メコン河開発メールサービス 2001年10月12日
メコン河上流の商業航行を推進するために、メコン河を浚渫する計画が進んでいます。これに対して、すでにこのメールニュースでもお知らせしました通り、メコン河委員会のクリスチャンセン事務局長が、下流国との調整を求める新聞投稿をするなど、懸念が持たれています。
タイ北部のチェンマイ県の商工会議所が、航行する船の大きさを制限することを求めたというニュースが、タイ字新聞のプージャッカンに載っていました。以下、ウボン大学教員の土井利幸さんが、記事の要旨を日本語でまとめたものです。
プージャッガン2001年10月8日号13面(要旨)
メコン河上流域を大型商業船舶が航行できるようにする計画では、関係4ヶ国(タイ・中国・ビルマ・ラオス)が結論を出さなければいけない多くの課題が残されている。4ヶ国政府は年間を通じて500トン級の船舶が航行できるように、河の中央部にある早瀬や小島を爆破する計画を立てている。
その一方で、最近タイのチェンマイ県商工会議所と商業事務所は共同で作成した「経済の四角地帯:北タイ上流地域の開発戦略」の中で、メコン河を航行する船舶の重量が300トンを超えないよう制限を設ける提案をしている。これは環境を保全するためである。
この提案はタイ政府に提出され、また10月18日から20日に中国のチャンルンで行なわれる経済の四角地帯(JEQC)のメンバー国会議にも提出される。
メコン河を航行する商業船舶は増加しており、これまで4ヶ国の技術レベルの責任者が300トンから500トン級の船舶の航行を可能にする方法を検討してきた。最近では中国で合同会議が行なわれ、その席で大型船舶の航行を可能にするためには、最低水深1.5メートル、川幅25〜28メートルが必要であり、そのためには黄金の三角地帯からタイ・ラオス国境のメコン河にある早瀬や小島を11ヶ所で爆破しなければならないと報告された。チェンライ県チェンコンにも爆破する早瀬が1ヵ所あるので、爆破の対象は合計12ヶ所である。
この爆破計画が環境に与える影響の調査が必要であり、調査の結果は報告書として各政府に提出され、政府が計画の遂行を判断する材料となる。
この計画に資金を提供する可能性があるのはアジア開発銀行(ADB)で、それは瀾滄江とメコン河での大型商業船舶の航行のための開発が大メコン圏開発構想の一部となっており、ADBは同開発構想に対してすでに資金援助を行なっているからである。もう一つの可能性は中国政府である。