メコン河開発メールサービス 2001年10月14日
タイの電力市場は、輸出用電力を産み出すダムを計画しているラオス、中国雲南省、それにビルマにとって、重大な関心事です。タイは近い将来、電力プール制という、いわば時間ごとに電気を売買する自由市場を導入することにしています。
競争原理の導入は電力料金の低下をもたらすことが期待される一方、電力を輸出するラオスや、民間主導で発電所建設を進めるタイでは、いかにしてコストを軽減するかが課題となり、社会環境面での費用を削減するのではという危惧も持たれています。
タイ発電公社がプール制導入の環境が整っていないので延期を要請したというニュースを、ウボン大学教員の土井利幸さんが翻訳しました。
Yuthana Praiwan署名記事
バンコクポスト2001年9月18日
タイ発電公社(EGAT)は政府に対して電力プール制の導入を2007年まで延期するよう提言した。自由な電力市場での競争を促進する要因が整う状態からほど遠いという判断である。政府は昨年10月に、電力売買の中心となる市場として電力プール制を導入し、市場の規制を緩和する決定を下している。
EGATの提言はエネルギー政策を担当するチャトロン・チャイセン国務大臣による見直し要請に沿ったものである。チャトロン国務大臣は現在計画されている制度が独占を生み出し、都市部と農村部での電力料金の格差増大の恐れが大きくなると懸念を表明していた。
Chanika Haemapun EGAT業務管理局長も、電力事業者の数が少なすぎる現在、独占ないしは寡占状態が発生する恐れがあると認める発言をした。2003年に電力プール制を導入するとした従来の予定では、発電を行なうと予想される事業者は、Cogeneration社、Electricity Generating社、Ratchaburi Holding社、Tri Energy社、IPT社、そしてEGATから民営化された電力各社の6社のみである。
特に老朽化した設備を使用すると発電コストに差が生じ、不利をこうむる電力事業者が存在する。ボー・ノックとヒン・クルットの両火力発電所については、当初計画の2003年を2004年から2005年の間の発電開始とする。また、民間の電力事業者の多くは資金調達能力不足のために市場への参入を再考している。
電力プール制を導入するための法律は依然として草案作成の段階にあり、そのことが2003年の制度導入をさらに困難なものにしている、とChanika局長は語った。
しかし、国家エネルギー政策局局長をつとめるPiyasvasti Amranand博士は、電力プール制の導入を延期することで好ましくない受け取り方をされる可能性があると述べた。同局長は、電力市場の規制緩和に対する政府の姿勢にこれ以上不確定要因が重なると、海外投資家が発電への投資に及び腰になると語った。