メコン河開発メールサービス 2001年1月18日
タイ東北部を流れるムン川で問題になっている四つのダムプロジェクトについて、東南アジア河川ネットワークが最近の状況をまとめました。以下は、メコン・ウォッチボランティアの西村亮輔さんの翻訳です。
2000.12.21
位置:東北タイ、ムン川中域
所有権者:科学技術環境省エネルギー開発促進局(DEDP)
最近の動き:2000年7月6日、科学技術環境省はすべての問題が解決するまでダムの水門を明けるよう指示した。タイ国政府もまた同様の約束を閣議決定した。現在、ラーシサライダムの水門は開いており、貯水池の水は排水されている。土地や湿原(PaaTaam)は本来の自然の状態に戻りつつある。11月から12月の間、村人たちは貯水池だった場所で多くの魚を捕ることができている。これは、魚がメコン河から水門が開かれたパクムンダムやラーシサライダムを通って定期的に回遊できるようになったからである。現在、科学技術環境省は、チュラロンコン大学によるSIA(社会影響評価)やコンケン大学による塩化処理調査を検討するために暫定委員会を設置した。この委員会の議長は監査省の長官で、メンバーはDEDP、国土開発局、環境計画政策室、水産(漁業)局といくつかの大学の研究者、影響を受ける住民、NGOのそれぞれの代表で構成されている。
最初の委員会会合は、2001年1月24日に科学省で行われる予定である。
位置:東北タイ、Srisaket県、ムン川中域(パクムンダムとラーシサライダムの間に位置する)
所有権者 :科学技術環境省DEDP
最近の動き:2000年7月25日、タイ国政府はDEDPに主流(分水河道の主要なコンクリートダムはすでに完成している)にアースフィルダムの建設を許可しない事で、ダム建設を一時休止する閣議決定をした。現在、DEDPはまだ用水路の建設を行っている。現在、科学技術環境省はEIAやSIA調査を行う事によってプロジェクトを再考するために暫定委員会を設置した。この委員会の議長は監査省の長官で、メンバーはDEDP、国土開発局、環境計画政策室といくつかの大学の研究者、影響を受ける住民、NGOのそれぞれの代表で構成されている。2000年12月20日、第一回委員会会合が行われた。その会合で委員会は業務指示書(もしくはスコーピングペーパー)を文章化するために小委員会を設置し、WCD(世界ダム委員会)のプロセスに類似した調査のプロセスに立ち会うことを合意した。次の委員会会議は2001年1月24日に科学省で行われる予定である。主な問題としては、政府から委員会に対して資金援助がない事である。
位置:東北タイ、ウボンラチャターニー県、ムン川
所有権者 :タイ電力公社(EGAT)
最近の動き:2000年7月25日、タイ国政府はEGATに対して魚の回遊調査のためダムの水門を開けるよう指示する閣議決定を出した。ダムの水門が開かれた後、多くの魚がムン川に戻り、漁民たちは多くの大きな魚を捕ることができるようになった。しかし、政府は魚の回遊に関する調査結果を分析する調査チームを結成しようとはしていない。9月末近くに、EGATは再び水門を閉じた。主な問題としては、政府から委員会に対して資金援助がない事である。
位置:Lam Chiang Ta川 (チー川とムン川の支流), Chaiyaphum県
1月27〜28日にかけて、4つのダム計画の見直しのための委員会がChaiyaphum県Pong Khun Petダムの公聴会を行う予定。これに関してこれ以上の情報はWFTのHannarongかFOPのPrasittipornにお願いします。