メコン河開発メールサービス 2001年1月1日
住民が激しく反対する中、アジア開発銀行と日本政府の融資で、タイのサムットプラカン県クロンダン区で建設が進められている汚水処理プロジェクトの問題に関する続報です。プロジェクトに抗議する500人余りの住民が、建設現場に向かう道路を封鎖し、それに反発した労働者と見られる人たちが抗議住民を襲撃し、住民側に10人前後の重軽傷者が出る流血の事態になりました。
一時は多くの警官隊も動員されて一発触発の状態でしたが、以下のニュースにあるように、年末年始を自宅で過ごすため多くの労働者が建設現場を離れ、抗議住民たちも道路封鎖などの実力阻止を一時中断したということです。
タイは年明け早々の1月6日に総選挙が行なわれます。この問題の対応も選挙後に持ち越された様子です。
以下は12月30日のバンコクポストの記事の邦訳です。
2000年12月30日、バンコクポスト
クロンダン区における汚水処理場の建設に反対する村人たちは、昨日(2000年12月29日)抗議行動を中止したものの、最後まで闘うことを誓った。スポークスマンのChalao Timtong氏は、基本的な権利の示威行動だった6日間の抗議行動は成功したと語った。
抗議者たちは、環境影響や汚職の訴えへの疑念が解決するまで、この230億バーツのプロジェクトの建設を中断するよう要求していた。
抗議者たちはまた、政府に対してこの地域を漁業と農業のための保全地区であることを宣言するよう求めている。
「私たちの抗議は成功であり満足している。私たちは政府や公害防止局(PCD)が自分たちの要求を受け入れるまで闘うつもりだ」、Chalao氏はそう述べた。抗議行動は数人がけがをした抗議者と労働者の衝突によって妨げられた。
村人たちは調査を求めていると、彼(Chalao氏)は述べた。抗議者側は(労働者たちによる)襲撃を止めさせるために何の努力もしなかったとして、建設サイトを警護している警察やその監督者を非難した。
不満はまた、プロジェクトの融資者であるアジア開発銀行へも向かっている。彼によると、抗議者たちの立場を支持するため101人の上院議員が署名したということだ。
Somboon Suksamran知事は、県職員はプロジェクトサイトにおける情勢不安を抑えるために全力を注いでいると語った。
知事は、工事を延期したり中断したりする意思決定は、自分の権限を超えたものだと述べた。
「それは政府の権限だ」、彼は述べた。
抗議行動を終える前、建設現場のおよそ1500人の労働者たちは、長い休みを祝うためにサイトを離れて帰宅したということである。