メコン河開発メールニュース 2002年8月23日
メコン河上流の浚渫・岩礁爆破問題についてのタイの英字新聞報道です。チェンマイで活動しているメコン・ウォッチの飯沼佐代子の翻訳です。
スパラック・ゲンジャナクンディ
ザ・ネイション、2002年8月1日
タイの政府高官はメコン河の航行可能な部分における早瀬と浅瀬の爆破について、爆破が国境線を変えてしまう可能性があるという危惧により、ラオスとの国境の境界設定が解決するまで浚渫は行わない、と述べた。
運輸省港湾局の水運調査課課長であるプリーチャー・ペットウォン氏は、国防省がチェンライ県チェンコン郡を流れるメコン河のコンピールアン(訳者注:早瀬の名前)周辺の早瀬と浅瀬の爆破計画について見直しを行っている、と話した。
タイ−ラオス合同国境委員会は、メコン河が国境をなす976kmの境界の明確化を来年の終わりまでに完了すると予定されている。
メコン河の整備計画は2000年4月に署名された、ビルマ・中国・ラオス・タイの間の商業航行を促進するための協定の一部である。中国からラオスのルアンパバーンまでのメコン河に沿って、100から150トンの船が最低でも年に11ヶ月間航行できるようにするため、4ヶ国はメコン河の11ヶ所を浚渫する必要がある。「500万USドル(2億900万バーツ)の中国からの支出によって、メコン河沿いの11ヶ所の内、ビルマ−ラオス部分の2ヶ所では既に浚渫が行われた。」と瀾滄江(訳者注:メコン河の中国部分の呼び名)−メコン河商業航行調整合同委員会の事務局長でもあるプリーチャー氏は話した。
2国間の国境の境界が定められたあと1年後の2004年まで、タイ−ラオス間で最後の部分にあたるコンピールアンは爆破されないだろうと彼は言った。国防省は、早瀬の除去が国境に影響を与えないことをはっきりさせたいのだとプリーチャー氏は言った。(爆破によって)水の流れが速く激しくなると必然的に河の流れが変わってしまうだろう。ところがタイ−ラオス間では河が国境に他ならないのだ。
国家間の境界からの影響とは別に、環境保護論者と地域社会は川の浚渫が自然植生と動物相を破壊し、伝統的な生活様式に影響を与えるだろう、と懸念の声を上げている。早瀬の爆破は、早瀬で産卵するメコンオオナマズなど、数種類の希少種の生存を脅かす、と淡水資源の専門家であるチャワリット・ウィッタヤノン氏は話した。環境影響評価(EIA)は植物や動物への影響について、まったく記述していない。環境保護活動家で東南アジア河川ネットワークのチャイナロン・スレッタチャウ氏は、4ヶ国の政府関係者によって行われたEIAは国際的な水準にほど遠いと主張した。チャイナロン氏は、関係当局が環境・社会影響調査を検討するまでプロジェクトを中止するべきだと主張した。