メコン河開発メールニュース 2002年8月23日
タイ北部では、メコン河本流航行のための浚渫・岩礁爆破が大きな問題になっており、新聞でも大きく取り上げられるようになりました。以下、国防上の理由からの議論をバンコクポストが伝えています。この問題をチェンマイベースでモニタリングしているメコン・ウォッチの飯沼佐代子の翻訳です。
バンコクポスト2002年7月19日
タイ政府の内閣審査委員会は昨日、4カ国によるメコン河の岩礁撤去計画について見なおしを要求した。
審査委員長を務める副首相チャワリット・ヨンチャイユットは、もし計画通りにプロジェクトが進んだ場合、未解決になっているタイとラオス間の川沿いの国境が問題になるだろうと述べた。「岩礁が除去された場合、(川の中の)タイ国境が影響をうけるだろう。」チャワリット将軍は語った。下流域のカンボジアとベトナムを含む、川を共有している全ての国の必要性を考慮すべきだと彼は述べた。
メコン河は1,100kmに及ぶタイとラオスの国境を形成している。川の国境部分は明確にされて来なかった。1月、内閣は500tに及ぶより大型の船がメコン河を中国南部から北タイ、北ラオスまで航行するため、川の中の岩を爆破し航路を整備する計画を支持する決定を下した。
協定に基づき、タイはチェンライ県のチェンコン−チェンセン郡間の岩礁を撤去しなければならない。内閣は後になって、国防省に計画を調査するよう求めた。
国防省は内閣に選択肢を示す前に、計画の所轄官庁である通信運輸省と協議することになっている。この計画は、4ヶ国での貿易と観光を促進すると想定されている。タイの政府関係者と貿易商たちは、浚渫計画はタイから中国への輸出を増加させると言う。
爆破計画は北タイの漁民と環境活動家たちには評判が悪い。彼らは爆破が生態系を破壊すると主張している。東南アジア河川ネットワーク(SEARIN)の代表、チャイナロン・スレッタチャウ氏は(審査)委員会による見なおしの決定を歓迎し、プロジェクトは川を傷つけ、メコン河を生活の基盤にしている村人に影響を与えると述べた。岩礁の爆破に反対キャンペーンをしてきたチェンマイを活動拠点とするこのNGOは、反対運動を続けると語った。SEARINは、数週間のうちに4ヶ国の運輸大臣とそれぞれの在バンコク大使館に(計画への)抗議の書簡を送るため、他のタイの環境グループからの賛同を求めていた。
バンコク在住のラオス外交官は、ラオス政府は浚渫と岩礁の爆破に反対していないが、タイ政府はプロジェクトに関する国内での意見の対立に対処するべきだと述べた。彼は、ラオスは既にタイ、ビルマ、中国と河川航路の改善に合意したと話した。