メコン河開発メールニュース 2002年10月5日
ベトナムで、プロジェクトのために収用された土地への補償を求めて抗議行動をした住民に実刑判決が下されました。報道によれば、「公共の秩序を乱した」のが理由のようです。ホーチミン市でのプロジェクトとありますが、これがベトナム政府の資金によるものか、あるいは日本や多国間の援助によるものなのかは、報道では述べられていません。
日本がベトナムに供与しているODA(政府開発援助)で多くの住民立ち退きが行なわれています。1つのプロジェクトで数千人が対象になることも珍しくありません。当然、生活再建のための補償が行なわれていると思われますが、この報道が事実であれば、果たしてODAをめぐる立ち退きが、本当に適切に行なわれているのか疑問も残ります。
以下、ドイツの通信社DPAの報道です。
Deutsche Presse-Agentur
2002年10月1日
2人のベトナム人が土地の権利をめぐる抗議行動を行なったために、共産党政府から過酷な実刑判決を受けたと、国営のメディアが火曜日(1日)伝えた。
判決を受けたのはPham Trong Son氏とNguyen Thi Thao氏で、ラオドン(労働)新聞によれば、抗議行動を組織して公共の秩序を侵したと認められ、それぞれ3年と20か月の禁固刑を言い渡された。もう1人は執行猶予だった。
3人は、ホーチミン市の公的なプロジェクトによって収用される土地に対する国家による補償が少額だったため、抗議行動を組織した。先週、裁判所の吏員が述べたところでは、3人は数十人の支持者を集め、横断幕と革命のリーダーであるホーチミンのポスターを掲げて、解散を命じに来た警察に怒鳴ったということだ。
依然として稀ではあるが、市民が不満や請願をすることを共産党政権がシステム化したため、ベトナムでは公衆による抗議行動の数が増えてきている。
去る5月、共産党のNong Duc Manh書記長は、国民議会選挙に先だって「わが国の民主主義は度を越え始めた」と抗議行動に対するコメントを述べた。