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パクムンダム>政府調査をした大学が政府決定を批判

メコン河開発メールニュース 2002年11月1日


パクムンダム(世界銀行の融資、1994年完成)の水門開放を4か月に限定するタイ政府の決定に関するニュースが続いています。

以下、メコン・ウォッチの木口由香(バンコク)の報告と翻訳です。


タイ政府の決定に対する批判の最大のポイントは、タイ政府が、自ら委託したウボンラチャタニ大学の影響調査の結果を考慮しないで、一方的に4か月の水門開放を決めたことです。にもかかわらず、政府はウボンラチャタニ大学の調査報告を元に決定を下したと一部で報道されています。

以下の記事では、ウボンラチャタニ大学の調査チームが、これを否定しています。被害を受けた地域住民だけでなく大学の研究者も無視され、政治的に利用された格好となりました。今後学識経験者などからも批判が高まることが予想されます。

また、以下に紹介するバンコクポストの記事に、「年間5億7千万バーツ(約17億円)の電力収入の損失」と書かれていますが、これはタイ発電公社の主張する数字で、発電した電力が全て販売できたと仮定して算出されている純収益のようです。記者は公平を期すために公社の主張を記事に盛り込んだようですが、この収入に対していったいどのくらいの支出があるのかはその場では明らかにされませんでした。


ダムについての決定は「我々のものではない」

『ザ・ネイション』2002年10月19日

昨日、政府によって設置されたパクムンダム影響調査チームは、ダムに関する先の政府決定がチームの調査結果に基づいたものであるとの点を否定した。

2週間前、内閣は「住民の声にしたがって」パクムンダムをめぐる紛争解決の手段として年間4ヶ月の水門開放を決めた、としている。また政府は、自ら設置したウボンラチャタニ大学による調査結果をこの決定の根拠として引用した。

「私たちは、ダム水門の完全閉鎖、年間5か月間の開放、8か月間の開放、通年開放という4つの選択肢を検討した。結論ははっきりしている。最初の3つの選択肢は生態と社会に影響を与える原因になる。ダム水門の恒久開放が最良の手段だ」と、昨日、バンコクでウボンラチャタニ大学の調査チームが発表をしたのち、メンバーのスタチャイ・ヂムプラスート氏は述べた。(訳注:スタチャイ氏はこの日の司会で、チームメンバーではない)

また、同大学の調査は、ダムのせいで川に生息する魚類が107種から70種に減少し、それは地域の人々の収入が70%が減ったことに等しいと結論付けた。期待された灌漑用水のうち14%しか農地に届いていないとも述べている。

ダム水門開放は、地域住民一世帯あたりの年収(訳注:調査原文では「漁業による年収」)を3,000バーツ(約9,000円)から10,000バーツ(約30,000円)に増加させる、とカセサート大学の経済学者デーラット・スックガムヌート氏は述べている。

パクムンダム
内閣の水門開放決定に反対の声、4か月の開放は無意味

『バンコク・ポスト』2002年10月20日
Ranjana Wangvipula署名記事

研究者らは、パクムンダムを4ヶ月間開放するという内閣決定がウボンラチャタニ大学の提言に従っていない、と決定に異議を唱えた。

「決定には学問的根拠がなく、河川生態の回復を真に意図したものではない」と、歴史学者でチュラロンコン大学教員のスタチャイ・ヂムプラスート氏は述べた。

発電と地域環境回復という相反する目的の折衷案であるとしてポンポン・アディレークサン教育相(訳注:当時は副首相)が議長をつとめる特別委員会が出した結論を、内閣は10月1日に承認した。

ダムの運転は11月1日に再開される予定であるが、今後は毎年7月から10月まで水門が開放される。

環境活動家で居住財団議長をつとめるバントン・オンダム氏も政府に対して、ダムの影響調査の結果に基づいた決定を下すよう望んでいる。調査結果の一つには魚類の数の減少があがっている。

影響調査には内閣が予算を付けウボンラチャタニ大学が実施したものに加えて、ダムを管理・運営するタイ発電公社(EGAT)が委託したもの、ムン川沿岸の漁民グループが行ったものの三つがある。

ウボンラチャタニ大学の調査報告は、ダム水門の完全閉鎖、5ヶ月間ないしは8ヶ月間の部分的開放、5年間の完全開放を提言している。

同調査は、電力の点で地域住民が全国的な送電ネットワークに頼ることができる以上、パクムンダムに緊急の必要性はないとしている。

恒常的なダム水門の開放は年間5億7千万バーツ(約17億円)の電力収入の損失につながる。

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