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対ビルマODA債権放棄>納税者への裏切り
メコン河開発メールニュース 2002年12月22日

すでに新聞等でご存知の方も多いかと思いますが、日本政府は「外務省を変える会」の提言を受けて、過日ODA債権の放棄を決定しました。これまでの「債務救済無償資金協力」は廃止になります。債権放棄は総額で9000億円に達します。

ODA債権放棄自体については評価する向きが強いようですが、少なくとも対ビルマ(ミャンマー)の債権放棄には大きな問題が残っています。本論に入る前に、少しだけ、ODA債権放棄について説明させて下さい。

世界銀行では過去の債権放棄の条件として、HIPCs(重債務貧困国)イニシアティブという枠組みのもとで、債務帳消しが各国の貧困削減に具体的に貢献できるようなモニタリングを対象国に課しています。

今回日本政府がODA債権放棄を決めた32か国の中には、HIPCs対象国とそれ以外の国(TDB無償対象国と呼んでいます)の両方が含まれています。

日本政府も、今回のODA債権放棄に伴って、HIPCs対象国については、HIPCsイニシアティブに基づき、貧困削減戦略ペーパー作成の進捗状況に合わせて債権放棄を行なっていくとしています。また、HIPCsイニシアティブ対象外の国でも、IDA適格国(世界銀行の低利ローンの対象国)を中心に、貧困削減戦略ペーパー策定が進んでおり、日本政府は今回放棄する額が経済開発や貧困対策に使われるかをこのプロセスを通じて監視していくと話しています。

問題はHIPCs対象国でありながら、軍事政権(紛争国)にあるためHIPCsイニシアティブのプロセスが進められていないビルマ(ミャンマー)に対するODA債権の放棄です。今回の債権放棄の対象となるビルマへのODAは2735億円で、放棄額全体の30パーセントを占め、圧倒的にダントツです。

第1の問題は、HIPCsイニシアティブに従っていないビルマの軍事政権への債務放棄をすべきかどうか、です。放棄する場合、日本政府が独自に世界銀行並みのモニタリングを実施するだけの意思と体制を備えなければなりません。ちなみに、世界銀行は、7億1700万ドル(860億円超)の対ビルマ債権がありますが、そのうち返済期限が過ぎた8500万ドルは履行延滞、すなわち「不良債権」となっています。

第2の問題は、今回の債権放棄の対象になっていない「返済期限が過ぎている未払いの債権」です。外務省はビルマ政府に遠慮して正確な額を公表しようとしませんが、「少なくない額」と話しています。この不良債権の扱いをどうするかははっきりさせていません。

いずれにせよ、人権抑圧が甚だしい軍事政権下にあり、最近の民主化グループとの対話も不調に陥っているビルマ政府。世界銀行並みのモニタリング体制を整えずに、2735億円もの債権を放棄することは、日本政府の怠慢、納税者への裏切りとしか言いようがありません。

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