メコン河開発メールサービス 2001年12月29日
ビルマ(ミャンマー)の軍事政権がロシアからの原子炉輸入を検討しているニュースを、2001年7月に流しましたが、その続報がタイから入ってきました。TheNation系列のクルンテープトゥラキット紙(タイ字新聞)は、オサマ・ビン・ラディン氏に近いパキスタンの原子力関係の科学者2人がビルマに姿をあらわしたと報じています。メコン・ウォッチの木口由香(タイ在住)の翻訳です。
クルンテープトゥラキット 12月21日
ヤンゴン−ビルマ政府は原子力発電所建設のため、来年1月に密かに基礎を打ち始める模様だ。この計画が注目を浴びるきっかけになったのは、アメリカが「オサマ・ビン・ラディン」と関係があると信じているパキスタンの科学者がビルマに姿を現したためである。
通信社ダウジョーンズ(12月20日)がロシア大使館関係筋の情報として伝えたところによると、ビルマはロシア原子力エネルギー省とパキスタンの科学者の支援により原子力発電所建設の準備に入ったという。
今年の2月、ロシア原子力エネルギー省はビルマの中部方面に10MWの実験炉を建設する計画を明らかにした。続く7月、ウィン・オン外務大臣兼国務・エネルギー・工業・鉄道大臣が最終的な合意のためにモスクワを訪問している。そして来年1月には、マッカウェ付近の町で密かに竣工式が行われると見られている。
2003年には機材や原子炉がビルマ国内に運び込まれる予定だという。そして、300人のビルマ人がロシアで研修を受ける。
原子力発電所計画は、原子力の研究によってビルマを「近代的な国家」にしようと願っている科学技術省大臣であるウ・トン氏によって推進されている。しかしながら、電力不足に悩むビルマがなぜ主に医療用として用いられる原子炉を使うか、ということに不明瞭な点が残る。
それだけではなくこの計画は、パキスタンで最高の原子力科学者がアメリカで起きた9月11日の事件の後にビルマに姿を現していることからも、注目を浴びている。
アジアやヨーロッパの情報筋よると、この二人の科学者スライマン・アサドとムハンマド・アリ・ムクタルは、アメリカの捜査官に注目されていた。テロリストのオサマ・ビン・ラディンのグループ −アメリカは核兵器を開発したと信じている− との関係を疑われたためである。
いずれにしてもパキスタンの通信社は、ある研究で地方の科学者を支援するため出向いたと報道している。この二名が原子力発電所事業に関係がある可能性は否定できない。