メコン河開発メールサービス 2001年10月1日
タイ南部のプラチュアップキリカン県に日本企業などが計画している石炭火力発電所に対する住民の反対運動について新しいニュースです。以下はウボン大学教員の土井利幸氏からの情報です。
9月27日にバンコク市内のホテルで開催された「国家エネルギー戦略フォーラム」に合わせて同計画に反対している住民がフォーラム会場に乗り込み、フォーラムに出席していたチャトロン国務大臣に計画白紙撤回の要請書を手渡しました。
この件については、『バンコク・ポスト』、『ネイション』、『カオソット』などで報道されてました。
反対派住民はソンタヤ科学技術大臣にも要請書を提出。『ネイション』によると、「その結果として」大臣が環境政策計画局に命じてガルフ・パワー社のボー・ノック発電所建設許可証を一時停止したとのことです。理由はボーノックのEIAに問題あるからで、大臣は作業部会を設けて15日の期限でEIAを再検討することにしたとの報道です。
また、『カオソット』によると集会に参加したのは600名以上。チャトロン大臣は答弁で関係者との話し合いの重要性を強調した上で、「政府はJBIC(国際協力銀行)に対して今月末に設定された期限までに計画を実行するかどうかの回答をすることができない。たぶん10月末まで伸ばすことになるだろう」とも述べています。
以下、土井氏によるバンコクポストの記事の翻訳です。なお、本件への融資を国際協力銀行(JBIC)が水面下で検討しており、これまでの経緯については、メコン・ウォッチのホームページ http://www.mekongwatch.org を参考にして下さい。
Ploenpote Atthakor署名記事
バンコクポスト2001年9月28日
昨27日、プラチュアップ・キリカン県の環境保護団体のメンバーがタイ政府に対して二ヶ所の石炭火力発電所建設計画の中止を訴えた。
メンバーは要請を表明する目的で開催中の国家エネルギー戦略フォーラムを訪れ、エネルギー計画の専門家や産業関係者たちを驚かせた。
メンバーはまた代表のフォーラムへの参加を求め、結局厳重な警備の中、20名が出席を認められた。
チュトロン・チャイセン国務大臣(エネルギー問題担当)に提出された要請書の中で、環境保護団体のメンバーはボーノック村とヒンクルート村の石炭火力発電所は村民の生活と環境を危険にさらすものだと主張している。また、要請書は、「環境政策計画局が承認した環境影響評価(EIA)には問題があり、再検討の必要があることは広く知られている。それなのに未だ具体的な手段がこうじられていない」とも述べている。
これに対してチャトロン国務大臣は、政府の方針に関する追求をかわしながら、「もっと協議会を開く必要があるだろう。政府はこれからも地域住民の声に耳を傾ける」と述べた。
また、「この計画は前政権が承認したもので、タクシン政権がその決定をひるがえすとすれば多くの段階を踏まなければいけないだろう。」と語った。「関係者が集まり打開策を検討する機会を設定する」と大臣は述べた。
ヒンクルート村のジンタナ・ゲゥカオさんは、「チャトロン大臣の回答にはがっかりしました。村民はもっと具体的な回答を必要としているのに」と語った。