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タイ汚水処理>機能不全のアジア開発銀行

メコン河開発メールサービス 2001年12月7日


久しぶりにタイのODA案件サムットプラカン県の汚水処理プロジェクトに関する情報です。アジア開発銀行とJBICが融資して建設が進められているこの汚水処理プロジェクトをめぐっては、地元住民が貝の養殖などへの影響を懸念して激しく反対しています。また、工場排水と生活排水を一緒に処理するため、重金属による汚染や、処理量の多さ(名古屋市の汚水を一箇所で処理するのと同じ)から来る、環境への問題も専門家から指摘されています。

住民たちは環境審査などのプロセスで、融資機関であるアジア開発銀行が自らの政策に違反したために、このような問題が未解決のまま建設が進められているのだとして、今年の初めに、「独立査閲(インスペクション)委員会」に訴えました。アジア開発銀行(ADB)はこの訴えを認め、正式調査のために専門家3人を選出し、ADBの政策違反を調べ始めました。ADBが独立査閲委員会による調査を決めたのは、これが初めてのことです。

しかし調査は消化不良のまま終わろうとしています。まずADBスタッフが、タイ政府の許可が得られないという理由を盾に、調査に必要な情報を専門家に提供しないのです。また、タイへの現地調査も実現していません。なぜなら、タイ政府が訪問に様々な条件をつけて、専門家の自由な調査を妨害しようとしているからです。

国際機関である以上、加盟国のタイを含めて合意した制度が独立査閲委員会であるにも関わらず、タイ政府は自らの非を隠すことに躍起になっています。一方のADBも、査閲チームに選ばれたある専門家によれば、自らの政策遵守機能を初めて使っているにも関わらず、千野総裁をはじめとして問題解決に積極的にあたる姿勢が見られないということです。初めて適用した政策遵守のメカニズムが完全に機能不全状態に陥っています。にも関わらず、千野総裁をはじめとするADBは手をこまねいて見ているだけなのです。

現地から届いた情報によりますと、ADBの独立査閲委員会は、調査のための現地訪問の断念と、今月中での調査終了を、訴えた住民グループにファックスで知らせたということです。これが、日本が最大ドナーとして70億ドル以上を投じてきた援助機関の政策遵守能力なのです。

1か月前の記事ですが、独立査閲の調査団がタイ訪問を拒否されたことを報じていますので、参照下さい。


ADBチームが現地入りを拒否される
事業者は責任問題を懸念

Monday 29 October 2001 Bangkok Post
Anchalee Kongrut

サムットプラカン汚水処理プロジェクトによる影響を受けるクロンダン区の住民は、アジア開発銀行(ADB)の独立調査団によるプロジェクトの調査実施をタイ政府が拒否したと語った。

タクシン首相に宛てられた手紙の中で、クロンダン区・ソンクロン区の住民はADBの査察チームはプロジェクトサイトの調査を認められるべきだと主張している。

抗議グループのリーダーであるDawan Chantarahassadiは、チームの10日間の訪問を避けた公害管理局(PCD)を批判した。PCDが非協力的なのは、独立チームは独自の査察計画を有し、政府の干渉を受けないからだ、と彼女は言う。

7月、ADBはプロジェクトの査察のため独立の専門家を派遣することを確認した。

抗議住民は、ADB総裁が派遣した別の専門家チームの報告を拒否し、ADB理事会に対し独立専門家を派遣するよう求めていた。

サムットプラカン県の家庭及び工場から出る排水を処理する予定である300億バーツの本プロジェクトに対し、ADBは99億バーツをタイ政府に融資している。

現地住民はプロジェクトを拒否している。住民グループは、土地の購入の際の汚職を指摘し、また施設からの残余物・排水が地域の漁業や貝養殖に被害をもたらすことを懸念してきた。

PCD水質管理課長のYuwaree In-naは、ADBによる査察を避けた。

もしADBが、査察チームの訪問によって生じる負担に責任を取ってくれさえすれば、PCDはチームに喜んで協力する、と彼女は言う。

「もし住民が抗議やサイト閉鎖を目論もうとしたら、ADBに我々の損失を補償してほしい。プラチュアップ・キリカン県では地元の抗議グループが発電所のスタッフや研究者を傷つける事態が起きており、我々は安全確保について慎重に考えなければならない」とYuwaree氏は語った。

クロンダンプロジェクトの建設業者は、以前抗議者が道路を封鎖し建設が遅れた際、補償を要求した。

ダワン氏によれば、住民はプロジェクトの中止を求めて行政裁判所に訴える予定だ。PCDは正当な手続きに従ってこなかったと主張する、と彼女は言う。

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