ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > カンボジア違法伐採 > NGO追放で世銀支援は中止か?
元日にこのメールニュースでお伝えしましたように、カンボジアの違法伐採を監視していたイギリスのNGOが、カンボジア政府の暴力的な行為を批判したことで政府との契約を破棄されました。
12月30日の共同通信は次のように伝えています。
共同通信ニュース速報【プノンペン30日共同】
カンボジアのフン・セン首相が違法森林伐採の監視活動をしている環境人権保護団体「グローバル・ウィットネス」(本部・英国)に退去を求めた問題で、この監視活動に資金を提供している世界銀行のプノンペン事務所は三十日、カンボジアの森林保護への支援を見直す可能性を示唆する声明を発表した。
声明は「グローバル・ウィットネスは森林保護の分野で重要な役割を果たしてきた。カンボジア政府が(同団体との)関係を断とうとしていることは遺憾だ」と述べた。
グローバル・ウィットネスは今月五日、森林保護を求める集会を武装警官が解散させ多くの負傷者を出したと同国政府を非難。首相は「誇張だ」と反論、同団体に退去を求めると述べた。
「独立環境調査員」として、違法伐採などの森林犯罪に厳しい目を光らせているイギリスのNGOグローバル・ウィットネスと世界銀行のカンボジアでの森林関連融資の関係については、下記をご覧ください。
1月7日の世界銀行プレスレビューが、更に厳しい調子で、この問題による世銀プロジェクトへの影響を伝えています。
以下、翻訳協力者の栗林健太さんの翻訳です。
世界銀行プレスレビュー
2003年1月7日
カンボジアにおける違法伐採を監視してきた環境団体を政府が追放したことで、カンボジア政府は、問題を抱えている森林プロジェクトに世界銀行が提供している資金の損失に直面している、とファイナンシャル・タイムズ紙は伝えた。
先月、カンボジア政府が援助関係者たちに、グローバル・ウィットネス(英国のNGO)との契約を終わらせると伝えた。理由はおそらくこのNGOがカンボジアを誹謗中傷し暴力を先導したということなのだろう。このことが、長く爆発寸前状態だったカンボジア政府の森林管理の改善に対する中途半端な姿勢への怒りが爆発させた。
グローバル・ウィットネスは、過去十年間に渡りカンボジアの人里離れたジャングル地帯での違法伐採の経路を解明して脚光を浴び、森林伐採許可を取得した企業への規制を強化しようというカンボジア政府の試みを記すために、1999年に政府によって雇われた。しかし、詳細な報告書の中で、ロンドンを本拠地とするこのNGOは、カンボジアのフンセン首相が、有力政治家や森林利用の監視に責任を持つ政府高官と経済的・血縁的関係を持った影響力の強い企業によって違法伐採がはびこっていることを無視していると繰り返し非難した。
世界銀行とIMF(国際通貨基金)は、持続的な森林管理をカンボジア政府への融資条件としている。これには支払いが延ばしつづけられている3000万ドルの世銀の構造調整ローンも含まれている。世銀は、グローバル・ウィットネスは林業の改革に「価値ある」貢献をしてきたと述べ、カンボジア政府による同団体の追放に対し「遺憾の意」を表明した。世銀は、林業改革への資金援助に関して考え直さねばならないのではないかと述べた。
2002年4月以来、カンボジア政府が林業プロジェクトの条件を遵守していないとして、3000万ドルの構造調整ローンの第2期1500万ドルの支払いを繰り返し延期していた。
このプロジェクトの条件として(500万ドルの「ラーニング・アンド・イノベーション」ローンで別途融資された)、儲けになる伐採権を持つ企業は、環境に関する分析と伐採計画の詳細を、2001年9月までに、政府と公衆による査閲のために提出すること求められていた。これまで企業側は繰り返しこれら計画書の提出を怠っていた。最終的にようやく期限の一年後に提出したときには、カンボジア政府は、公衆からのメンバーが計画書を見直したり、コメントしたりするための時間をわずか20日しか与えなかった。世銀はこの行動に対し、自らが考えていた「公開の精神と協議の精神」にはるかに及ばないと語った。