メコン河開発メールサービス 2001年10月18日
少々古いニューズですが、一向になくならない業者によるカンボジアの違法伐採に関するタイの英字紙の報道です。ここで報じられたケースは、政府の独立伐採監視員の英国NGOのGlobal Witnessが摘発した事件です。
なお、カンボジアの違法伐採問題につきましては、メコン・ウォッチが発行する「季刊フォーラムMekong 2001年3月発行号」にレポートが掲載されています。以下、ラオスの森林を研究テーマにしている、東大院生の名村隆行さんが翻訳して下さいました。
Kosol Satithamajit署名記事
バンコクポスト 2001年6月10日
カンボジアでの不法伐採の罪により、6ヶ月間収監されている16人のタイ人は、もう決してカンボジアで働くことはないと語りつつ、カンボジアでの伐採は合法的であると主張している伐採業者を信用しないよう、他のタイ人労働者に警告した。
カンボジア外務省が開催した金曜日のセレモニーでの席上、収監されたタイ人労働者は、釈放を保証してくれたタイやカンボジアの役人に感謝の意を述べつつ、今後、仕事の斡旋には注意を払うと語った。
タイの外務大臣であるSurakiart Sathirathai氏は、森林保護に関する協定を国際援助機関と締約して以来、カンボジアで伐採企業が操業することは安全ではないことを、他のタイの伐採業者に警告して欲しいと、彼らに要望していた。
16人の伐採労働者のうち、11人はタイのトラットから、残りはカンチャナブリ、スリン、カラシン、プラエ、ローエイから、それぞれ1人ずつきていた。昨年の12月19日にカンボジア西部のプルサット県とコーコン県で作業しているところを逮捕された。彼らは違法伐採と不法入国に関する罪を問われており、起訴までの間、プノンペン郊外にあるプレイスバール刑務所に拘置されていた。
有罪になれば3年6ヶ月の禁固刑に処せられることになる。しかし、フンセン首相は、6月6日に彼らを釈放する命令を下した。これは、6月18日にカンボジアに訪問するタイのスラキアート氏とタクシン首相に親善の意を表すための措置である。
トラット出身であるプラビット・スリサン(33)氏は、失業中に、伐採業者から依頼された。伐採業者は、木を伐採してチップにしたら、丸太1立米につき500バーツを支払うといっていた。
「給与がよく、仕事も簡単に思えたので、仕事をひきうけました」とプラビット氏は語る。
彼はこの仕事は合法だと考えていた。なぜなら、その伐採業者はタイ人とカンボジア人がオーナーであり、また、業者はタイとカンボジアの地方行政官が認可した越境パスを彼に支給したためである。
「12月19日に、伐採キャンプで4人の同僚と共に逮捕されるとは思っても見ませんでした。私がキャンプに到着してから6日後のことでした。」プラビット氏は、ヘリコプターで駆けつけた兵士に捉えられた。
彼は伐採業者に助けを求める手紙を何通も書いたが、返事はまったくなかった。「伐採業者は我々を助けなかったばかりか、すでに終わった仕事に対する給与すら支払わなかった」と語る。
16人のタイ人は一人ひとり別々の部屋に収監され、様々な犯罪に関わった9〜10人のカンボジア人の受刑者とともに過ごしている。1日2食のみ支給され、1日30分だけ身体を動かすことが許されている。
プラビット氏は、伐採労働を希望する人たちに対して、業者から仕事をもらう前に熟慮すべきだと忠告している。
カラシン県から来たブンレウン・テッポン氏(44)はトラットで大工として働いていたときに、この話を持ちかけられた。彼は、以前にこの仕事をしたことがある友人の話を聞くまでは、興味をもってなかった。
ブンレウン氏は、10日間ある契約期間のわずか2日目で逮捕された。「ヘリコプターの音を聞いたときも、我々を捉えに来ているとは思っても見ませんでした。食事を受け渡しに来たのかと思っていました。」
「業者は我々を助けようともしなかったし、自分たちで引き起こしたトラブルに巻き込まれたくないとおもっていた。」5人の子供をもつ父親でもある彼は、空腹は家族と離ればなれになることを思えば大した問題ではない、といっている。「カンボジアの囚人達のように、家族や友人が定期的に訪れ、おいしい食事を差し入れにくるわけではない。我々は赤米に、カボチャスープと焼きキャベツのような、うんざりするような食事をとらなければならない。」
タイ領事館の職員が2週間に1回差し入れをするようになり、彼らの生活環境も少しは改善されている。