タイ汚水処理＞日本の議員が訪問（1）

メコン河開発メールサービス　2001年1月31日

1月22日と23日の2日間、民主党の2人の衆議院議員が、タイのサムットプラカン県汚水処理プロジェクトを視察しました。以下は、ネーションの記事の翻訳です。ADB福岡NGOフォーラムの土井利幸さんが翻訳してくれました。

日本の政治家が汚水処理施設を訪問

『ザ・ネーション』2001年1月23日

PENNAPA HONGTHONG

クロンダン－所有者が透明性の点で問題を残し不正行為にも関与したと疑いを持たれている汚水処理施設建設の現場を日本の政治家の代表が訪れ入念な調査を行っている。

この政治家は山田敏雅氏と葉山峻氏の二名で、日本の衆議院に属する議員である。現在このプロジェクトに関わる問題を調査するためにタイを訪問中である。

両議員は昨日処理施設の事業者である公害管理局（PCD）を訪問した後、処理施設建設現場を訪れた。今日は国家汚職防止委員会（NCCC）の委員長と会見する予定である。

「私たちがここまで来たのは、日本の納税者から集めたお金がどのように使われていたかを調査するためです。」山田議員はクロンダン住民の主な生業であるカラス貝の養殖現場を見るための乗り込んだ船の中で語った。

7億5000万米ドル（320億2400万バーツ）をかけた（注：原文まま）この建設プロジェクトは、その一部を日本の国際協力銀行（JBIC）とアジア開発銀行（ADB）からの融資でまかなっている。日本政府はADBに対しても多額の出資を行っている。

山田議員は最大野党の民主党に属し、今回の視察旅行で収集した情報をもとに今月末に開幕される国会でこの問題を取り上げ追求する構えであると言った。また、山田議員はJBICとADBに対しても調査結果を提出する。これは不正の立件が融資撤回の根拠の一つとなるため、両機関が建設プロジェクトの再検討をのぞんでいるからである。

反対派は標準よりも高い価格でプロジェクトの用地が買収され不正の疑いがあると主張しており、山田議員もこの点に注目している。クロンダン市長から、土地局が所有していた土地の標準価格はライ当たり48万バーツであるのに対して、建設プロジェクトでは約2000ライの土地の買収にライ当たり100万バーツ以上もかけていると説明を受け、山田議員は驚きの表情を見せていた。議員はこの点に関して今日NCCC委員長のOpas Aruninと話し合うと述べた。

この他にも山田・葉山両議員は、市民にとって重要な情報、特に環境影響評価に関する情報に対して住民がアクセスできなかった点についても関心を示していた。

「私はPCDに対して、建設プロジェクトが民主的なやり方で行われているかを見たかったと言いました。また、（水曜日に）帰国する前にPCDが一般市民に全ての情報を開示する時期を明確に示してくれるよう頼みました。」と山田議員は語った。

また山田議員は、建設プロジェクトは透明性を保ち、影響住民が計画の全過程に関われるものでなければならないと語った上で、現段階ではタイ政府が市民と意志の疎通をはかることが必要だと付け加えた。

東京大学を卒業し環境工学を専門とする山田議員は、サムットプラカン県に質の高い汚水処理施設が必要である点は認めつつも、この建設プロジェクトの規模と技術についてはさらに検討する必要があると述べた。

「私の目には（一日15万2000立方メートル＝原文まま、実際は52万5000立方メートル＝の）処理能力は巨大すぎるし、運転・管理にも多額の費用をかけなければなりません。ということは、住民たちの負担がさらに大きくなるということです」と山田議員は語った。

建設中の処理施設に使用されている技術がこの地域に適切なものであるかを尋ねられて、長年にわたり汚水処理問題に関わってきた経験を持つ山田議員ははっきりとした回答をしなかった。

「この地域の工場から排出される重金属については十分な知識がありません。」

PCDの説明によれば、タイ国内でも非常に工業化が進んでいるサムットプラカン県に建設されているにもかかわらず、処理施設で使われている技術では重金属を取り除くことはできない。汚水のBODを処理するのみである。