ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > ベトナム・ダイニン水力発電 > 日本のODAで今月下旬に起工
日本の対越円借款が急増しています。特に住民の立ち退きを伴う大型インフラ案件が目立っています。社会主義政権下で、環境社会被害についての情報が十分に伝わらない一方で、支払い猶予期間が過ぎたあと、これだけ多額の債務を返済できるのかという懸念もあります。
今月下旬、「ベトナム南部地域の安定的な電力供給を図る」ため、ベトナム政府はダイニン水力発電所を今月下旬に起工するようです。この事業に対しては、日本の国際協力銀行が第1期分に40億円(98年度)、第2期分に100億円(2000年度)を円借款供与しています。また、第3期分の283億円がロングリストに挙がっています。以下の新聞報道では、ベトナム政府は日本からの追加援助をあてにして起工することは明らかです。
更に、発電後の水を使ったファンリー・ファンティエット灌漑事業についても、この新聞報道では、日本のODAをあてにしているようです。こちらについては、4億3700万円のE/S円借款(エンジニアリングサービス)を供与しています。調査の中で、少数民族への社会影響に関わる問題点も明らかになってきています。ロングリストでは約56億円が挙がっていますが、国際協力銀行はE/S円借款の報告をみて、審査を行うようです。
以下は、メコン・ウォッチの土井利幸(バンコク)がニャンザン(人民)紙のネット版の記事を抄訳したものです。
『ニャンザン(人民)』2003年3月25日(ネット版抄訳)
ベトナム電力公社(EVN)の所有となるダイニン水力発電所建設への投資を計画・展開する組織である水力発電計画管理委員会は、入札作業を終え政府に報告書を提出した。ダイニン水力発電所はラムドン省とビントゥアン省の二省にまたがって建設され、出力は300メガワットである。
発電所の起工予定は2003年4月下旬で、2007年には一基目の設備が発電を開始し、2008年には全二基の設備が完成する。発電所計画にはダニムとダクエヨンの二基のダム建設が含まれており、電気は42キロの送電線を通してディリン変電所にも送られる。
発電後の水はバクニン水力発電所(2004年起工予定、出力32MW)に転用され、また乾燥がはげしいファンリーやファンティエットで4万ヘクタールの農業用地を改革するためにも供給される。総事業費は約4億4000万米ドル(528億円)で、ベトナム政府はこのうちの85%を国際協力銀行(JBIC)を通して日本政府の政府開発援助(ODA)から借り入れる予定である。残りの15%の資金はベトナム国内で調達する。コンサルティングを担当するのはフランスのソグレア(Sogreah)社とカナダのラバリン(Lavalin)社のジョイント企業で、資材調達などは第二電気建設コンサルティング会社(PECC2)が担当する。