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タイ汚水処理>宮澤大臣見直しに言及

メコン河開発メールサービス 2001年2月28日


23日の衆議院予算委員会で、先にタイのODA案件であるクロンダン汚水処理計画を視察した民主党の山田議員が本件について質問しました。それに対して、アジア開発銀行に責任を持つ宮澤財務大臣が、地域住民の懸念を考えれば、見直しもあるかもしれないという答弁をしました。

これまでODAの見直しは貸し付け契約違反や当該国での違法行為が立証されない限り行なわれないと外務省や国際協力銀行等が回答してきました。今回の大臣答弁は、住民の非常に強い懸念を考慮した場合、見直しの可能性もありうるということを示唆したという点で非常に重要だと考えられます。

以下、ドイツの通信社の配信を受けたタイのThe Nationの記事を、メコン・ウォッチの福田健治が翻訳しました。


クロンダンへの融資が見直しに直面

Fepuary 26, 2001

DPA, The Nation

東京−昨日(23日)、宮沢喜一財務大臣は、問題になっているサムットプラカン県のクロンダン汚水処理場建設への70億円の融資を見直すかもしれないと述べた。

宮沢は、衆議院予算委員会において、プロジェクトに関する環境破壊とスキャンダルの疑いについての地域住民の懸念を考えれば「ADBは独自の結論を下さなければならないかもしれない」と語った。

このプロジェクトへの融資は、アジア開発銀行(ADB)を通じて供与されている。

汚水処理施設は、サムットプラカンの工業地帯から発生する重金属を含む排水の浄化が目的である。

プロジェクト地に隣接するクロンダン区の住民は、304haの本プロジェクトに対して、長い間抗議してきた。1月、タイの上院議員の過半数が、ADBに見直しを求める手紙に署名した。

「(一般に言って)民衆が不満と批判を叫んでいるとき、『我々はプロジェクトを進めていいのだろうか』と自問すべき状況はあり得る。今回の件も、そうしたケースの1つではないかと感じる」と宮沢。

6億500万ドルをかける汚水処理プロジェクトは、マニラに本拠地を置くADBによって1995年12月に承認された。ADBはプロジェクトに対して2億3000万ドルの融資を約束している。

1998年2月から建設中の処理施設は、30%が完成していると言われており、来年初めに操業を開始する予定だ。

1月、日本の野党議員は、汚職調査を開始するようADBに求めた。

クロンダンプロジェクトを担当する科学技術環境省公害管理局(PCD)の高官は、当局は日本政府からプロジェクトの計画見直しに関する通知は受けていないとThe Nationに語った。

PCD水質管理課課長のYuwaree Innaは、PCDは国際協力銀行(JBIC)とできるだけ早く会合を持たなければならないと語った。JBICはプロジェクトの主要融資者の1つである。

「ADBについては、融資の見直しはないと確信している。JBICについては分からない」と彼女は言う。

クロンダンの村人であるChalao Thimthongは、財務大臣のコメントが、まだ正義がどこかに存在するとの希望を彼に与えたと語った。

「私たちの声は、長い間タイの当局や政治家に無視されつづけた末、ついに聞いてもらえたことに感謝します」と彼は述べた。

しかしChalaoは、プロジェクトの利益についての疑いがますます大きくなっているにも関わらず、建設は続行していると言う。

彼は、タクシン首相の内閣は、この機会にプロジェクトを(少なくとも一時的に)停止し、金が無駄になり納税者にさらなる負担がかかる前にプロジェクトの見直しを行うべきだと述べた。

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