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タイ汚水処理>融資の見合わせも

メコン河開発メールサービス 2001年2月5日


過日の民主党の二人の衆議院議員のタイ・サムットプラカン汚水処理プロジェクト視察は、タイでは各紙大きく取り上げました。1月28日のネーションは、訪問記事から一歩踏み出して、今回の日本の国会議員訪問の背景や、それに対するタイ政府役人のストレートな反応も紹介しています。ADB福岡NGOフォーラムの土井利幸さんが翻訳して下さいました。


クロンダンへの融資、見合せの可能性

『ザ・ネイション』2001年1月28日

KAMOL SUKIN

議論を呼んでいるクロンダン区の汚水処理施設建設計画に対する日本からの融資の次期実行について、建設地の土地購入にまつわる不正疑惑が裏付けられれば見合せの可能性もあると日本の国会議員が語った。

日本からタイを訪れた二名の野党国会議員は、タイの国家汚職防止委員会(NCCC)の調査結果が出るまで、アジア開発銀行(ADB)と国際協力銀行(JBIC)からの43億バーツにのぼる融資残額の実行を一時的に停止するよう日本の国会の承認を取り付けると述べた。

先週クロンダン区の建設現場を訪れた山田敏雅議員は、日本の納税者から集めた税金の海外における使途の監視を決めた190名の国会議員のグループとともに、この件を問題化するつもりだと語った。

タイ訪問中に、建設計画に関係する人々の意見を全て聞いた上で、山田議員は、個人的に不正の申し立てには説得力があると思うと述べた。

「処理施設がここに建設されなければならない理由が全く見当たらない。公示価格と比べて土地があまりにも高すぎる」と同議員は説明した。「経済不況のあおりで、このあたりの投機家が土地を売りたがっていることは分かっている」。

日本の法律では、もし疑惑が裏付けられたら融資は永久に撤回とならざるを得ない、と山田議員は語った。

「日本の市民は、自分たちの税金が不正なプロジェクトに使われたとなれば非常にがっかりするだろう」。

融資撤回ということになれば、計画の費用総額240億バーツの30%が取り下げられることになる。この融資はJBICやADBなど日本の関係機関によって行われたものである(ADBは多国間開発銀行で日本政府が最大の出資者である=訳者注)。プロジェクトの事業主体にあたる公害管理局(PCD)によれば、融資の40%がすでに消化されている。

野党民主党に所属する山田議員によれば、日本の国会議員たちは、日本政府が海外開発援助プログラム(原文(the Overseas Development Aid program)の直訳。正確にはOfficial Development Assistanceで「政府開発援助」=訳者注)を通して「不正な」プロジェクトに融資を行っていると考え、クロンダン区のプロジェクトを取り上げ集中的に調査することになった。

「国会議員の一人として公的資金が適切なプロジェクトに支出されているかどうかを監視する責任がある。不正まみれで、地域社会や環境に悪影響を与えるプロジェクトがあったら、日本の市民は非常に落胆するだろう」と山田議員は語った。

「これまではそうした監査の取り組みが行われてこなかった。これは国会議員にとって新しい仕事だ。日本の政治の未来を考えると意義のある仕事だ」と山田議員は述べた。

フィリピンで進行中の大規模ダム建設計画も調査の対象となっている。この計画では建設現場付近に居住している先住民族が大きな被害を受ける懸念がある、と山田議員は説明した。

国会による監査の一部として、山田議員は、葉山峻議員とともにタイを訪問し関係者全員と会合を持った。この中には、PCD、NCCC、処理施設の所有者、地域住民、NGO関係者も含まれている。

山田議員によると、NCCCのある委員は同委員会が最近建設計画にまつわる不正疑惑について初期調査を終え、住民の主張には耳を傾けるべき点があると感じていると語った。これを受けて、さらに詳細な調査がまもなく始まることになるだろう。

「NCCCが採決を下せば、日本の国会でも恒久的な融資撤回の可能性が大きくなるだろう」と山田議員は語った。

国会議員グループは、プロジェクトが透明性を欠いていること、地域社会と環境に大きな影響を与える可能性があることの二点を特に懸念している。山田議員は、タイ政府関係機関が市民社会に対してこの二つの点について十分な説明を行っていないとの意見に対して同感であると述べた。

環境影響評価(EIA)報告をはじめ建設計画に関する情報を全て理解しやすい形で影響住民に対して開示するよう関係機関に要請した、と山田議員は語った。

山田・葉山両国会議員はまた、先日ADB千野総裁に対して融資の見直しを求める書簡を提出したタイ上院議員102名の一部とも話し合いを行った。山田議員は、タイの上院議員たちの懸念に対して共感の意を表明した。

「近い将来この件について190名の日本の国会議員と201名のタイの上院議員との間で一層の協力体制を作る」と山田議員は述べた。

地域住民で建設計画反対運動のリーダー、ダワン・チャンドラハサディー氏は、日本の国会議員に情報を提供する機会を持てて住民も喜んでいると語った。ダワン氏は二名の国会議員に対して、日本の市民にこのプロジェクトの「陰の部分」を知らせて、最終的に建設計画への援助を撤回してほしいと述べた。

一方でPCD幹部職員のユワリー・インナ氏は、両議員のキャンペーン活動が建設計画に影響を与えることはないとし、これは日本国内の政争だと一蹴した。

「日本政府が融資を撤回するとは思えない。日本政府はタイ政府の意見に耳を傾けてくれるだろう。実際、二名の国会議員の訪問は非公式のものだ。したがって情報を提供する義務もない」とユワリー氏は語った。また、NCCCが新しい調査チームを発足させる件については知らないと述べた。

山田議員は、建設計画に関する情報は全て開示されなければならないとした上で、建設計画の問題点について公の場で方策が練られれば住民側も納得するだろうと述べた。山田議員はさらに、今ある対立を中立機関によって仲介する必要があると語った。

この点に関してダワン氏は反対であるとし、もともと間違った場所に建設された施設に対して妥協点を見出すのは難しいと述べた。また、情報が公開されれば過ちが一層明らかになるだろうとも述べた。

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