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メコン上流浚渫>ラオスが異議!

メコン河開発メールサービス 2002年3月26日


このメコンニュースでしばしばお伝えしている、メコン河上流の商業航行のために計画されている浚渫工事についての最新情報です。

すでにお伝えしました通り、中国雲南省のスーマオ(思芽)からラオスのルアンパバーンまでの自由航行を実現するため、中国ービルマ国境石243番からラオスのフエイサイまでの331キロに点在する、11の早瀬と10の岩礁を、安全航行を確保するために爆破する計画です。

これまでメコン河委員会(MRC)のクリスチャンセン事務局長が、英字新聞などに投稿して下流への影響に懸念を表明してきましたが、中国側は一向に意に介せず、今月から工事に取り掛かろうとしました。ところが、最も立場の弱そうなラオス政府が、それに待ったをかけました。

以下、タイ字新聞の情報を、ウボン大学教員の土井利幸さんが伝えてくれました。


中国、メコン河の早瀬爆破を延期
ラオス政府が応ぜず

プーヂャットガーン紙2002年3月23-24日号(部分抄訳)

北タイ報道局発‐メコン河の早瀬を爆破して水路を広げようとしていた中国政府の計画が頓挫した。ラオス政府が爆破に同意せず、影響を受けるカンボジア・ベトナム下流二ヶ国の同意を取り付ける必要があるとしているためだ。これによって中国から送られて来た爆破の専門技術者一行は七日間の足止め状態となり、今年中に二ヶ所の早瀬を爆破するという計画を実行できないままである。

黄金の三角地帯からの情報では、中国政府は商業・観光船の航行を阻害する早瀬の爆破を未だ開始できないでいる。一方、爆破を実行する専門技術者一行は3月15日すでに現地入りした。はじめの爆破計画地点はビルマ・ラオス国境ローイ川河口付近の早瀬である。

結局、専門技術者たちは雲南省まで引き返し、ラオス政府と交渉が妥結するのを待ち、いつでも現地に戻って爆破が実行できるようになってはいる。しかし、いつになったら爆破を開始できるかは明らかでない。当初の予定では、3月16日に準備を開始し、約20日間で準備を終え、二ヶ所の早瀬を今年中に爆破することになっていた。

メコン河の現在の水位は平均で約1メートル下がっており、日によって10〜20センチ上昇することもあれば、かなり下がることもある。これは一帯が乾季に入ったことに加えて、中国が自国領内のダムの水門を定期的に開閉していることによる。定期的な開閉の理由は、中国内やタイのチェンライ県チェンセン郡周辺を航行する商業船がいるからである。

メコン河に点在する早瀬を爆破する理由は、船の航行の障害物を取り除き、300〜500トン級の商業船が航行できるよう水路を広げることである。しかし、関係諸国、特にラオス政府から同意が得られていない。一方で、今年1月タイのワンムハマドノ・マター運輸通信相は経済の四角地帯における交通・通信網整備に向けた調査について、タイ政府がビルマ・ラオス・中国政府との間の合意を確認すると述べていた。

ラオスのボーケーオ県からの情報によれば、爆破計画全体を管轄する同県に対して、現時点に至るまで中央政府から実行か否かの明確な指令は届いていない。実際のところ、メコン河を開発する際には、下流に位置し流れの変化に影響を受けるカンボジア・ベトナム両国の同意を取り付ける必要があるとの意見も出ている。

また、爆破作業に先立って、カンボジア・ベトナム両政府に現場を公開すべきであるが、それが実行されていない現状では、爆破計画に対して、両政府から抗議の声があがる可能性もある。

メコン河は全長4,880キロメートル(2,800マイル)、世界で十番目に長い川である。中国製品を運搬する船舶の報告によれば、水が濁っているのでレーダーのような新技術も効果を発揮せず、流れの至るところに岩場や岩礁がある。特に中国の雲南省とラオスのルアンパバンの間の354キロでは66ヶ所に早瀬があり、航行する船舶にとって危険だとされている。

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