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ラオス・ナムトゥン2ダム>フランス電力公社が撤退!
メコン河開発メールニュース 2003年7月21日

メコン河の開発をモニタリングしている世界中のNGOに大ニュースが飛び込んできました。東南アジアで最も論議を呼んでいるダム、そして、世界銀行にとって最も国際社会からの批判を浴びているダムである、ラオスのナムトゥン2ダム(1070MW)への最大出資企業であるフランス電力公社(EDF)が、電力購買契約をタイ発電公社と結ぶという日に、突然事業からの撤退を表明したのです。

経済、社会、環境面で大きな疑問を抱えているにも関わらず、10年間にわたって世界銀行が生かし続けてきたナムトゥン2ダム。世界銀行、その第2の出資国である日本政府は、今こそこのダム事業への支援の可能性を断るべきです。そして、以下の記事の最後にあるように、建設準備の伐採で生計手段を失ったナカイ高原の人たちの生活再建のために、ダムではない代替的な地域開発計画をラオス政府やラオスで活動するNGO等の協力を得ながら作り上げていくべきではないでしょうか。

ラオスのダム計画はフランスの撤退で不透明に

2003年7月19日

The Nation

Supalak Ganjanakhundee記者

ラオスの「東南アジアのバッテリー」構想は、論争の的となっているナムトゥン2ダムの主要な出資企業だったフランス電力公社(EDF)が、昨日ナムトゥン2ダムプロジェクトから撤退したことによってあっけなくプラグを抜かれてしまった。

このニュースに動揺したタイのSurakiart Sathirathai外務大臣は、「タイ政府はこのダムからの電力購買に引き続き関わっているし、タイの出資企業が事業を存続させる」ことは確かだと取り繕うように記者団に語った。

Surakiart外務大臣とPrommin Lertsuridejエネルギー大臣は、昨日ビエンチャンで行われる予定だったタイ発電公社(EGAT)とナムトゥン2ダムの開発事業体であるNTPCとの間の電力購買合意署名式に立会人として出席する予定だった。

しかしフランスの撤退は衝撃となり、ラオスとタイの政府関係者が自らの意思を表明する共同記者会見を開催した。EDFの決定は残された他の出資企業を動揺させた。他の出資企業は1991年に実施可能性調査が行われ95年に企業体が結成されて以来、長きにわたる事業の遅れを経験してきた。

ラオス工業手工芸省のSomboun Manolom事務次官(permanent secretary)は、ラオス政府はタイ政府とともにプロジェクトを前進させるために働きかけを続けると述べた。「ナムトゥン2ダムの勢いはこの挫折によって妨げられるべきではないというのがラオス政府の意思である」。

EDFはパリで出した声明の中で、今回の撤退は自らの財産の整理とヨーロッパに投資の重点を置くという戦略の一環であると説明している。

事情通によれば、来年東ヨーロッパの10か国がEU加盟する予定であり、EU拡大がEDFにとってはより大きな投資のチャンスであることを示している。

EDFの決断はまた、最近ラオスでフランス人とベルギー人のジャーナリストが投獄された事件にも影響を受けたと、この事情通は述べている。

匿名のタイ投資企業は、10年近くもプロジェクトに関わってきた他の出資企業を失望させたと語った。

EDFは12月30日までに、新たな出資企業を見つけることに協力すると申し出た。

EGATのSithiporn Ratanopas総裁は、タイ政府はナムトゥン2ダムの開発事業体に、事業推進のために1年間の猶予を与えたが、それが達成できなければ他のプロジェクトによって置き換えられることになる。

EDFはナムトゥン2プロジェクトの35パーセントの出資をしている。一方で、ラオス政府は国営ラオス電力公社が25パーセント、残りの40パーセントはEGATの子会社であるEGCO(25パーセント)とイタリアンータイ開発社(15パーセント)が出資している。

総事業費11億ドルのナムトゥン2ダムプロジェクトは、完成すれば、ラオスにとって主要な外貨獲得源となる予定である。建設費は、2002年のラオスの国内総生産(GDP)18億ドルの半分以上である。

プロジェクトによる環境社会影響は、環境保護グループの懸念の中心である。ダムによって、中部カンムアン県のナカイ高原に住む17村に住む28民族5700人が立ち退きを迫られている。

環境保護グループの1つである国際河川ネットワーク(IRN)はEDFの決断を評価し、これによってプロジェクトの行方には深刻な疑問が投げかけられたと語っている。「数百万ドルのお金が、社会的にも、環境面でも、経済性においても損害が大きいこんなプロジェクトの計画に使われてきたのだ。こうしたお金は、もっと持続可能な代替案に投じられるべきだったのだ」、IRNの東南アジアプログラム代表のAviva Imhof氏は述べた。

略年表

1989 プロジェクト開始
1991 実施可能性調査始まる
1993 タイへの電力輸出提案
1994 売電交渉
1995 開発企業体を結成
1996 タイ政府とラオス政府が売電の覚書調印
1996 サイトの開削開始
1997 アジア通貨危機による中断
1999 電力購買合意をめぐる交渉再開
2002 ラオス政府とNTPCの間で譲渡合意に調印
2003 不発弾の処理が始まる
同年7月8日 タイの閣議が電力購買合意を承諾
同年7月18日 EDFが突然の撤退を発表

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