メコン河開発メールサービス 2001年7月26日
ベトナムの中央高原を流れるセサン川のダム開発が急ピッチで進められようとしています。セサン川はベトナムからカンボジアの北東部を下ってメコン河に流れ込むメコン河の一大支流です。
ロシアとウクライナの支援で一部完成したヤリ滝ダムをめぐっては、試験運転中に下流のカンボジアで洪水や水質の変化が発生し、32人が死亡したとの報告があります。またセサン3ダムは事前調査がアジア開発銀行の日本特別基金で行われましたが、ヤリ滝ダムの影響とのつながりを全く考慮していなかったため、NGOなどから調査のやり直しなどを求められました。
中央高地はベトナムの南北統一以降、「内なる植民地化」と呼ばれる低地民の高地移住と換金作物推進によって、少数民族の権利が侵害されてきました。コーヒー価格の暴落とそれに対する政府の対応のまずさを直接の引き金にして、今年のはじめから統一後最大の反政府暴動に発展しました。政治的にも微妙な土地柄ですので、一連のダム計画が山岳部に住む少数民族の暮らしにどのような影響を及ぼすのか、今後ますます注意深くみていく必要があると思います。
以下は、6月と7月にベトナム国内で報じられたセサン川ダム開発関連のニュースの邦訳です。
2001年7月13日
ベトナムニュース
中央高地のザライ省チューパー郡と隣のコンツム省サータイ郡において、セサン水力発電所の建設作業を始める準備が整った。総投資額は2億9200万ドル。
2001年6月11日
ニャンザン
首相は中央高地のセサン川に水力発電所を建設する計画を承認した。それには、720メガワットのヤリ水力発電所、300メガワットのセサン3、300メガワットのセサン4、120メガワットのプライクロン、230メガワットのトゥオン、それに100メガワットのセサン3Aが含まれている。首相はまたベトナム電力公社に対して、これらのプロジェクトの実施可能性調査を進め、関係する地方の人民委員会と協力して住民移転計画を策定することを命じた。