC社は緩和策によって、地元の人々によるトゥン川集水域の森林破壊を止めることができるだろうとしている。
NTEC社のプロジェクト代表であるJean Christophe Delvallet氏は、建設中に環境社会面へ振り分けられる支出は総額で7000万ドルに達すると語った。
NTEC社の構成は、フランス電力公社、オーストラリアのトランスフィールド社、タイの2つの企業(Electricity Generating PCL/H.EGA とイタリアン-タイ開発会社)となっている。ラオス政府もまたプロジェクトの持分がある。
先週、世界ダム委員会(World Commission on Dams)が大規模ダムに批判的な主要報告書を発行したが、その中で大規模ダムはしばしば森林、野生生物、それに水生生物の多様性の消失につながってきたと述べている。その報告書では、推計で4000万〜8000万人が世界中のダムによって移転させられた一方、下流域に住むそれ以上の人々の生活が影響を受けたが認識されなかったことを認めた。
2000年11月28日
バンコク(ダウジョーンズ)−タイの発電会社(Electricity Generating PCL/H.EGA)は火曜日(11月28日)、ラオスの発電所プロジェクトのナムトゥン2電力会社(NTEC)への出資率をこれまでの20%から25%に上げる計画だと述べた。タイ株式市場に提出された資料では、増加された5%分はオーストラリアのトランスフィールドから得ることになるだろうと書かれている。口上書には価格や取得に関する他の詳細は書かれておらず、発電会社の経営陣から至急にコメントをとることはできなかった。口上書によれば、同社のプロジェクトへの増資はラオス政府からは未承認だということだ。同社以外の現在の出資割合は、フランス電力公社が35%、ラオス政府が25%、イタリアン-タイ開発会社が15%、トランスフィールド社が5%ということである。