ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > カンボジア違法伐採 > 監視NGO追放に世銀が遺憾の意
2003年の第1号は、カンボジアの違法伐採問題についてのニュースです。カンボジアでは違法伐採が、国庫収入や住民生活に損害を与えていることから、世界銀行が中心になって、森林セクター改革を支援しています。その中で最も注目されてきたのが、「独立環境調査員」として、違法伐採などの森林犯罪に最も厳しい目を光らせているイギリスのNGOグローバル・ウィットネスを政府が雇用してきたことです。詳細については、以下の報告書のl『第4章 問題解決のための世界銀行とアドボカシーNGOの連携−世界ダム委員会とカンボジアの違法伐採問題を事例に−』をご覧下さい。
ところが、森の民たちによるデモを警官隊が武力で排除して死傷者が出た事件をめぐって、カンボジア政府とグローバル・ウィットネスの関係が悪化し、ついに、国外退去を求めるという事態になっています。これに対して、世界銀行は、遺憾の意を表すとともに、森林セクター支援からの撤退の可能性を表明しました。
以下、世界銀行の配信ニュースの邦訳です。
世界銀行プレスレビュー:2002年12月30日(月)
世界銀行は、月曜日(12月30日)、カンボジア政府が、「独立環境監視員」であるNGOグローバル・ウィットネスの同国での活動を止めるように要求したことに対して、カンボジアの森林セクターでの活動から撤退する可能性があると語った、とAFP通信は報じた。
世界銀行のカンボジア事務所長であるイアン・ポーター氏は、カンボジアにおいて違法伐採を発見する「森林犯罪監視課」の中で、独立監視員として活動していたグローバル・ウィットネスは、これまでこのセクターにおいて重要な仕事をしてきたと話している。
声明の中でイアン・ポーター氏は、「カンボジア政府がグローバル・ウィットネスとの関係を終わらせようとしていることについて、世界銀行は遺憾に思う」と述べている。「世界銀行はこの点や他の最近の進展など多くの要素を考慮して、森林セクターの業務の再検討している。この見直しの一環として、世界銀行は今後数週間にわたって、カンボジア政府や他の関係者と協議していくことになるだろう」。
ロンドンに本部があるグローバル・ウィットネスは、林野・野生生物局と環境省の中で森林犯罪を監督する部課の活動を監視している。12月に首都において、森林に依存する集落の代表150人による抗議行動を追い散らそうと、電気ショック棒で武装した警官隊が度を超えた暴力を振るったことを非難したため、グローバル・ウィットネスは政府との関係がこじれていた。同団体によれば、この事件で、少なくとも村人1人が心臓発作で死亡し、7人が治療を受けたということだ。
カンボジアのフンセン首相は、抗議行動のビデオをみても「度を超えた暴力」の証拠はなく、「度を超えた暴力」の訴えは根拠がないと主張している。先週火曜日(12月24日)、フンセン首相はグローバル・ウィットネスにカンボジアから退去するよう求め、世界銀行とアジア開発銀行に対しては、新しい監視員を指名するように求めた。
カンボジアの人権擁護者たちは、グローバル・ウィットネスは「独立し信頼されていた」し、政府に対して「勇気をもって真実を報告」してきただけであり、(退去という)要求を取り下げるようにカンボジア政府に強く求めている。ニューヨークに本部があるヒューマン・ライツ・ウォッチもまた、違法伐採の監視に対して国際的に評価されているグローバル・ウィットネスを敵対視し、黙らせようとするカンボジア政府の企てだと強く非難している。