メコン河開発メールサービス 2001年10月14日
少数民族を中心に10万人以上が移転させられるベトナム北西部のソンラダム計画に関するニュースです。ダー川に計画されている3600MWのこのダムの準備として、ベトナム政府は今月から住民移転のパイロット事業を始めようとしています。しかし、200世帯の小規模移転事業をめぐって、早くも難しい問題が生じているようです。以下、ドイツの通信社DPAのニュースの邦訳です。
Deutsche Presse-Agentur 2001年10月12日
ベトナムの北西部の遠隔地における数万人の住民移転計画は、移転のために確保された土地の権利を「無断居住者」が要求しているため困難な状況に直面している、ベトナム政府の行政官は金曜日(12日)そのように語った。
40世帯がライチャウ省のBan Dong地域に居を構えているが、政府役人は巨大なソンラダム開発に道を開くために今月から始まる2年間のパイロット事業として、200世帯の住民をそこに移転させる計画だ。
「無断居住者」たちは、近隣の集合村(コミューン)からのモン族だが、当局からはそこに住むことを許されてきた。「我々は別の土地を見つけたので、こうした人々はそちらに住んでもらう予定だ」、電力事業を独占しているベトナム電力のVu Duc Thin氏はそのように語った。
規模こそ小さいが、この開発は(ダムの)移転住民に新しい住処を与えたい当局と、この地域で耕作可能な土地を求めている民族グループとの間の将来的な対立の前兆である。
ソンラダムは、ベトナム最大のインフラプロジェクトで、共産党のリーダーたちからは基本的な承認を得ているが、大きさなどについてはまだ最終決定されていない。
何年にもわたる計画段階の中で、2015年の完成までに、ダムの貯水池は、ソンラ省とライチャウ省の4万4700haを沈め、10万人の住民移転を必要とすることになる。移転住民の大部分は少数民族である。ベトナム政府は6億6千万ドルを住民移転のために割り当てた。
しかし、大規模な住民移転を強いる計画への支援に西欧援助国が否定的な状況で、ベトナム政府がどうやって30億〜50億ドルの資金を調達するつもりなのかという懸念から、この計画は外国の外交官ばかりかベトナムの地方行政官からも非難を浴びている。