メコン河開発メールサービス 2001年1月14日
本日もタイのサムットプラカン県汚水処理プロジェクト問題についてです。1月10日のバンコクポストが、処理後の大量の排水を再利用する提案や地域開発のための基金設立について報じました。地元住民グループの冷ややかなコメントが出ていますが、処理後の水にイオン化した重金属などが混ざる恐れがあるため、記事でも再利用の大前提は水質というインタビューが挿入されています。以下、メコン・ウォッチの福田健治の翻訳です。
なお、本件の問題の重要性から、日本の複数の国会議員が21日から24日まで現地視察をします。詳細につきましては、改めてメールニュースでお知らせ致します。
Bangkok Post, 10 January 2001
Anchalee Kongrut
クロンダン汚水処理プロジェクトの実施者である公害管理局は、処理水の再利用と、地元反対派をなだめるためのコミュニティ開発基金を計画している。
現在、汚水処理システムの能力である50万立方メートルの処理水を、乾季に再利用するべく、工業分野の民間の水供給業者であるイースト・ウォーター社に販売するための実現可能性調査が行われている。
昨日、公害管理局長のSirithan Pairoj-Boriboonは、水の再利用計画が、大量の排水が海域の塩分濃度を薄め、地域の貝養殖に重大な影響を与えるという地元反対派の懸念に終止符を打つであろうと自信の程を見せた。
計画では、着々と増加するサムットプラカンプロジェクトのコスト(現在300億バーツ)に、さらに5-7億バーツが加わることになる。
公害管理局は、すでに契約が調印され、建設が30%完了していることを理由に、プロジェクトは前進するべきだと強硬に主張している。
イースト・ウォーター社社長のWanchai Lawatanatrakulはバンコク・ポスト紙に対し、同プロジェクトからの淡水利用は彼の会社のビジネス拡大計画での選択肢の1つであるが、まだ何の契約も結ばれていないと語った。
「我々が懸念しているのは水質である。工業利用の基準を満たすか、バン・プラコン川などの自然資源からの水と同レベルの質でなければならない」と彼は述べている。
(公害管理局長の)Sirithan氏はまた、同局は、20年の処理施設操業の間、処理料金の一部をコミュニティ開発や漁業開発のための基金として積み立てると語った。
クロンダン区行政機構は、コミュニティ開発のために5億3000万バーツ、漁業開発のために2億6000万バーツを得ることになる。
地元反対派の反応は、熱狂的でも確信的でもない。
「公害管理局は、何か計画する前に、透明性を証明するべきです。漁業がダメになったら、基金を何のために使えというのでしょう。このプロジェクト自体が悪影響の元だとしたら、何を「開発」しろというのでしょうか」と、プロジェクト反対者のリーダーの一人であるDawan Chantarahassadiは言った。
彼女は、公害管理局が、プロジェクトの主要な出資者であるアジア開発銀行に提出された環境影響評価書を公開するように求めた。地元反対派は、当局にプロジェクトの技術的な詳細をすべて明らかにさせるために、テレビ放映の下での公聴会を求めていくと語っている。
反対派は、プロジェクトのコストを130億バーツから230億バーツに高騰させた原因である20億バーツでの土地購入とサイト変更についてプロジェクトの再点検を行うため、国家反汚職委員会や行政裁判所でとことん追求することを誓っている。
最先端の掘削技術を用いる必要が出たため、プロジェクトの費用は300億バーツにまで急上昇した。
「タクシン新政権が、プロジェクトの進行を許可する前に、プロジェクトでの不正行為を調査するよう期待しています」とダワン氏は述べている。
もう一人の反対はリーダーであるChalao Timthongは、汚職疑惑が晴れない限り、公害管理局の計画に納得することはできないと語った。
Chalao氏は、本プロジェクトは人々が容認する中立者によってチェックされた環境影響評価がないため、公害管理局は何らかの環境影響緩和策を提案するだけの信頼を失っていると言った。