メコン河開発メールサービス 2002年1月25日
中国政府が、すでに完成した2つのメコン河本流ダムに加えて、更に6つのダムをメコン河本流に建設すると発表したことに、下流の4カ国で作るメコン河委員会(MRC)が、強い懸念を示しています。日本政府は、もっぱらベトナムーラオスータイを通る道路網(東西回廊)などのインフラ整備ばかりにご執心で、本来MRCが担うはずの、国際河川の持続的な共同利用という「調整」には、関心を示していないようです。
AP通信 2002年1月24日
メコン河流域の4つの下流国は、中国が計画している6つの上流ダム建設に懸念を持ち、この点について中国政府ともっと対話を望んでいる、下流4カ国の代表が木曜日(1月24日)にこう述べた。
プノンペンに本部を持つメコン河委員会のJoern Kristensen事務局長は、カンボジア、ラオス、タイ、それにベトナムというメンバー国の環境と経済的利益を守るためにやるべきことはもっとある、と述べた。
「中国はメコン河が協同して気を使わなければならないシステムの1つであることを認識する必要がある」、Kristensen事務局長はAP通信社に語った。中国は、メコン河委員会が、メコン河流域の管理・保全への協力を進めるために1995年にできたとき、委員会への加入を断った。
下流の4カ国だけが加盟国となったが、委員会は上流国の中国とミャンマー/ビルマとの対話を続けている。「私たちは、かなり長い間、中国政府とのもっと活発な対話を求めてきた」、Kristensen事務局長はそのように述べ、その最初のステップが共同調査の実施だと付け加えた。
今週初め、中国の国営新華社通信は、下流の経済・環境面での悪影響への懸念にも関わらず、中国がメコン河本流に6つのダムを準備していると報じた。
Kristensen事務局長は、委員会の4つのメンバー国が最も懸念しているのは、下流への水量の減少と、4840キロに及ぶ(そのうち半分が中国国内を流れている)メコン河の水質の低下である。Kristensen事務局長によると、メコン河委員会は、3月に中国の開発計画について会合を持つ予定だ。
「もし流れが変われば、下流のメコン河流域国に深刻な影響を及ぼしかねない」と彼は言う。「そしてもし水質が変われば、数百万人のカンボジア人に、最も重要なたんぱく源を提供している下流の漁業に悪影響を及ぼす可能性がある」
中国政府は、6つのダムは南西部の経済開発に電力を供給するだろうと述べている。メコン河に完成した2つの既存のダムを加えると、全部で15.6ギガワット(15,600メガワット)の電力を発電することになる、新華社通信はそのように報じた。
中国政府はまた、ダムは雨季の洪水を緩和し、乾季の水を増加させると述べている。そのことが、カンボジアやラオスのように、伝統的な農業や漁業が自然のサイクルに依拠しているような下流国を心配させているのだ。
環境グループはまた、ダムは重要な栄養分を濾してしまい、メコン大なまずのような体重が290キロにも達する希少なメコンの魚種の回遊を妨げると懸念している。