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メコン大ナマズ>米国研究チームが初の追跡調査

メコン河開発メールニュース 2002年7月28日


タイで発行されている日本語新聞のバンコク週報誌に、メコン・ウォッチの木口由香が寄稿した記事を、編集部の許可を得て転送します。


米国研究チーム メコン大ナマズ、初の追跡調査へ
生態、産卵行動解明に着手

(バンコク週報5月3日1008号総合面)

アメリカ・カリフォルニア大学デイビス校の研究者ホーガン氏らのチームがカンボジアで捕獲されたプラー・ブック(通称メコン大ナマズ)の回遊調査を開始した。

同チームは昨年末、カンボジアで捕獲された十三匹のメコン大ナマズにプラスチックのタグと超音波発信機をつけて放流している。

タイの一部の地域では、メコン大ナマズはその大きさから神聖な魚として特別視されており、この魚のための祭りを催すところもある。また、秋篠宮殿下がご研究されていたこともあり日本でも知られた魚であるが、近年の乱獲やダムなどの河川開発によって激減している。

非常に大きな魚であるにも関わらず、その生態、特に産卵行動についてはこれまで何も分かっていない。現在、タイでは人工授精によって稚魚を得る技術が確立しているが、自然の環境下では卵や稚魚がまだ発見されていないという。ホーガン氏の予想では、この魚の回遊はタイまで至っているとしているため、そのため、NGOやメディアを通じて、タグのついた魚を発見したら漁業局に連絡してくれるようタイの漁民に呼びかけた。

昨年十一月、同氏のチームはメコン河の支流であるトンレサップ川でメコン大ナマズと近縁のプラー・サワイ(学名Pangasius hypophthalmus)を捕獲、タグをつけて川に放したところ、二月にメコン河の三百キロメートルも上流であるクラチエ県の漁師がその魚を捕まえた。

研究者によると、メコン河の魚、特にナマズの仲間は川の中を大きく回遊しているという。乾期の乾燥を逃れるため、これらの魚はメコン河の淵に集まり、雨期の増水期に支流を遡上して産卵。産まれた稚魚は広大な氾濫原に入り込んで成長し、再び訪れる乾期には減水する水と共に川に戻る、とみられている。

しかし、このように環境に合わせて進化した魚も、近年のダム開発などによってその移動を妨げられている。ホーガン氏は、ムン川の河口を塞いだタイのパクムンダムがムン川だけでなくメコンの魚の生態にも影響を及ぼしたと見ている。

現在、住民の反対運動によって、同ダムの水門は一時的に開放されており、多くの回遊魚が戻ってきたことが報告されている。今年一月四日にはムン川で百キログラム以上もあるメコン大ナマズが捕獲されているが、これがタイ漁業局の放流したものか、天然のものかまだ分かっていない。

同氏は今回の調査でリリースされたカンボジアの大ナマズがムン川で捕獲されれば、謎の多い魚の回遊行動の一部が明らかになる、と期待している。

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