ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > ビルマ・サルウィンダム > ウエジーダム計画が復活
タイ・ビルマ国境を流れるサルウィン川には、日本の電源開発(株)が実施可能性調査を行った巨大ダムのタサンダムが計画されています。タイ発電公社は、これに加えて、4500メガワットを超える新たな巨大ダム=ウエジーの開発に乗り出すようです。ビルマのシャン州の広大な面積を水没させることになるこのダム計画について、シャン・ヘラルド・ニュースの記事を、メコン・ウォッチのボランティアの松浦美紀さんが翻訳しました。
シャン・ヘラルド・ニュース
2003年2月20日
タイに本拠地を置く環境団体からの本日の情報によると、タイ発電公社が理想的とするカレン州のダムサイトは、依然としてカレンニー州やシャン州上流部を水没させることになりそうである。
情報筋によると、2月12日に開催されたタイ上院外交委員会でプレゼンテーションを行ったタイ発電公社総裁Sitthiporn Rattanopas氏は、「ウエジーダムによって水没する地域は、タイ・メホンソン県とビルマ・カレン州にまたがり、ダムから北へ380〜400kmに至るだろう」と報告した。
ウエジーは、ビルマ語で「巨大な(ジー)渦巻き(ウエ)」という意味である。
完成すれば、高さ168m、発電能力4540メガワットで、60億米ドルの費用がかかると言われている。
一方、タイのNGOのTERRA (生態系回復と地域連帯を目指して)によると、通常高水位が220mに達する本貯水池は、6000〜8000ヘクタール(15,000〜20,000エーカー)の土地を水没させ、カヤー州とも呼ばれるカレンニー州のBawlake や Hpahsawng地方の住民など何千人が強制退去を強いられる模様。
しかし、被害の程度はまだ調査が必要であり、タイ発電公社の報告書では、サルウィン川両岸に広がる何千エーカー(1エーカーは約0.4ヘクタール)の森林破壊の可能性を裏づけしている。
アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)は、ビルマの独立記念日である1月4日以来、野党と軍事政権の間で実質的な協議を持つまで外国からの投資に強固に反対することをすでに確認している。
シャン族、カレン族、カレンニー族の人々も、1993年以来ダムプロジェクトを厳しく批判し続けている。
それにもかかわらず、ウエジーダム建設は、依然としてラグーンの軍事政権からの正式な承認を必要としている。ラグーン軍事政権は、400km上流シャン州タサンに3300メガワットのダム建設計画について、昨年12月、タイのMDX社グループとの契約に合意している。