メコン河開発メールニュース 2002年8月25日
ベトナムの洪水が深刻化しています。7月下旬以来の北部と中部の大雨と洪水で、すでに40人を超える犠牲者が出ています。メコン河上流部での水位上昇から、今後はメコンデルタでの洪水被害が懸念されています。以下、AFPの報道を一部を省略して紹介致します。
2002年8月23日、AFP
ベトナムでは今週降った記録的な大雨と洪水によって7人が犠牲になり、30人以上がけがをしたと8月23日にベトナム政府が発表した。今後は南部のメコンデルタへ災害の恐れが出ている。
7月下旬に最初に大雨が北部を襲って以来、被害が南部に及んでいない今の段階でベトナム全土で少なくとも44人が犠牲になった。
先週は最北のハザン省で26人が犠牲になったが、この省に住んでいるのは主に山岳少数民族であり、4日間にわたる洪水によって330万ドルの被害が出たと当局は見積もっている。
中部高原のダクラク省では、19郡のうち7つの郡で深刻な被害が起きており、4人が犠牲、1500軒の家屋と8000ヘクタールの穀物が冠水したと国営ベトナム通信は伝えた。7つの橋と5キロに及ぶ道路、その他のインフラ設備もまた被害にあった。災害救助担当官は被害額は300万ドルに及ぶとしている。
南部のメコンデルタに位置するアンザン省では洪水で3人が犠牲になったほか、最南端のカマウでは3日間の大雨と月曜日(18日)以来の強風でおよそ30人がけがをした。国営ベトナム通信によれば、カマウ省で100軒余りの家がなぎ倒されたり屋根が吹き飛ばされたりし、2万ヘクタールの水田と3万ヘクタールのエビ養殖地が冠水したということである。カマウの防波堤もまた被害を受けた。
今週続いた記録的な大雨はまた南部沿岸のキエンザン省、ホーチミン市北東のドンナイ省、それに中央高原のラムドン省において、人家や耕地に広範な被害を引き起こしている。
ラオスにおけるメコン河の水位が1966年以来最も高く、洪水暴風対策中央委員会や赤十字は人道上の災害が(メコンデルタに)ゆっくり近づいていると恐れている。
国際赤十字のSimon Eccleshall氏は「上流のカンボジアで赤十字が行なった初期の洪水評価によれば、2000年の洪水よりもひどくなりそうだ」と話している。2000年の洪水では、メコンデルタ地域を中心に20年ぶりの洪水被害にみまわれ、400人以上が犠牲になった。そのうち300人近くが子供だった。
昨年のひどい洪水でも300人の犠牲者を出し、豊穣なこの地域で数十万のホームレスを生み出した。
犠牲者のうち200人以上が赤ん坊や子供であり、ベトナムの穀倉地帯を襲った季節行事から農作物を救い出そう両親たちが試みている間に、記録的な洪水が押し流してしまったのである。
(中略)
今月初め、洪水対策関係当局は、太平洋の赤道地方の水温が上昇するエリニーニョ減少がベトナムのメコンデルタの洪水を悪化させるだろうと予想していた。毎年の洪水によって、この地域の半分近くが冠水し、デルタの12省の半分以上の省のおよそ800万人に影響を受ける。