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ベトナムソンラ-ダム>2400MW案で閣議承認

メコン河開発メールニュース 2002年11月13日


長い間、熱い議論が展開されてきた、ベトナム北東部の巨大ダム=ソンラ-ダムが閣議決定されました。当初の3600メガワットから2400メガワットに縮小されたということです。

10万人を超えると言われた立ち退き住民が、いったいどのくらいの規模になるのか、以下の記事を読む限り、大きな数字の開きがあります。

また、16〜18億ドル事業費の3割を海外からの融資でまかなう予定でいるとのことです。今のところ、日本の公的金融機関や国際金融機関が融資を検討しているという情報はありません。

東南アジア最大のこのダムをめぐる議論は、資金調達をめぐって、国際的な広がりを見せることになるでしょう。

以下、メコン・ウォッチでボランティアをしている山口健介さん(東京大学学生)の翻訳です。


ベトナム政府が論議を呼んでいるダムプロジェクトを承認

ハノイ発AFP、2002年10月2日

ベトナム政府は水曜日(2日)、約1万6000人を強制立ち退きさせ、論議を呼んでいる巨大水力発電プロジェクトの建設を承認したと発表した。

「火曜の閣議においてPhan Van Khai首相は東北部のソンラー省におけるベトナム国内での過去最大のインフラ建設を承認した」と共産党の日刊Nhan Dan紙が報じた。

当初高さ265メートルの規模で予定されていたが、通常は政府に対して従順な国民議会において国会議員がプロジェクトにおける人的及び環境面での被害について批判したため、215メートルに建設予定規模を縮小した。当初の計画のままであれば、4万4700ヘクタール以上の土地、および41キロにもわたる高速道路が水没する予定であった。それに加えて、特に少数民族を中心として10万人あまりが移住を余儀なくされる予定であった。国会議員たちはまた、建設予定地であるダー川が流れる北部山地は地震が起こりやすい地域であること、それによって下流域特にハノイに大惨事を与える可能性があることにも懸念を示した。

激しい議論の末、2001年6月に国民議会はダム建設そのものについては基本的に承認したものの、その規模(高さ)について懸念を示した。

今年3月、政府は215メートルへの規模の縮小を提案した。この規模なら影響が出るのは1万8000ヘクタールの土地、および1万6000人の水没地区に住む人々となるだろう。

改正されたプロジェクトは最終的な承認のために国民議会に提出される前に、一党支配している共産党内の権力者15人で構成される政治局により審査されねばならない。建設は2005年には開始される見通しで、完成までに15年が見込まれている。

国営メディアが3月に伝えたところによると、ソンラー発電所によって2400メガワットの発電能力が見込まれ、建設費用は16億-18億ドルが予定されている。どのようにしてダム建設費用が捻出されるかについては、まだ政府からの正式な発表はない。

欧米の貸し手が多数の人々の移住を余儀なくするような水力発電事業に対して資金を提供するのを渋る中で、財政的に苦しいベトナムがいかにしてダム費用を捻出するのかについて、現地の外交官は長い間疑問に思っている。

経済の拡大と工業化はベトナムにおける電力需要を確実に増加させており、ここ数年間は年平均14-5%の割合で電力需要の成長は続いている。そしてこのことはベトナム国内におけるインフラ開発への緊急な必要性を作り出している。

政府の推計によれば、2010年には700-800億キロワット、2020年には1600-2000億キロワットもの電力需要が見込まれている。ベトナム政府は、前年比12.4%増の344億キロワットの電力供給を今年予定している。今年の前半7か月の総発電量は200億キロワットであった。

<注>英語の原文を訳すと上記のようになるが、最後の段落の単位は、発電量を表す「キロワット時」が正しいと思われる(松本悟)。


ベトナムが論議を呼んでいるダムを規模縮小して建設決定

ハノイ発AP、2002年10月2日

ベトナム政府は巨大な水力発電ダムの規模を縮小して建設することを決定した。このダムについては当初の計画では、経済的に負担が大きすぎる点、多くの立ち退き住民の発生、および安全面が懸念されていた。

国営ベトナム電力公社のVu Duc Thin氏によれば、新しい計画においても依然26〜27億ドルの予算および9万1000人もの住民移転が必要とされる。今回2400メガワット規模へのダム縮小が提案されたが、今後人民会議での承認が必要である。3月の国民議会では、安全面での懸念、コスト、山岳民族を含む莫大な数の立ち退き住民の存在を理由として、共産党政府が提案した当初のダム計画への採決は見送られた。このように議会が政府案と違う姿勢をとるのは異例のことである。

Thin氏によれば、提案されたダム建設予定地は地震多発地帯であり、ダム湖は深さ215メートル、面積にしてじつに86平方マイル(223平方キロメートル)もの土地を水没させる。当初の計画ではダム湖の水深(=堤体の高さ)は261メートルの予定だった。

火曜日(10月1日)の会議では、政府は規模縮小の理由として、安全面での懸念及び立ち退きを迫られる大量の住民を挙げた。

Thin氏によると、建設は2005年に始まる予定で、70%を国内の財源で、残りを国外からの借款に頼る計画である。また、ダム建設地であるソンラー省ムオンラ郡は、ハノイから336キロメートルのところである。

近年ベトナム国内での電力消費量は、年平均14-15%の割合で増加している。国営ベトナム電力公社は、37の電力発電所の新規建設を計画しており、そのうちの22は水力発電所である。今後7年の間に国内の右肩上がりの電力需要に応える形で発電所建設に191億ドルもの資金捻出が予定されている。

現状では国内に14の電力発電所があり総計8000メガワットの発電が行われている。


政府、ソンラー水力発電プロジェクトの3段階案(terraced option)を承認

国営ベトナム通信(VNA)、2002年10月1日

10月1日に行われた政府月例会合2日目において、閣僚はソンラー水力発電プロジェクトにおける3段階カスケード案(three-level terraced option)を選択することで合意した。

3段階カスケード案には、ホアビン、ソンラー、およびライチャウの3つの水力発電所を含んでいる。

政府はソンラー発電所による、平均水位上昇のレベルを215mにすることで合意した。

政府がソンラー計画の実施可能性について協議し、より実行可能なものにしようとする試みは今回で4回目である。特に今回の会合ではその規模、および立ち退きを余儀なくされる住民の移転における選択肢に関して特に焦点があてられた。移転地での住民の良い生活条件を確実にする必要性を強く意識したうえで、政府は、地域住民の移転と定住に関する全体計画を採択した。

ソンラー電力プロジェクトは、国営ベトナム公社により案出され、1998年8月に首相に承認を求めて提出された。

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