ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > タイ電力 > 発電公社は新規事業を延期
メコン河流域国、とりわけ、タイ、ラオス、ビルマにとって、タイの電力需要・政策は、各国でのダム、火力発電、パイプラインなどの開発と不可分であり、最大の越境開発要因です。すなわち、各国の自然資源と人々の暮らしに直結した問題ということになります。
以下は、4か月前のタイの英字紙の記事ですが、タイ及び周辺の国々を振りまわしているタイの電力需要の現状が読み取れます。メコン・ウォッチの福田健治の翻訳です。
ザ・ネイション紙2002年8月28日
タイ発電公社(EGAT)は、これまでの予測を下回る新たな電力需要予測に基づき、新規発電プロジェクトと、タイ国内及び海外からの電力購入を延期する予定である。
EGATはまた、タイ東北部及び南部における電力供給が不安定であること、及び来年の電力料金が値上がりすることを警告した。
電力負荷予測小委員会のThienchai Jongperirapian委員長によれば、EGATは新規発電所と既存発電所の補修を1年から2年遅らせることになるだろう。この間、タイの民間発電者及びラオス・ビルマ・中国の海外プロジェクトも延期することになる。
「今回の延期は、今年の経済成長率予測が3.5%に修正されたことにあわせたものだ。また、米国経済の失調及び政府の省エネ・プログラムの結果も考慮した」と同委員長は言う。
改定された電力需要予測は、現在の国家経済社会開発計画の下、2002年から2006年の間の経済成長率が4〜5%になるという推定に基づく。
この間の電力需要は900メガワットであり、これは以前の予測より4%低い。ピーク時需要は21,648メガワットになると予測されている。
小委員会は今後二期の経済社会開発計画での電力需要予測も下方修正した。第10次計画(2007年-2011年)のピーク需要については29,321メガワット、第11次計画のピーク需要は28,851メガワットであり、これは以前の予測よりそれぞれ4.41%、4.54%低い。
開発計画は実際の需要を反映させるよう改定中で、2ヶ月以内を目標に全ての数字を確定すると、Thienchai委員長は述べた。
EGATの電力開発計画担当課長であるPipat Honglaradarom氏は、南部及び東北タイの電力供給の確保がEGATの懸念であると述べた。余剰電力が40%もあるにも関わらず、同地域への電力が送電網上を効率的に流れていない可能性がある。
「この懸念は特に東北部で現実の問題となるだろう。というのも、東北タイのパクムンダムは、地域社会からの抗議活動のせいで、操業・発電をできていない。一方ナムポン発電所は、現在燃料の不足から発電能力の半分しか発電していない」とPipat氏は言う。
Pipat氏は補足して、「ESSOによるナムポン発電所への天然ガス供給量は計画より少なく、ナムポン発電所は燃料をディーゼルに変更しなければいけないかもしれない。このため、来年度の電力料金が上昇するかもしれない」とした。
EGATは現在政府の指示により、プラチュアップキリカン県の2つの論争を巻き起こしている石炭火力発電所プロジェクトを18ヶ月から2年間遅らせるようプロジェクトの実施者と協議を行っている。